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第104話 断裂

「おいそこ決めろ!」


桜島高校はレイアップやスリーポイントなどを重点的にアップをしていた中。

伊仙高校は5対5をしていた。


多分、向こうは簡単なシュート――ゴール下とかを外したんだろう、そうでもないとあんなthe怒号のような、声を上げたりしないだろう。


これを勝てばベスト4……目標としていたベスト8は達成したからここで負けてもまぁいっか。

少しだけでも善戦すればましでしょ。


桜島高校側のコートもこっちはこっちで少しだけ緊張感が漂っていた。


幸いなことに、緊張しすぎて手足が同時に出る状態なやつは居なく、程よい緊張感のお陰で全員の集中力が高くなっている感じが汲み取れる。


そんな中、俺だけはそんなに緊張もしていなかった。

かといって集中出来ていないと言われたらそんな事は無く、澪のお陰で集中力はこの中でもトップクラス級にあると思う。


まぁ、負けても別にいっか。

善戦すればとりあえず怒られはしないでしょ。


徐々にタイマーに表示されている秒数が3分に近づいていっている。


相手も気合い入ってるし……お願いだからキモキモディフェンスしないでねー


呑気にそんな事を考えていると『シューティング』と義隆の声が聞こえたので、俺はボール籠からボールを取り、ドリブルの確認をしていた。


この時の俺は普段より時の流れが遅く感じていた。


「集合!」


ドリブルの確認を開始して何分か経った頃監督の声が響いた。


「伊仙高校…今日対戦する1年は強すぎて来年のウィンター、インハイ、国体の3冠を全部掻っ攫うかもしれないと噂されてる……お前らのただボコされるのは嫌だろ?」


全員頷いた。


「爪痕残して帰ろう」


監督は満面の笑みを浮かべながら俺達に語りかけてくれた。


それのお陰か、部員全員が緊張から時離れたのか、少し張り詰めていた顔から開放された。


「まぁ、負けてもいいから点差は10以内に収めてみよう」


それが目標だろうな


義隆が言った言葉を俺はこの試合の目標に設定して試合に挑んだ。


◆◆◆


「リバウンド!」


伊仙高校のシュートが外れ、シューター本人の声が響いた。


俺はボールのハネ具合を見てフリースローラインぐらいから走っておもいっきりジャンプした。


ゴール下にいる奴らと違って俺は助走があったので、最高到達点は勿論俺が1位だった。

それのお陰でリバウンドは取れた。


そこまではたしかに良かった。

試合運びもミスゼロだったし、シュートもほとんど決めていた。

ディフェンスも皆で頑張ってなんとか食らいついていた。


ここのリバウンドを取れれば速攻につながって一気に流れが桜島高校に傾くだろう。


だけど現実はそう上手く行かない。


アニメとかで良く怪我するシーンとかアクシデントが発生した時スローモーションで描写されるのが殆どで、俺も子どものときはいやこーならんてっと思っていたが……アニメの描写は本物だった。


俺の着地したのは地面ではなく、相手の不安定なバッシュの上だった。


そうなるとどうなるか。

答え、捻挫確定。


「っあ!」


何とか俺はボールをサイドに居た義隆に繋いだが、俺の最後の出番はそこだった。


地面に脚を庇いながら倒れた。


軽い捻挫や突き指はバスケと切っても切れない関係にあるのは確かだ。

実際、全国のバスケプロ、バスケット少年もそれら2つの事を注意しながら練習、試合に挑んでいるだろう。


俺もゆうて1、2回ぐらいしか捻挫と突き指はしたことないがある程度痛みはなんとなく知っていた。

だけど今回の捻挫は俺が経験してきた痛みの中でトップクラスの痛みだった。


副審もおれの事を注意深く見て速攻のレイアップが決まると、副審が試合を止め直ぐ様ベンチから数人人が来て俺はそいつらに肩を課せられなんとかベンチに帰り着くことが出来た。


2階席からは俺のことを哀れんでいる声が聞こえてくる。

そんな中、一人だけベンチから絶望したような顔つきで俺のことを見ているサングラスを付けた少女が居た。


俺はその人の事を見ながら微笑んであげた。


◆◆◆


外側靭帯断裂がいそくじんたいだんれつですね」


「断…裂……」


澪が雫さんを読んでくれたお陰で試合が終わるとスムーズに近くの整形外科に行くことが出来た。


「はい…ここの靭帯が切れてます」


「復帰はできますか!」


「……」


俺は気になることを聞いてみたが医者は黙ってしまった。


どこかでガラスが割れた音が聞こえてきた。

だけどこれは病院の何処かの窓が割れたわけではなかった。

その証拠に音に敏感な澪は一切反応せず俺の手を変わらず力強く握んでくれていたから。


あぁ、これは俺の希望が砕けた音なのか。


「蒼…君……」


澪は少し涙ぐんでいた。


「でも、まだ復帰が絶対に出来ないレベルではないので手術はしてもいいし、しなくてもいいし、その判断は貴方が決めてください」


「手術をした場合はどうなりますか?」


俺は食い気味で聞いてしまった。


「人工靭帯というのにここの靭帯が変わります」


「デメリットは?」


人工靭帯という言葉を聞いて、最高だと思ったがこの世にはいかなることにもデメリットは存在する。


復帰は絶対にできます、ですが初期の固定力が弱く、骨と腱の結合に時間がかかります、ですので個人差はありますが速くても5ヶ月後には復帰できます」


この時俺は思った。


俺のバスケは終わったなと






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