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第145話 食トレじゃないはずだった

「日時は7月10日です……他にこれは話し合ったほうがいいと思うものはありますか?」


司会者は周りを見渡して少しだけ待ち、誰も挙手しないのを確認して体育祭実行委員の話し合いを終わらした。

1年生から会議室を出てその次に2年生が出た。

かばんは会議室に持ち込んでいたのでそのまま澪と2人で校門を出ることが出来た。


「あ~お君」


「っと、どうした?」


速歩きで校門を出たお陰で周りには体育祭実行委員のメンバーも居なく、既に帰宅部の人達は全員帰っている時刻なので今は澪と二人っきりだった。


それも澪自身解っているからこそ俺の背中からバックハグをしてきているんだろう。

神様が唯一与えたデバフである貧乳であったとしてもほんの少しだけはあたっているのを感じてしまうんだなーと澪が悟り妖怪だったら殺されそうな事を考えてしまった。


澪はバックハグを少しだけ堪能してから俺の隣に来た。


「この後どうします?」


「そうだな……澪が行きたい所ある?」


澪は『そうですねぇ……』と声を漏らしながら考える素振りを見せて数秒。

特に行く宛もなかったらしく、澪は首を横に振った。


「じゃあ、帰ろっか」


「はい」


澪は俺の腕に抱きつきながら中央駅まで向かった。


その時思った。

何故こんなに馬鹿な行動を受け入れたのだろうと。


鹿児島中央駅、アミュ広場。

そこには学生やらサラリーマンやらがたくさんいる。

そんな中に可愛らしい女の子がとある男の腕に抱きついてとろける様な笑みを浮かべているのを見ると、大抵男からは殺意女からは黄色い声援が送られる。


澪の耳にも流石に届いていたらしく、頬が真っ赤に染まっていしまい俺の腕に顔を擦り付け視界に入れないと努力していた。

俺の腕は多分一般人より太いから少しは澪の綺麗で童顔な顔を隠せていると思うけど、それでも6割ぐらいははみ出ているので結局自分から『私恥ずかしい』と言っているようなものだった。


「電車は……あぁー30分後だってさー」


「それだったら私少しだけ行きたいところがあるんです」


澪は俺の腕を力強く引っ張りながら改札から方向を変えアミューの中に入っていった。

俺はどこに行くんだろうと思いながら澪に腕を引っ張られているので自由に行動できず言いなりになるような形で2階のとあるカフェの中に入った。


だが、入った瞬間に店内から女子たちからの視線が俺に向かってきた。

明らかなに男で体がゴツい俺が来るべきじゃないのは重々に承知している。


見た目がもう女の子っぽい感じで男は近づきにくい、それもここにいる女性たちからしたら言わば女だけの聖域と思っているのかもしれない。

そんな聖域に男という不純物が入ったら視線を集めるに決まってるよな。


「蒼君、気にせず行きましょう?」


「そうだな」


澪の後をついて行き空いている席に向かったが、その途中でも視線を集めてしまった。


気にするなって言われてもなー


「流石にきつい」


初めてこんなに良く思われていない視線を浴びたせいでちょっとだけ心に来てしまった。


「蒼君は何を頼みますかー」


澪はメニュー表を見ながら俺に問いかけてきた。


ここの席に来る前に先客達が頼んでいるのをチラ見したが、パンケーキを頼んでいる人が殆どだった。


「期間限定の抹茶パンケーキにしよっかな」


「いいですね……じゃあ私はあんこパンケーキにします」


ここっていろんなパンケーキがあるんだな……まぁ多分今後来る事は無さそうだからなんとなく目に入った物を頼んで正解でしょ。


澪が店員を呼び出したので俺から商品名を言っていった。


「抹茶パンケーキでお願いします」


「サイズは」


サイズは?

え、意味分かんないんだけど。

チラ見したのが普通サイズ何じゃないの?


なんとなく俺は量が足り無さそうだったので。


「Lでお願いします」


「わかりました」


あれ?

何で店員はこいつマジかよみたいな目で見てきたんだよ、もしかして俺やらかした感じなのか?

澪も何故か心配している目で見てきたし……まぁ食いきれるっしょ。


「あんこパンケーキのSでお願いします」


「かしこまりました」


「蒼君、私は手伝えませんよ?」


「そんなに量多いの?」


澪は首を縦に振った。


俺はスマホで店の名前を検索しようと名前の3文字を入力した時点で予測検索に『Lサイズ多すぎ』と出てきていた。


俺は深い溜息をついて店員が2つのパンケーキを持ってくるのを内申食い切れるのか不安に思いながら澪にはバレないように顔には絶対に出さない意識をしてドシッと待った


少しだけ待って運ばれてきたのはボリューミーでバニラアイスがふんだんに塗りたくられている見た目からでは抹茶味とはわからいクソデカサイズのパンケーキが来てしまった。


澪も決意にみなぎった瞳をしているので澪からしてらSサイズでも厳しいのだろう。


電車に乗り遅れるなと思いながら6等分されているパンケーキにフォークを指して口に運んだ。

運んだ瞬間口には抹茶の風味と味が流れ込み、バニラアイスも案外抹茶とあっていて味は最高だった。

だがそれと同時に俺は食い切れ無さそうだなと思ってしまった。

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