9話 模擬戦の行方
秋斗達はリオンが森に入ってくるのを確認すると、各々配置についてリオンが来るのを確認していた。
「よし、来たぞ。」
秋斗はリオンが森に入ったことを確認すると、春奈と夏美に手を振って合図をする。警戒するようにゆっくりと森の中に入っていくリオンの位置を確認しながら罠の発動タイミングを見計らう。
リオンは霊力を感知をして秋斗達を探しているが、秋斗達が森の至るところに罠を設置したことによって中々秋斗達の位置を把握できていないが、動きがあれば秋斗達の位置を正確に捉えることができるだろう。そう考えながらリオンは森の中へと入っていった。
秋斗は罠の位置にリオンが来たのを確認すると剣を掲げ、突撃の合図をしからてリオンに飛び掛かる。合図を見た春奈と夏美は頷きあって3人でリオンに飛び掛かっていく。
3つの動く霊力を感じ取ったリオンが木刀を構え、秋斗達の迎撃準備を整えたを見ると秋斗は罠を発動させていく。
「アースバインド!」
秋斗は土属性の霊術を発動し、リオンを土で縛ろうとする。リオンは地面が隆起するのを確認すると、横っ飛びをして罠を回避する。それを見た夏美手に持つ短剣を間髪入れずに投げた。
「焦ったか?いや、これは?」
短剣を投げた位置とリオンの居る位置で若干リオンは最低限の動きで避けたが体が動かなくなっていた。
「かかったわね!シャドウバインドよ!」
夏美は嬉しそうにリオンにそう言うと双剣を構えると慎重にリオンに近づく。技にかかっても慎重に動く夏美を見てリオンは関心した。夏美の投げた短剣には術式が込められており、任意で発動できるようにしていた。
「やるじゃないか。」
「でしょ?」
軽口を叩きながらもリオンと夏美は間合いを詰めている。秋斗と春奈も不測の事態に備え、警戒態勢を取っていた。
「発想は良い。ただ、これだけでは俺には勝てないぞ。アースクエイク!」
リオンはそう言って土属性の霊術を唱えた。唱えた術式によってリオンがいる地面が隆起し、自身の影に刺さった短剣を抜けた。確認すると、夏美に飛び掛かった。
「ストーンウォール!」
後ろでリオンの攻撃に備えていた秋斗はすぐさま土の壁を形成し、リオンの攻撃を防ぐと春奈がリオンに攻撃を仕掛けた。
「ホーリーランス!」
聖なる槍がリオンを襲い掛かるが上に大きく飛んでホーリーランスを避けるが、秋斗もリオンの動きに合わせて大きく飛び、刃が大きい戦斧を生成しながらリオンに追撃をしかけた。
「はあぁぁぁ!」
「クッ!」
大きく飛んだリオンの上からし、リオンの上から斧を振るう。秋斗の攻撃を受け止めるも、振るった斧の勢いが強く、リオンは地面向けて叩き落されてしまう。
「やるな。そろそろ攻めるか!」
地面に直撃するまでにリオンは態勢を立て直し、地面にぶつかることはなかった。常に受け手で戦っていたリオンだったが、攻めに転じることを決め、木刀を握り直して秋斗達に攻撃を仕掛ける。
「させるか!」
突っ込んでくるリオンに対して秋斗は大きめの盾を生成し、木刀を受け止めた。リオンの重い一太刀に歯を食いしばって耐えると仕込んでいた霊術を発動する。
「ストーンバレット!」
「考えたな!」
上空の四方八方に仕掛けたストーンバレットがリオンの視界の外から飛んでくるが、リオンが霊力を感知し、ストーンバレットの間を掻い潜るようにリオンが避けると―—―。
「やぁぁぁ!」
「たぁぁぁ!」
夏美と春奈が同時攻撃を仕掛ける。リオンは春奈の刺突された剣を地面向けて弾くとそのまま剣を踏み、振るった木刀の勢いを殺さずに刀身で夏美の双剣を受け止めた。
「なっ!」
「ウソ!」
驚きの表情をする春奈と夏美に目もくれずリオンは霊力の探知をすると、木々の合間を搔い潜って迫ってくる秋斗を見つける。
「うぉぉぉ!」
気合を入れた秋斗は剣を片手にリオンに対して持ち突っ込んでいく。
「きゃっ!」
「くっ!」
リオンは受け止めていた夏美の双剣を弾き、夏美と春奈を蹴り飛ばすと、迫りくる秋斗の剣を受け止めた。
「脇が甘いぞ!」
何度かの斬撃の応酬であったが、リオンは秋斗の隙をついて、秋斗の持つ剣を弾き飛ばすと蹴り上げる。
「ぐほっ!」
「ウィンドスパイク」
リオンのからの蹴りを浴びて秋斗は肺にあった空気を一気に吐き出した。リオンは攻撃の手を緩めることなく、霊術を使って、秋斗を木にぶつけて追い詰めていく。木にぶつかった秋斗は顔を上げた。力量の差を痛感しながらも、秋斗の目は諦めていない。秋斗の目を見てリオンはニヤリと笑う。
(まだ諦めていないか。まぁここまで修行についてきたんだ。この程度では諦めないか。)
そんなことを思いながらリオンは秋斗に詰め寄っていく。近づいてくるリオンに対して、秋斗は手を前に出して霊術を発動した。
「ウォータシュート!」
「ほう。」
秋斗の放った水の霊術はリオンの足を止めることに成功した。絶え間なく放たれているレーザーのような水の霊術を刀で受け止めているリオンは何とか前に出ようとするが、水圧によってじわじわと後退させられていく。
「まだ、こんな霊力が残っているとはな。」
秋斗の霊術の威力にリオンは思わず笑みを浮かべていた。
「まだだ。仕掛けた霊術を発動すれば!フレイムプリズン!ストーンバレット!ファイアボール!」
秋斗はウォータシュートの霊術を止めてからリオンを炎の監獄に閉じ込める。閉じ込めたところに次々の霊術を炎の監獄へと向けてぶち込んでいく。普通なら死んでもおかしくないような無慈悲の攻撃だ。
「やったか・・・・・・?」
リオンを閉じ込めている炎の監獄へと秋斗は近づいて見つめている。
「良い霊術だ。これなら魔獣相手でも問題あるまい。だが、まだ俺には届かないな。」
秋斗は後ろから声が聞こえて思わず振り返ろうとしたが、それは叶わなかった。リオンはいつの間にか秋斗の後ろに移動していたのだった。振り返ろうとした秋斗の首に向かって手刀を放った。
「嘘だ・・・・・・ろ・・・・・・。」
リオンの攻撃で秋斗は意識を刈り取られて倒れてしまった。
「兄さん!」
「兄ちゃん!」
蹴り飛ばされていた春奈と夏美がやってくるが、倒れている秋斗を見て仇を取りに行く。
「うあぁぁぁ!」
「はあぁぁぁ!」
「感情が大きく出過ぎだ。それは隙にしかならないぞ。もう少し感情を殺さなければ駄目だぞ。」
リオンは向かってくる春奈と夏美の攻撃を容易く避けると、まずは夏美に手刀を決めて意識を刈り取った。
「ホーリーランス!」
最後に残った春奈だったが諦めることなく、6つの光の槍をリオンに放ちながら自身も前へと詰め寄ってリオンとの距離を詰めていく。
(春奈も感情的だと思ったが、意外と冷静だな。)
リオンは春奈に関心しながら春奈の攻撃を捌き切っていく。春奈は攻撃を捌かれていくが、気にせずホーリランスを次々と放ち、時には剣を使いながらリオンに対しての攻撃を緩めない。
(中々やるな。武技を使わずにここまで力を振るえるなら実戦も十分に戦えるだろう。)
リオンはそんなことを思いながら、春奈の攻撃を捌き切ってから春奈の意識を刈り取った。
▽▽▽
「いやー負けちゃったね。」
「そうだな。」
「もう少しだと思うんだけど。」
秋斗達は山岳にある家のリビングで寛ぎながら今回の模擬戦について、振り返っていた。
「フレイムプリズンで間違いなく捕まえたと思ったんだけどな。」
「まぁいいじゃん。あたしなんて、良いところなかったから悔しいよ。でも次はちゃんと活躍するよ!」
「そうね。リオン総隊長も褒めてくれたし、次頑張ろうよ。」
模擬戦の後、秋斗達はリオンから今回の模擬戦について評価してくれていた。戦い方に対しての改善点を色々教えてくれたが、全体的には褒めてくれたのだった。先に霊術で罠を張ったことに対しては、実戦では中々難しいが、魔獣相手なら誘い込みこともできるだろうとのことだった。
リオンからの評価が嬉しく舞い上がっていた秋斗達だったが、リオンは秋斗達にこんなことに今後も精進するようにと釘を刺されていたのだった。
「そういえば、今日で修業も終わりか。」
「そうね。次からは任務を熟して戦いの経験を積ませるって言ってたね。」
「ようやくあたし達が活躍する時が来たってことよね!」
「夏美のその自信はどこから来るんだ?」
「ラノベだと、ここから這い上がってリオン総隊長に勝つんだよ!」
ファイティングポーズを取り、シャドウボクシングをしながらリオンとの再戦に意気込んでしる。
「そ、そうなのね。・・・・・・もっと修行して力をつけることになるのかしら・・・・・・。」
夏美の言葉に春奈は返事をした後、手を顎に当てて考えながらポツリと呟いている。かなり追い詰めていたはずだが、勝てなかったことを考慮すると、更なる策を練る必要があると春奈は考えていた。
「まぁ僕達の敵はリオン総隊長じゃないけどね。」
秋斗は目的を間違えないように春奈と夏美に話をしたところで秋斗達は解散し、それぞれ寝室に入って眠りにつくのだった。
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