第127話 黒の女神のメッセージは裏がある
「てことで、部活動紹介の最後の締めは蒼と志保のアリウープダンクに決まったから」
「いやいや、聞いてないんですけど!」
体育館倉庫でバッシュの靴紐を結んでいるとキャプテンである祐介さんに突如最後の締め役を任されてしまった。
「遅刻して来たお前が悪い」
「いやいや、クラスマッチの役員になったんでそれはしかたなくないですか?」
「いや、ごめんだけど、これは代々、我が桜島高校バスケットボール部の掟で遅刻してきた者にっていうのがあるんだ。
去年の俺も色々あって部活遅れたら強制的に最後の締めに回されたからごめん」
その掟を断ち切ろうと思わなかったの?
……じゃあ志保は何故に?
遅刻してきた俺はまぁ何となく分かるが、志保はなぜ俺と同じ最後の締め役に回されたのだろうか?
志保は俺が来た時には既に先輩たちと一緒に練習してたから遅刻はしてないはず。
疑問に思ったので体育館倉庫から出ようとしてる祐介さんを呼び止めて何故志保も最後の締め約に回されたのか聞いてみた。
「……ジャン負けで決まっちゃったんだ」
それだけを言い残し祐介さんは体育館倉庫を出ていき、俺だけが一人体育館倉庫に残されてしまった。
……俺も速く向かわないと何か言われるかもな。
バッシュの靴紐を結び、体育館倉庫から出て、先輩たちの元に向かった。
先輩たちから色々言われながら練習に参加して1時間程度が経ち練習が終わった。
他の人達より圧倒的に汗の量が少なくて少しだけ申し訳なかったので息が切れている風な素振りを見せた。
「適当に1対1をして、最後にお前ら2人のアリウープダンクで締めね、時間は10分間だからダブルクラッチとかステップバックスリーとか魅プ的なのをガンガンしよう……じゃ、明日は休みだから各々有意義に使うように」
「「「「はいっ!」」」」
とりあえずこの後は志保とアリウープダンクの練習しないとな。
そんなことを考えながら祐介さんの話を聞いていると志保と目が合った。
祐介さんの話が終わると同時に、お互い近づき練習が始まった。
「志保もかわいそうだね」
「うん…ジャン負けでこうなるとは思わなかった。
てか、なんで蒼も最後の締めに回されたの?」
「クラスマッチの役員に選ばれたから、話し合いに参加して遅刻しちゃったからお前もなみたいな感じでなった」
「恥ずかしくないようにばちこりとダンクかまさないとな」
「そうだな」
俺はボールかごから適当にボールを取り、数回ボールをつき志保の方に視線を向けると同時に、走り出し俺は自分なりにここかな?と思ったところにパスをした。
結果としては志保はボールキャッチにも成功しそのまま轟音を体育館内に響かせるほどのダンクに繋がり無事アリウープダンクは成功――と行きたかったが現実は違った。
「ウェーイ」
久則が志歩の掴んでいるボールに自分の持っていたボールでシモヘイヘ並の狙撃をかましたせいでボールが弾かれてしまった。
「おい!ガキ!」
「こわーい、助けてー」
「チっ……もう一回するぞ」
「はいはい」
「今度は邪魔するなよ」
「わかっちょる」
久則が一人でシューティングを始めたのを確認し志歩は走り出した。
さっきと同じぐらいの感じでパスをし、今回は邪魔も入らなかったお陰で轟音を体育館内に響かせるほどのダンクに成功した。
「成功したね」
「そうだな……後一回だけとりあえずして帰ろう」
「わかった」
ゴール下にあるボールを志志保がパスをし、先程の位置にゆっくりと戻り志歩はもう一回同じように走り出した。
俺も先程と同じようにパスをして無事アリウープは成功して、各々気持ちよく体育館から出て帰路を辿った。
「じゃあ、俺はこっちだから」
「ばいばい」
中央駅方面に一人向かいながらスマホのチャットアプリを開いて連絡がなにか来ているか確認した。
すると、一つのDMが来ていたので急いで確認すると、送り主は俺の最愛の人からだった。
『晩ごはんはそっちで食べて帰りますか?』
俺の直感が語りかけてきたんだけどさ、多分これキレてる説ない?
速く帰ってこいって多分裏の意味がありそうなんだけど……急ぐか
自然と、澪からのDMを読み歩く速度が早くなり周りの視線が『急にどうしたん?』みたいな感じで見られたが、そんなのお構いなしに改札を抜け電車に乗り込んだ。
駆け込み乗車っぽくなってしまったが、澪のためなら少しぐらいルールを破っても構わないという考えなので罪悪感は一切感じなかった。
家の最寄り駅に着くのと同時に俺はドアの前に陣取り、開いた瞬間副男レース並の暴走を見せた。




