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11話 初任務

秋斗達はリオンの時空転身の霊術によってリオンの執務室へと戻ってきていた。


「君達の部屋は最初に来た時の場所と変わらないから少し、部屋で待機だ。俺は王室に行ってこれからのことをカイル王達と相談する。一応すぐに動けるようにしておいてくれ。」

「了解です。」


秋斗が返事をすると、リオンは執務室から出ていく。


「あたし達の部屋ってどこだったっけ・・・・・・?」

「そうね。どこの部屋を使ってたか忘れちゃったわ・・・・・・。」

「僕も覚えてないな・・・・・・。」


そんなことを秋斗達が話していると、部屋の扉を誰かがノックし、女性の声が聞こえてくる。


「失礼します。皆さんお久しぶりです。」


執務室の扉を開けて入ってきたのは、秋斗達を案内してくれていたクレアだった。クレアは手を軽く上げながら秋斗達に挨拶をして、じっと秋斗達を見つめていた。


「な・・・・・・何か?」

「これは失礼しました。体付きや顔つきが以前と違っていましたので驚きました。さすが2年半も修行をしただけはありますね。」

「でしょう?修行滅茶苦茶頑張ったんだから!」


夏美は小さな胸を張ってドヤ顔を決めながら返事をする。クレアはうんうんと頷きながら秋斗達を見ている。


「そうですね。リオン総隊長の修行は厳しいですが、確実に成果は出ますからね。以前に比べれば霊力のコントロールも出来ているようですね。今もパッシブオールのスキルを常時発動できているみたいで。すごい成長を感じます。」

「分かりますか?」

「はい。これから共に戦う仲間としてよろしくお願いします。」


秋斗はクレアの洞察力は凄いなと思いながら話を聞いていると、クレアは笑顔で手を差し出した。春奈や夏美と握手をし、最後に秋斗と握手をした。


「では、こちらへ。すぐに修行に出たから部屋の場所を忘れてると思いますので、私が部屋を案内しますね。」

「よろしくお願いします。」


クレアの言葉に甘えて、秋斗達はそれぞれの部屋をクレアに案内してもらって各々の部屋へと向かったのだった。


▽▽▽


リオンは王室に辿り着き、秋斗達の修行の成果とこれからの方針について、相談しにきていた。


「ふむ。十分に力を付けたのであれば、次にやるべきは実戦だな。」

「はい。」

「新兵だけで実戦に行かせるのは少し不安が残ると思うのです。なので、この任務はどうかと思うのですが?」


カイル王とリオンの話を聞きながら任務の提案をしたのは、秋斗達がカイル王の子供だと思っていた眼鏡をかけている女性だった。彼女の名前はカルナ・チャンセラー。アルカディア王都の宰相で見た目は子供だが、頭脳はアルカディア王都では群を抜いており、内政や戦略などあらゆる方面で活躍している。霊術にも長けており頼れる宰相だ。


「なるほど。魔獣調査の任務か。」


カルナが示したのはアルカディア王都の東にあるファルア村の近くにあるミルヴィスの森の調査だった。ミルヴィスの森は鹿や猪などが生息しており、太陽の光が入らないほど木々が生い茂っている森だ。そのミルヴィスの森に最近になって魔獣であるゴブリンの存在が確認されたとファルア村にある駐屯地から報告があった。


最近になった各地で魔獣が活発に動いていることもあり、アルカディア王都の軍を各地に派遣していることもあり、王都の防衛を考えるとこれ以上兵を出兵することができなかった。そのため、現状は静観とされていた。


「確かに魔獣調査の任務なら問題は無さそうだ。しかし、最近の魔獣達は動きが怪しいような話を聞くが大丈夫か?」


カイル王は顎に手をやって険しい表情を浮かべている。最近になってよく現れるようになった魔獣の上位個体の存在が頭によぎったからだった。例えばゴブリンの上位個体で言えばホブゴブリンが一般的な上位個体だ。ゴブリンと比べてホブゴブリンの能力が全て上昇しており、上位個体と戦うのは一般の兵士なら厄介な存在である。他にも上位個体から変異した魔獣や上位個体から更に進化を遂げた個体の存在も秋斗達がこの世界に来る前から少しずつ存在が確認されていたのだった。


「そうですね。なので、副隊長を付ければ問題ないと思うのです。クレア副隊長なら秋斗さん達を上手くサポートしてくれると思うのです。」

「なるほど。リオンはどう思う?」

「はい。今の秋斗達の実力であれば上位個体相手でも引けを取ることはないでしょう。クレア副隊長をつけるのであれば不測の事態が起こっても正しい判断をしてくれると思います。」

「総隊長であるリオンはその判断するなら問題は無いか・・・・・・。」


リオンの言う通り、秋斗達の修行力は既に副隊長レベルの力はある。クレアのサポートがあれば問題は無いだろうとの判断だった。


「よし、2人がそう判断するなら問題は無いのだろう。秋斗達には調査任務としてミルヴィスの森へと派遣する。各々に準備をするように通達を頼む。」

「「はっ!」」


リオンとカルナは敬礼すると王室から退出した。リオンは調査任務の秋斗達に話をするために兵舎へと向かっていたのだが、リオンの後ろから少し息が上がったような声が聞こえてきた。リオンは後ろを振り返ると、必死にリオンの後ろを追いかけていたカルナの姿があった。


「どうかしたか?」

「ハァハァ・・・・・・。気が付いたのなら少し歩くスピードを落とすのです!」


リオンは立ち止まってカルナの息が整うのを待つと、カルナはリオンに説教を始める。


「ふぅ・・・・・・。もっと早く気づいていたはずなのです!声をかけるならもう少し早くできたはずです!」

「それは申し訳ないな。てっきり執務室に戻るものかと思っていたので。」

「まぁいいです。私もついていくのですよ。秋斗さん達とは王都に来た時に顔合わせをしているのですが、自己紹介はしていないのです。この機会に挨拶をしておくのです。」

「あぁ、そういうことか。」


カルナは眼鏡をクイッと上げながらリオンについてきた目的について話すと、リオンは歓迎の宴の時は仕事でカルナが出席していなかったことを思い出していた。


「そういえば、秋斗達が来た時は自己紹介していなかったのか?」

「そんなタイミングはなかったのです。この世界に召喚された時は来た時は王座の間から兵舎に向かったことは分かっていたのですが仕事があっていけなかったのです。歓迎の宴の翌朝に挨拶に行こうと思ったのですが、寝過ごしてしまったのですよ。」

「それはお疲れ様だったな。そういうことなら一緒にいくか。」


リオンはそう言うと歩くスピードをカルナに合わせ、執務室へと向かった。その道中に兵舎の門にいた兵士に声をかけて、クレアや秋斗達に執務室へと来てほしいと伝令を出し、執務室で待つことにした。


▽▽▽


秋斗はクレアに案内された部屋で寛いでいると部屋の扉をコンコンコンとノックをする音が響いた。


「はーい。どちら様でしょうか?ってクレアさん。どうかしましたか?」


扉をノックしたのはクレアだった。クレアの後ろには春奈と夏美の姿もある。春奈と夏美も秋斗と同じようにクレアに呼び出されていたようだ。


「秋斗、お休みのところすみません。リオン総隊長がお呼びです。準備してください。」

「分かりました。」


クレアはリオンから呼び出しがあったことを秋斗に伝え、すぐに準備するように秋斗に告げた。秋斗は部屋に戻り、身支度を整えると部屋を出て、リオンのいる執務室へと向かう。


「リオン総隊長の呼び出しって何でしょうか?」

「まぁ間違いなく任務でしょうね。秋斗達の初陣になりますよ。」

「初陣かー。わくわくするね?」

「私は心配。怪我をしないように頑張ろうね。」


秋斗達はリオンからの呼び出しでどんな任務をするのかを予想しながら歩いているとリオンの居る執務室へと着いた。クレアが扉をノックしてから、執務室へと入った。


「失礼します。」


クレアに続いて秋斗達も部屋に入ると部屋にはリオンと眼鏡をかけている女の子の姿があった。


「可愛い!」

「え、ちょっと何をするのです!?やめるのです!」


夏美は執務室に入るやいなやカルナを抱きかかえるとカルナの頬と自分の頬を当ててスリスリし始めた。


「ちょっと嫌がってるでしょ?やめなさい。」


春奈が夏美からカルナを取り上げて床に降ろすと、カルナは逃げるようにしてリオンの方へと寄っていった。


「玉座の間で顔合わせはしていたと思うが、彼女を紹介しよう。カルナ・チャンセラーだ。こう見えてもこの王都で宰相をやっている。」

「宰相!?」

「カルナ・チャンセラーなのです。以後お見知りおきをです。」


秋斗達の驚きの声を受け流し、カルナはペコリとお辞儀をして挨拶をした。その後、秋斗達も同じように自己紹介を済ませると、リオンは早速本題へと入ることにした。


「早速だが、秋斗達には生態調査の任務に行ってもらいたい。」

「生態調査の任務ですか?」

「そうだ。最近になってファルア村の近くにあるミルヴィスの森の生態調査だ。ミルヴィスの森は鹿や猪の草食動物が多い森なんだが、最近になって魔獣が住み着いているとの情報があった。本来はそこまで難しい任務ではないはずだが、ミルヴィスの森の話ではないが、ここ最近でゴブリンとその上位個体の魔獣の確認がされている。秋斗達の実力なら問題ないと思うが注意してほしい。」


リオンはゴブリンについて簡単に説明してくれた。ゴブリンは主な武器は近接武器で剣や斧,槍などを使って戦う。上位個体のホブゴブリンも同様に近接武器を使用する。特に注意することは、ゴブリンとは手先が器用なため罠をよく張っていることだ。接敵していなくても道中の罠で致命傷を負う場合もあるため、注意するよう秋斗達に伝える。少し緊張気味の顔つきになっている秋斗達にリオンは微笑みながら肩の力を抜くように諭した。


「まぁ秋斗達は修行を熟しているし、実力も十分あるから戦いで遅れをとることはないさ。ただ初めての実戦で修業の成果の半分も力を出せないかもしれないから油断すると死ぬ可能性もあるから十分に注意するんだぞ。」


リオンの最後の言葉に春奈や秋斗からごくりと喉を鳴らしているが、夏美は逆に冒険に行くことが分かると待ってましたとばかりに目を輝かせていたのだった。


「クレアは秋斗達のサポートについてくれ。頼んだぞ。」

「はっ!」


こうして秋斗達の初任務はミルヴィスの森の生態調査に決まると、まずはファルア村へと向かうのだった。


読んでいただきありがとうございました。

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