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第129話 黒の女神と約束を結んだ

「ふぅ……とりあえず逃げてきたけど……」


我ながら『ごめん聞こえなかった、今から俺風呂入ってくる』ってラブコメ特有の難聴を意図的に発動させる上手い言い訳で何とか風呂場まで逃げ込むことに成功したけど……


「どこか、焦ってる感じしたんだよな」


水代なんてお構いなしにシャワーからずっとお湯を流しているお陰で、風呂の外には声が漏れていなかった。


早口だったし、声もいつもより上ずっているように聞こえたんだよな。

風呂場には流石に入ってこないだろうから、今のうちに考察して今後の展開を楽に進めないと……俺の心臓くんも既に3回ぐらいコンティニューしてるしな。


ゲーマーの性なのかもしれないがmやっぱりコンティニューは少なくしたいし、なんなら0で終わらせたい。


視線を鏡越しに写っている俺から少し外し、脱衣所の方を見たが無造作にうるさい音を響かせている洗濯機だけで、それいがいの物は視界に入ってこなかった。


俺は少しだけ安心し、シャンプーに手を伸ばした。


一つあり得るかもしれないのが、咲茉がエッチに関しての事を澪に教えたとかだろう。

私は既に義隆としたんだー的な感じの言葉を聞いてしまって対抗心が芽生えてしまい言ってしまった的な感じだろうか。


シャンプーをシャワーから出るお湯で洗い流し、ボディーソープのプッシュボタンに手をかけた。


それだったら、義隆って咲茉の処女を奪ったってことなのか……


友達が性行為している時の姿を思い浮かんでしまい、俺は硬直してしまった。


その他は……俺が今日帰ってくるのが遅くなった理由としてどこかの女と会っていたからで、それの心配で私の始めてを奪ってもらって既成事実を作ろう的な感じだろうか?


平日の練習のときは、絶対に自主練をしないと決めている。

遅く帰って澪に心配をかけてしまうというのもあるが、電車に乗り遅れてガン萎えはしたくないし澪のご飯を速く食べたいというのもあるので、自主練はしていなかったが、今日は強制的にされたもんな。


既成事実を作る線より俺は咲茉に煽られたから澪もしたい線の方がありえると思う。

女子からしたら好きな人とやれるってそんなに意味が深い行為なのだろうか?


澪の唐突ないボディソープで身体中を洗い、後は洗顔をするだけになってしまったが、この安地から出たくない俺は両膝に上から両肘をのせずっと考え込んでしまった。


シャワーから水が滴るのを眺め湯船に浅く溜まった水に落ち、静まり返っていた水面に一つ落ち同心円状に広がった。


「あー考えるのめんどくせー」


1番手っ取り早いのは俺らもすればいいだけなんだけど安全日は絶対妊娠しないって訳じゃないし、俺の作曲での収入で赤ちゃんが居ても余裕がある暮らしができるという状況にはならないだろう。


……これを久則とかに話したらひよるなよーとか言われるのかな?

いや、あいつらでも流石に妊娠がワンチャンってなると奥手になるでしょ。

それ以前に全国の男子がなるか。


そろそろ上がらないと澪に心配をかけてしまうので、洗顔をして風呂から出た。

タオルで身体全体を拭き、練習着兼寝間着である服に着替え澪がいるであろう自室に戻った。


俺は自室のドアの前で一回深呼吸をし、ドアノブを捻った。


「っっ!」


中にはネグリジェから程よく肉がついていて柔らかそうな太ももが伸びていて俺の布団の上で体育座りをしている澪が居た。


一回落ち着いて


脳内でそのフレーズを反復して何とか心を沈めた。


「……澪、どうしたの?」


「蒼君……隣に来てくれませんか?」


澪は隣に空いてある布団の上のスペースをポンポンと叩きながら俺に言ってきた。


俺は静かに首を縦に振り、澪の隣りに座った。


「ひとつ、蒼君に謝らないといけません」


「何かな?」


「急にはしたない事を言ってしまいすいませんでした」


澪は突然体をドアの方から俺の方に90度回り、布団に両手をハの字に設置しその隙間に頭を沈め、土下座の形で謝ってきた。


「咲茉ちゃんにもう私はしたよって言われてしまい、ほんの少しだけ対抗心が芽生えちゃったんです……」


俺の布団は澪の顔で少しだけへこんだ。


「いや、え、顔を上げて、俺は大丈夫だよ?」


「本当ですか?だって、さっき蒼君の前で……その……」


澪は顔を上げたのはいいが手を組んだり解いたりしていて落ち着きが見えず、一人あたふたしていた。


「ははっ、俺は別に今日のことだけで澪のこと嫌いにならないし、俺と澪は許嫁の関係なんだから焦らなくてもいいんじゃない?」


俺は澪を落ち着かせるために言ったが結果は変わらずあたふたしていたので俺は少し攻撃してみた。


「義隆と咲茉だって所詮は彼女彼氏関係……」


「ふぇ、あ、蒼君!?」


俺は澪を俺の胸に埋めさせ、耳元で囁いた。


「俺等は二人の関係より更に上の許嫁の関係なんだからさ俺らは俺らのペースで行こうよ」


「……はぃ」


「今回の件は……そうだな……12月24日まで待っててよ」


俺はそれだけを告げて、澪もそろそろ風呂に入れば?と風呂に入るよう促した。


澪もやはり対抗心があるんだなと知った一日でもあり、澪にも性欲はあるんだなと知った一日になった



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