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プロローグ
自分が人を助ける。そんなことはありえない。そう思っていた。
人を傷つけ、人に傷つけられ、悲しませ、失望させ。
自分が人を好きになったことなんてなかった。人を愛したことなんてなかった。自分が愛されたことも、自分を愛することもなかった。
そして、そんなことがこれから起こるとも、思わなかった。
ただ自分を針で囲んで、これ以上人を傷つけないように。いや、そんな良いものじゃない。周りを傷つけて、自分が周りに白い目で見られたくないから、自分で刺々しい鎧を身に着けて自分を守っていただけだった。
そう、"だった"。
これは、自分以外の何一つとして守ったことがなかった俺が一人の少女と出会って、"助ける"ことを学んだ物語だ。
一抹の奇跡の思い出に、少しだけ付き合ってほしい。