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男の名は
〇〇守等の官位呼びは最小限にします
「日本の副王」と呼ばれた男を知っているかと問えば、おそらく、後に“三英傑”と称される三人──織田信長、豊臣秀吉、徳川家康──と比べて、その名を知る人は圧倒的に少ないだろう。
「知られていないのだから、たいした人物ではなかったのでは?」
そう考える人もいるかもしれない。
確かに、知名度はない。
名前を出してみても──「三好? なにそれ?」と返されるのが関の山だ。
だが。
その生涯を、あの乱世の時代において正当に評価するならば、彼こそ、まぎれもなく「天下人」である。
四国が生んだ、完璧な男。
“日本の副王”──三好長慶。
これは、そんな男の物語である。
「ながよし」と呼ばれたり、「ちょうけい」と読まれたりする──
あまりに知られていない英雄の、真の姿を描く物語である。