亡国
第1章第4話
「忘国」
長い年月を、戦場で過ごしてきた俺にとって、この国は、別な意味で過酷だった。
それはそうだ、18年連れ添った相棒とも戦友とも苦楽を共にしてきた。銃がない。
不安でしょうがなかった。子供の頃なら横過したであろうこの平和と言う俺には分不釣り合いな
社会と秩序において愛国心すら沸きわしないこの国に半ば強制的に戻されたのだ。いつもそばには銃がありナイフがあり、武器弾薬があり硝煙と火薬のにおいにまみれた日々を18年過ごした。
なのに今更俺に何ができよう?この国の事など遠の昔に、捨ててきた国なのだ、だから今更一般人に戻れと言われても、何をしてよいものかと考える毎日だった。故郷を捨てた男が、戦場に身を置いて生きるか死ぬかの2択しかない世界にいた男が今後どうやって生きていけばいい?金はほとんど軍籍にいれば使わずにいたからいい、とりあえず、食うに困らない分は確保してある、しかしだ、日々、堕落と怠惰で退屈な生活には耐えられない死んでいった仲間の顔がちらつくだけだ。裏稼業ってもんには興味もないだからと言って、普通に就職と言うのもまた、味気ないし吐き気がする。良い様に使われて、いらなくなったらぽいと捨てるし、派閥抗争に巻き込まれるのも嫌いだ。この国に俺の居場所なんてない!そんなある日の事だった。時谷と名乗る男が、俺に接触をしてきた。なんでも、俺の経歴を知っており、国のとある機関に属する仕事をしているという?時谷?これは偽名だろう?つまり諜報関連の組織の人間であることは容易に想像はついた。名刺には聞いたことのない企業名これはシンクタンクか?偽装企業だろう?伊達に18年特殊任務だの潜入工作だのしてはいない、ファミレスのしかも、窓際ではない死角になりやすいところに席を取る、「あんたプロだな?それも諜報のな」と俺から口火を切った。時谷は、顔色を変えず、「さすが、特殊作戦部隊員ですね?」と返してきた「どこまでおれのことをしっている?」と俺は返した。時谷は、相変わらず無表情で「全てですよ?何なら軍籍やら過去の情報すべて言いましょうか?」と言ってきた。これで確定だ!「あんた公安だろ?しかも警察庁の公安じゃないな?法務省外局のほうだな?」と俺は言ってやった。流石の時谷も驚いたらしい?目を丸くして「これは驚いたよくわかりましたね?」と言った。
俺は、「昔あんたと似た奴らと作戦をやったことがあるFBIやCIA主にCIAと仕事したことの方が多いがね?」FBIは連邦警察局の略称CAI中央諜報局の略称だこの国で言うところの内閣調査室と法務省公安調査庁ってところだでもってこの時谷はFBIに位置する公安調査庁の人間だ匂いですぐに分かった。「俺はあんたらになんでマークされてるんだ?家探しすればわかると思うんだが?」ここまでくるとお互い腹の探り合いが始まる。「それにあんたの名前も偽名だろ?まぁ~情報屋が良く使う手だ」と言ったその時だ一人の男が後ろから入ってきた俺のよく知ってる男だった。
「武田あんまりいじめてくれるなよそいつだって仕事でやってるんだぜ!俺の顔に免じて許してくれや?なっ?」とわり~と言わんばかりに方手で御免とやってくる
「お前の部下か?榊原?でなんで俺が公安にマークされてるんだ?」と久々に会う昔のバディににらみつけていった。「な~武田?また俺たちと仕事しないか?今日はスカウトしに来ただけだ。こいつの技能じゃ即ばれするのも織り込み済みだったからな!」となんだか懐かしい豪快な笑い声だった
飽きれた俺は「俺はこいつの練習台か?そんなことしてやる義理はないしこの国じゃ俺の居場所なんかありゃしないんだぜ?榊原くん?」と嫌味を言った。榊原は、「あそこに優良物件いるから声かけてこいと指示したのは俺だ。お前の技能遊ばしとくのは持ったいない」と言い出した。「なら、お前が直に声かけりゃ無駄な時間と労力使わんで済んだだろうがよ?」悪態をつく俺、「そしたらこいつの訓練にならんだろうがよ?特にお前みたいな、即座に人を見破り、いつでも臨戦態勢に入れる兵に対してはよ?」「ほざけ、お前だって御同類だろうがよ」ととっさに返す。
うんんっと咳払いをした榊原から「そろそろ本題に入るがいいか?」と聞かれたので、そっけない態度で「好きにしろ!」と言った榊原は真顔になり「実はな、今度非公式ではあるが、新設の課が発足されるんだうち等の所、でな、その課はパラミリなんだよなもんでな、戦闘職種部署になるとなるとこの国の憲法上やばいわけだ。」と言った榊原に、即答で「陸自のSにでも頼めよ、それかSATとかさ」と即座に言った。榊原は「それができれば苦労しないんだよ。第一に自衛隊は国内防衛が主任務だし、SATは、治安維持対テロ部隊だ!俺ら法務公安は、国内外問わず情報収集は出来るが結局のところ後手に回る訳だ、でだ、パラミリオペレーターを作るって話になる訳だ。」とひょうひょうと話す榊原だった。呆れた俺は「法務省が?法の番人が?違憲犯すのか?」と俺は、吐き捨てた。「武田よ~未然に防ぐんだよわかるだろ?」「榊原、確かに俺たちがいた世界じゃ正論だがこの国じゃ無理だろ?」「だから、秘匿部隊なんだよ!」「お前俺に話した時点で秘匿部隊じゃね~だろ?」と議論が始まる「デビジョンはいくつ作るつもりだ?」と俺が聞く「一応1個中隊分ぐらいだ」と榊原は言う更に予算の都合上これが限界らしい「話にならんな多く見積もって1個旅団は必要だろうが?それを、1中隊で補えと?死にに行けと言ってるようなもんだ!」「だから、俺たち傭兵しかも特殊作戦特化の人材をスカウトしているんだよ」と榊原が言う
続く