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15話 ミルヴィスの森の戦い

ミルヴィスの森に辿り着いた秋斗達は気を引き締めて森の中へと入っていく。定期的に探索の霊術を使用してゴブリンがどこに居るのかを探っていく。


「この付近には居ないようですね。」

「そうですね。グランツの話ではもう少し森の奥に入らないとゴブリンは居ないのでしょう。ゴブリンは狡猾ですので、何体かは巡回しているかもしれませんので、サーチの霊術は定期的に使った方が良いでしょうね。」

「分かりました。二人共大丈夫か?」

「何とか。」

「あたしも問題無いよ。」


ミルヴィスの森を歩いているといくつか倒れている木々があり、倒れた木々はまるで侵入を許さないようにして倒れている。倒れていた木を見ていたクレアは、木を切ったような跡があることからゴブリンの仕業だろうと推測して注意するように秋斗達に促していた。


ミルヴィスの森の道中は入り組んでおり、非常に歩きにくかった。時折秋斗は春奈と夏美に目を配っているが、修行の成果も秋斗達はまだまだ体力に余裕があるようだった。ミルヴィスの森の奥へと進んでいくとクレアは手を上げて止まるように指示した。


「これは・・・・・・。罠ですね。」


クレアはゴブリンが仕掛けたであろう罠を見つける。ツタを使って罠で罠の先の方を見てみると、木と竹でできた鳴子が設置されている。どうやらツタを踏むと音が出て侵入者を知らせる罠のようだ。


「ゴブリンってこういう罠も作るんだ。」

「そうですね。ゴブリンは手先が器用ですから。こういう罠を仕掛けたりしてますね。なので、サーチだけを頼りにするわけにはいきません。」

「なるほど。」


秋斗達もクレアに見習い、罠が無いかどうか目を光らせて辺りを確認しながら進んでいく。森の奥へと進むほど罠の数も多くなっており、道が間違っていないことが分かる。罠を探しながらの行軍は中々骨が折れるが、秋斗達は少しずつ着実にゴブリンの集落へと向かって行った。


罠を避けながら少し奥へと進むと、クレアはまた手を上げて草むらに隠れるよう指示をする。秋斗達は草むらに隠れて顔を覗かせてみると、緑の体をしたゴブリンの群れが見えた。グランツの調査結果の通り、多くのゴブリンが居り、家を建てているのが見える。ゴブリン達は腰に斧や短剣,棍棒などをぶら下げて作業を行っていた。目で確認できるだけの人数は20体くらいだった。他は家の中や警備に出かけている可能性もある。


「ホブゴブリンは一番奥にあるあの建物でしょうね。一先ず目の前のゴブリンを奇襲、掃討してからホブゴブリンと残りのゴブリンの掃討を行いましょう。」


クレアはホブゴブリンがいるであろう建物に指差した後、奇襲作戦を立案する。秋斗達はクレアの作戦に頷いて同意した。


「最初の戦う合図は私が出しますが、私は今回は皆さんのサポートを行いますので、皆さんは思った通りに戦ってみてください。反省点があれば僭越ながら私から助言をしますので。後、森の中なので、火系統の霊術は使わないようにお願いします。森に燃え広がったらファルア村の方も被害が出る可能性がありますので。」

「分かりました。」

「では見えているゴブリンですが、左の方は春奈が、右側を夏美でお願いします。秋斗は少し多いですが、真ん中いるゴブリン達の対処してください。」

「了解。」


秋斗達はクレアに返事をすると、クレアは奇襲の合図を出すタイミングを見計らう。ゴブリン達が歩くのを止め、作業を始めたところを確認すると、クレアは手を下ろして奇襲の合図を出した。


「ストーンバレット!」

「ホーリーランス!」

「シャドウクロウ!」


秋斗達は各々霊術を放ち、ゴブリン達を一掃していく。ゴブリン達の霊術の攻撃に悲鳴を挙げて倒れると、霧散して跡形もなく消えていった。家の中に居たゴブリン達は霊術で攻撃されたゴブリン達の悲鳴を聞いて外へと飛び出してきた。その中には若干赤みのある緑の体をしたゴブリンも出てきていた。他のゴブリンとは一回り大きいゴブリンが居た。


「あれはホブゴブリンでゴブリンの上位個体です!注意してください!」


クレアは叫んでホブゴブリンに注意するように秋斗達に伝えた。ホブゴブリンが雄叫びを上げるとゴブリン達が武器を片手に持ち、秋斗達に向かって一斉に襲いかかろうとする。


「いくぞ!」

「はい!」

「うん!」


秋斗達は襲い掛かってくるゴブリン達に対し、恐怖を振り払うようにして声を挙げていた。夏美は持ち前の身軽さを活かし、ゴブリンの攻撃を躱しながら次々とゴブリンに倒していく。秋斗も負けじとゴブリンが振るってくる武器を弾き飛ばしてゴブリン達を斬り伏せていった。春奈もゴブリンに遅れを取らないように盾で攻撃を受け止めつつ、細剣でゴブリンの急所を突いて倒していった。


「残るはホブゴブリンのみね!」


秋斗と春奈は家から出てきたゴブリンの対処をしていたが、夏美はゴブリンを早々に倒しきって、意気揚々とホブゴブリンに挑みかかっていく。ホブゴブリンは盾と剣を構え夏美と対峙している。夏美がゴブリンの上位個体であるホブゴブリンに対して一人で挑もうとしていたためクレアも前へと出て、秋斗と春奈がゴブリンに囲まれないようにしつつ、夏美のフォローができるポジションへと移動していた。


「いっくよー!」


夏美は距離を詰めるためにホブゴブリンに向かって走り出した。ホブゴブリンはニヤニヤと嗤いながら夏美を見ている。


「舐められてるなぁ。」


ホブゴブリンのニヤついた笑みにそんなことを言う夏美にもまだまだ余裕がある。距離を詰めたところでホブゴブリンは剣を振り下ろし夏美を斬りつけようとするが、夏美は体を反らして最低限の動きでホブゴブリンの剣を避ける。避けると同時に左手に持つ剣を振り上げるようにして、ホブゴブリンの腕を斬りつけた。


ホブゴブリンは腕に痛みを感じながらもまだまだ余裕がありそうだ。夏美はバックステップをしながら一度距離を取り、再度走り出す。


「これならどう?影分身!」


夏美の姿が二つに分かれ、ホブゴブリンを挟み込むようにして走った。


「「はぁぁ!」」


二人の夏美は声を上げてホブゴブリンを斬りに行くがホブゴブリンは剣と盾を上手く使って夏美の斬撃をいなしていくが、確実に夏美の攻撃はホブゴブリンに与えている。


「やるねぇ。」


夏美の双剣は短いため決定打には欠けているものの、少しずつ夏美に勝利が傾いていた。影分身の夏美も上手く本体のサポートができており、ホブゴブリンが攻撃をする隙を与えていない。


「夏美!油断しないでください!」

「分かってる!」


クレアの声を聴いて夏美は気を引き締めるために再度ホブゴブリンとの距離を取った。ホブゴブリンは夏美の斬撃によって体は切り傷でボロボロのように見えるが傷が浅いため、見た目に比べて元気だ。


「やっぱりパッシブオールだけだと力不足かな・・・・・・。」


夏美はポツリとそんなことを言うと霊力を高めてホブゴブリンとの距離を詰めると、影分身を更に増やし、3人でホブゴブリンに詰め寄っていた。


「一気に決めるよ!」


3人の夏美はホブゴブリンに双剣での斬撃を与えつつポジション取りを行っているようだ。夏美がホブゴブリンを攻め立てていると、秋斗と春奈はゴブリンを倒しきってクレアの傍まで来ていた。


「夏美はどうですか?」

「そろそろ終わりそうです。」


秋斗の質問にクレアは冷静に戦況を分析しており、ホブゴブリンは夏美の斬撃によって動きが鈍くなっているのが目に見えていた。夏美はホブゴブリン囲むようなポジションに立つと武器が黒くなる。後ろに陣取っていた夏美が高く飛び上がる。


「シャドウファング!!」


ホブゴブリンは前方に居る2人の夏美に気を取られていると、背後に居た夏美はホブゴブリンの両肩に向けて霊術を放った。呻き声を挙げるホブゴブリンは腕に力が入らなくなり、持っていた剣と盾を落とす。勝機を見逃さず、脚に力を入れた2人の夏美は最大限の速度でホブゴブリンとの距離を詰めて斬撃を放った。


「影牙十文字!」


2人の夏美はホブゴブリンを交差するようにして斬撃を決める。夏美の斬撃は先ほどまでの攻撃と比べると、鋭くなっており、ホブゴブリンの体に刃が深く刺さり、そして斬り裂いていた。肩を突き刺していた夏美は武技が決まったことを確認すると、ホブゴブリンを蹴って宙返りをしながら着地する。武技を決めた2人の夏美は役目を終えたような顔をして塵となるように消えていった。


「どう?凄いでしょ?」

「夏美、怪我はない!?」

「怪我なんてしてないよって、ちょっとくすぐったいよ!」


春奈は夏美をペタペタと触りながら怪我がないかを確認して、怪我がないことをホッとして胸をなでおろした。


「全くもう、凄いけどさ。あんま無茶しないでよ・・・・・・。」

「よくやったな。」

「上出来ですよ。夏美。」


こうして秋斗達は初めての実戦を勝利したのだった。クレアは秋斗達に定期的にサーチの霊術をしてもらい、討ち漏らしが無いか確認するように指示をした後、ゴブリンの集落を調べる。いくつかゴブリンが住んでいたと思われる家を見に行っていたが、今のところダンジョンは無い。


「やはり、ダンジョンがこの集落にあるとすればあそこですか。」


クレアはホブゴブリンが出てきた少し大きめの家を見る。ダンジョンを入り口を守護する魔獣がいるというのは聞いたことは無かったが、なんとなく、ホブゴブリンがダンジョンを守っているように見えたクレアはホブゴブリンが出てきた家へと足を運んだ。


家の中に入って辺りを見回すと家の広場の中心にはホブゴブリンが座っていたと思われる椅子だけがある。猪や鹿などが食い散らかされており、腐敗臭が凄かったが、浄化の霊術を使って家を綺麗にする。一息入れたところで辺りを見渡すが、特にこれといった物はない。隠し扉が無いかと椅子を調べていると椅子の肘掛けの裏にボタンがあった。


「押してみましょうか。」


サーチの霊術を使って敵がいないことを確認すると、ボタンをポチッと押す。すると、椅子の背もたれの後ろから重いものを引き摺るような音が響く。クレアは音がした方に目を向けると先ほどまで塞がっていた壁が隠し扉となっており、扉が開いていた。


「魔獣がこんな器用なものを造れるものなのですね・・・・・・。」


クレアは戦うことしか能がないと思っていたが、少し考えを魔獣に対して改めながら、ダンジョンを見つけるためにクレアは隠し扉の中に入っていく。隠し部屋は緑色の魔素が漂っており、この隠し部屋にダンジョンがあると確信した。中を進んでいくと魔素が溢れて出ている原因を見つかった。


「これですね。」


クレアは魔素が漏れ出ているダンジョン入口の扉を見つけることができたのだった。

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