表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/157

第150話 体育祭4

「今からする事は、自分の椅子をテント内に運ぶのをしてもらうんだけど、混雑が予想されるから今のうちに行ってて」


あぁーそんなのあったな。


小中学校の時も体育祭の朝にするのは椅子の移動だったね、澪にとっては朝から最悪ってことか。


先生の話を聞いて、澪がいる前方に視線を向けると澪は一人顔を青ざめていた。

それも無理がない、2年1組は3階にある上階段から遠いから物理的に校庭まで遠い。

それに2年1組は階段まで遠いのである。


つまり澪の疲れ果てた顔が見れるということなのだ!


「お前どうした?

そんなにニヤニヤして、キモいんだけど」


「いやぁ…ちょっと妄想をしておりまして」


なんていうかさ、可愛い人の疲れ果てた顔って結構需要あると思うの俺だけなのかな?

……そんなことより、顔に出ないように今後は妄想しないとな。


「じゃあ、適当に各々向えよー」


「蒼のフィジカルが大活躍するぞ」


「そのために鍛えてないから」


まぁ、早く校庭に出たいからフィジっても別に良いかな。

早く自分の椅子をテントのベスポジに置いて澪の手伝いに行かないとな……今日で何か男どもに牽制を入れるのもありだしな。


クラス内での男子は多分薄々感づいているのが殆どになってきているから下心が無く単純に困っているときか会話の流れ的に話を振る程度になっているが、他のクラスには未だに俺と澪との関係値を理解していないやつで埋め尽くされているので休み時間中、咲茉と陶さん色々対応されているナンパ男がいる。


澪からしても、そろそろ堂々と宣言しないと見放されそうだしね、漢を見せなければ。


「義隆」


「どったの急に?」


「俺は今日漢になるよ」


「漢字の漢の方ってこと?」


俺は力強く頷いた。


漢って響きなんか良いよね。


「期待しとくよ、早く運んでお前のお姫様の助けに行ったほうが良いんじゃない?」


「もちろんだ、てことで急ごうか」


椅子を手に持ち階段を駆け下り、速歩きで校庭まで向かった。

我ながら結構早くついたので1着だと思ったが案外人が来ていたのでまだまだだなと反省した。


「お前は早く行けば?

椅子をおいてくれたら俺がベスポジに移動しておいてやるよ」


「サンキュー、じゃあ行ってくるよ」


椅子を地面に置き、ぞろぞろ生徒たちが来ている中、自慢のフィジカルを利用し逆流しているので目立っているが澪のためなら目立っていても別に気しなかった。


2年1組に近づいていくと徐々に顔見知りの生徒や友達が見えてきて、『あいつ何してるんだ?』と変な視線を向けられたりすることもあったがやっと目的の澪の下まで帰ってくることが出来た。


「蒼君?

どうしたんですか?」


「疲れてるだろうから助けに来た」


澪は頬を赤らめ、もじもじしてしまった。

しかし、澪の隣りにいた咲茉と陶さんが肘でグイグイと背中を押しているのに気付いた。


この2人は俺に協力的だな。


「で、ではお願いしてもいいですか?」


「まかせろ」


「じゃあこっちのほうが蒼君からしても良い筋トレになるんじゃない?」


何言ってるんだ!?と思っていると急に咲茉と陶さんが俺に椅子を持てと促すように突き出してきた。


「私達の分も持ってくれると嬉しいなー」


「誰か心優しい人いませんかねー」


「お前ら2人は既にカップルなんだから各々パートナーを呼べ、俺は澪の椅子だけを持つ」


俺がそう言うと二人は少しだけ頬を赤色に染めて恥じらいを見せた。


え?なんでこいつら恥ずかしがってんの!?

……大方予想はつくけども、パートナーって単語でこんな反応をするのかよ、女子って色々わからないことだらけだな。


2人に視線を向けていると、隣りにいる澪から服の裾を握られてしまった。


危ねー、これ以上2人だけと話していると澪が拗ねちゃうところだったぜ。


既に少しは拗ねているんだろうけどと思いながらも澪の隣を歩いて校庭に向かった。

もちろん澪の席は俺の隣に置いたけどな。


◆◆◆


ここ最近私はずっと蒼君に攻撃されっぱなしだと思います。


眼の前では蒼君が本来だったら私だけの椅子を運んでくれる予定だったのに皐月ちゃんと咲茉ちゃんが何故か私も私もと迫ってきています。


これももはや意図的に私の独占心をくすぐるためにしているのか嫉妬心をくすぐるためにしているのかわからなくなってしまうほど、ここ最近私は蒼君のせいでドキドキしっぱなしです。


私もできる限りのカウンターを繰り出してますが、蒼君には意味がなかったようです。


2人の椅子を運ぶか運ばないかの話を眼の前でしているせいで私の蒼君を取り合っているみたいで、心がズキズキしています。

流石に親友であったとしても私の蒼君を困らせるのは許せません。


私は蒼君の服の裾を掴み無理矢理話を終わらせました。


蒼君は絶対に誰にも渡さない。

蒼君は私のもの

蒼君は私のもの

蒼君は私のもの


……そうだ

絶対にこの体育祭で私の蒼君にちょっかいを出す愚かな女性を撲滅する為に何か行動しましょうかね。


「フフッ」


「ん?」


絶対に今日で皆さんに示してみせます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ