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第156話 体育祭10

差は広がってるけどさ……


隣に視線を向けると、そこには陸上ガチ勢でスタート前のアップなのかルーティンなのかわからないが、飛び跳ねたりストレッチをしていた。

もちろん俺等みたいな裏面はすべすべではなく、爪みたいのが生えていた。


一応俺の靴もランシューだから他の人達とは少しだけバフで盛ってるんだけどさ……てか、200メートル走らせるのっておかしくない?

俺この後色別リレーにも出ないといけないんだけど…もう来てるし。


既に俺の前の走者は近くに来ていたので気持ちを切り替え、我ながら完璧なスタートを切った。


30メートルぐらい走った後、後ろから爆走して迫ってきている

のがなんとなく感じられた。

たったの30メートルぐらいしか差はないので少しでも気を緩めたら並走状態になって即終了。

もう少しリードが欲しかった、こんなんハードモードだろ。


澪がいる反対側まで来ると、1組の奴らの殆どが立ち上がって応援してくれた。

特に澪は格段に他の奴らと応援の熱意が違った。


これは負けられないよな。


既に後ろから地面を力強く蹴っている音が聞こえおり、もう30メートルぐらい有った差は多分10メートルもないだろう。

相手は陸上ガチ勢。

知識も経験も向こうに分がある、この状態でどうやって勝つのか……まぁ何も案はないんだけどさ。


「はぁっ…」


死ぬな……だけど。


遠くからでもわかる。

1組の応援の中から、一人だけ完璧に聞き取れる応援。


『蒼くーん頑張れぇーー!!』と一生懸命普段だったら人混みのうるささで消えるような声であっても発された声は俺の耳にしっかりと届いた。


あんなに応援されたら負けられないよなぁ。


残り100メートル。

ギアを更にもう一段階上げ足を精一杯上げてなるべく地面との接地時間を限り無く短くしてストライドも広く取った。


陸上ガチ勢君は多分右斜後ろにもういるのだろう。

気を緩めたら一瞬で抜かれる、だけど澪の応援のおかげで負けるビジョンが見えなかった。


最終コーナ手前。

俺は足が棒になっても勝ちたかったのでスパートをかけ何とか1位でゴールテープを切ることが出来た。


「1位は1組、2位は5組、そして今ゴールした3位の7組でした」


「はぁはぁ……よっしゃっ」


俺は一人ガッツポーズをして喜んだ。


「マジでナイス蒼」


「かっこよっかたよ柊君」


「よく勝てたな」


喜びを噛み締めているとクラスの皆が徐々に集まってきた。

もちろんその中に澪の存在はあった。


だがなぜか、澪はもじもじしていて頬を赤色に染めていた。

後ろでは女子数人に押されて何かを起こすように促しているように見えた。

どうしたんだろうと思いながらも男どもとハイタッチやら空中で体をぶつけ合ったりなど勝利パフォーマンスをしていると、意を決したのか澪が俺の眼の前に来た。


すると、澪は先程の昼ご飯タイムの時にかましてきたように俺の首裏に腕を通して澪の唇と俺の唇を重ね合わせた。


周りから見られないようにクラスの全員がバリケードのように囲ってくれているお陰で二人っきりの時間を堪能することが出来た。

ゴミどもにも邪魔されないこの至福のひと時のためにこのリレーを頑張った節もあるので俺はもう満足していた。


「蒼君、今日は宴ですね」


「ははっそれは嬉しいな」


「……もうちょいで退場だから離れとけよ」


海斗からの助言を聞き澪は慌てて俺から離れ何事も無かったように女子たちの人影に紛れていった。


◆◆◆


「蒼は後何か出る種目はあるの?」


「後は色別リレーで俺の仕事は終了……いや、澪の玉入れがあるな」


義隆とトイレに行って用をたし、今後の予定を考えていた。


「お前、本当に柳田さんにだけ激甘だよな」


「いや、彼氏出し当然だろ」


「他の女子にあんな甘え行動したのを柳田さんに見つかったらその日が命日だね」


「はったしかに」


もしそうなったら俺は確実に殺される未来しか見えない。

そうなる未来を起こさないように気をつけないとな


「もうちょいでお前が見たい玉入れが始まるな。

そろそろ戻ろうか」


外では入場が始まっているのか、歓声が沸き上がっていた。


「そうだな」


早くトイレから出ないと、澪が俺のことを探してヤンデレ澪モードになるかもしれないしそれで集中できずに負けましたってなると最悪だもんな。


澪は玉を投げ入れる事できるのか。

そもそも届くのか……届かなくて剥れる澪は普通に見たいから俺としては苦戦してほしいかな。


澪の苦し紛れなかおを見たい俺はテント内に戻り自分の最後の仕事の事もあるのでベストコンディションでテントで休み、澪を応援した。


だが、一つ疑問があった。


スパイの行動がないということ、もしかしたらこの玉入れでスパイが攻撃をしてくるのかもしれないという直感がなぜか頭に浮かんできた。


「何もなければいいな」


「ん?」


空は雲一つない快晴から少し曇りが出てきていた

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