表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/157

第103話 1年生大会4

ここでクロスオーバー


「っあ…!」


俺のマークマンは情けない声を出しながら、尻もちを着いた。


俗に言う俺はアンクルブレイクを引き起こした。

良くヨウチューブで凄いドリブルで相手が尻もちを着くショート動画を見たりするが、実際これを試合で見たり引き起こすことは難しいしめったに見られない。


桜島高校のベンチは全員立ち上がり雄叫びのような声を上げて盛り上がっており、相手ベンチではまじかみたいな空気感が漂っていた。


俺は尻もちを着いた自分のマークマンであった6番を少し眺めた後、スリーポイントを撃った。


幸いなことに周りの人達は俺にプレッシャーをかけてくる事が無かったので実質フリーな状態だったのでしっかりと決めきれた。


6番は俺より低い位置から俺の放った美しい放物線を眺めていた。

下唇を力強く噛んでいて、悔しそうな顔で俺を見上げてくれた。

そんな顔を眺めるのが俺にとってバスケをしていて1番気持ちいい瞬間。


ディフェンスで相手を苦しめてスティール。

フィジカルで相手をぶっ飛ばす。


これらが起きた時の相手の顔が1番俺の気持ちを高めてくれる。

何なら澪のくそうまおかず無しで米を食えるかもしれない。


俺が6番の絶望した顔を見て高揚感を漂わせていると。


「タイムアウト」


審判が相手ベンチを指差しながらそう声高々に言った。


タイムアウトか……流れを切られたけどまぁリードしてるのは圧倒的こっちだからいっか。

てか、もう4クォーター終盤も終盤の今にするって、もう少しタイミング早くした方が絶対良かったよな。


そうしてたら、今の顔より少しだけ光が残ってたかもしれないのになぁ


俺はベンチで額や首、腕をタオルで拭きながら相手監督の采配力の無さをに感嘆していた。


「そうそう、明日の準決勝の対戦相手伊仙(いせん)高校になったから」


「やっぱりかぁ……」


伊仙高校、鹿児島バスケ界において万年ウィンターカップに出場しインターハイも毎回鹿児島代表として出ている所謂強豪校だ。


アップを見たけど、周りと空気感があそこだけ異質だったんだよなー。

スリーポイントも全部決めてたし、ディフェンスフットワークもキモかったもん。


流石強豪校と言った所だよな。

本当にあんな所にいかなくて良かったと思う。


この時、俺等の瞳には今対戦している高校は映っておらず、2階席にいる伊仙高校が映っていた。


◆◆◆


「今日は蒼君からお風呂に入ってくださいね」


「ん、良いのか?」


普段だったら澪が1番に入るのに、今日に限って澪は俺に一番風呂を譲ってくれた。


「蒼君は今日頑張っていたので……今日だけの特別ですよ」


澪は俺の手を握って、頬を少し赤色に染めながら上目遣いで言ってきた。


手を握られたせいで、俺の体温が高くなっていくのが澪にバレてしい、澪も俺が照れているのが解ったとたん、一生懸命背伸びをして耳元でとある全国の男どもが自分の好きな人に言って欲しいフレーズ囁いた。


「よく頑張りました……」


俺が放心状態になっていると澪が一生懸命腕を伸ばして、俺の頭を撫でてくれた。


「よしよし…よしよし」


風鈴のように聞いているだけで体の疲れが吹き飛んでしまう様な綺麗な声が俺の耳に鳴り響く。


えっと……落ち着かせるために速く風呂に入るか


「あのー着替えを取りたいんですけど」


「照れ隠しですか……そんな蒼君も可愛いですね……ふふ」


だって澪に自分が恥ずかしがってる顔を見せたくないんだから隠すに決まってるじゃん。


俺は少しでも速くカウンターを入れたかったが、澪の攻撃が俺の許容範囲を優に超えているので、しかたなく澪のなでなでを堪能した。


もちろん最高の気分になった。


何秒撫でられただろうか?

わかんないぐらい長い時間頭を撫でられたが。


澪もやはり背伸びをし続けるのは一種の苦行だったらしい。

澪は俺の腕を握り、ソファーに座らせまた頭を撫でるのを再開された。

もっと


と言っても俺とて流石に長時間頭を撫でられると嫌でも目的であった風呂に入りたくなってしまう。


「……もう風呂に入りたいんですが」


俺がそう言うと、澪は手を止めた。


「っあ、すいません……つい長く撫でてしまって」


「いや、別に問題はないけどさ、とりあえず俺は風呂に入ってくるからご飯を作ってくれているとありがたいかな」


「昨夜の残りですけど大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だよ」


俺はそう言って2階に上がって行った。 


下からは何故か音が聞こえてきたが、向こうも向こうで悶えているということなのだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ