事故?事件?
第三話
----病院
「どうしたんだ、病気か?」
「違う
階段から落ちて頭を打ったらしくて
万依は意識のない状態のまま」
「警察は事故と判断したらしいけど」
「玲奈は事故じゃなくて誰かに
やられたんだと思う」
「誰かに?って」
「何の根拠があるんだよ」
「だってその日は玲奈と待ち合わせを
してたんだよ」
「けど、こないなと思ったらぜんぜん違う
ところのビルの階段から落ちたって聞いて」
「それとメールに、『もし私に何かあっても
私のせいじゃない』って入ってたの…」
「だからこうなった理由を探してるの」
「探偵ごっこか?」
「ごっこじゃないよ」
「本当の事を知りたいだけ」
「それで、学校を休んでるのか?」
「まぁ…」
「けど、どうやって真実を探すんだよ」
「何をどうやって探すの?」
「これ見て」
玲奈は手に持っていたのを見せた。
ピアスだった
小さな黒いオニキスの飾りのあるピアス
「これがなんだよ?」
「これが階段のところに落ちてたの
これは万依のものじゃないの」
「突き落とした人が落としたのよ」
「そんなの警察が見落とす訳はないだろう」
「関係ない誰かが後で落としたんだろうよ」
「万依が倒れてたのは3階の踊り場」
「これが落ちてたのは5階の
非常口のあたり、床の隙間にあったの」
「各階に非常口があるから
普通はそこから出入りすると思うの」
「だから万依は4階か3階から出たの」
「たぶん4階にいたんだと思う」
「だって5階はなにもないフロアなのよ」
「わざわざそんなところから
出入りするなんてありえる」
「ありえたんだろうよ」
「違うの非常口は内側からしか
開かないので4階にいた万依を上か
降りてきて突き落としのよ」
「犯人はそのまま降りていくんじゃないの?」
「恵介バカだね」
「万依の血で踊り場の床は濡れてたのよ
それを踏むと思う?
だから犯人はもう一度上に行ったの」
「4階だと人に見られるかも
しれないから5階まで行って出たの」
「けど外からだと開かないんだろ」
「そこなの」
「私は見つけたの…ドアの鍵のところに
あったネバネバしたものを」
「多分テープか何かで塞いで
鍵がしまらないようにしてたのよ」
「外からも開けれるようにね」
「5階は誰も使ってないのを知っていたから
前から細工してたのよ」
「それで済んだ後に外から開けて
テープを外してフロアに戻ったんだよ」
「それとピアスとどう結びつくんだよ」
「たまたま落ちてたのかもしれないぞ」
「ピアスのポスト、針の事ね
そのポストの先端にうっすら
血みたいなのが付いてるの」
「多分、万依が倒れる時に引っ掻いて
キャッチが外れてピアスが抜けそう
になってたのが、5階でなにかの
拍子に落ちたんだと思う」
「キャッチって?」
「何にも知らなないのね」
「おじさんだからね」
「ホール••耳の穴ね、ホールから
ピアスが抜けないようにポストを
留めてる金具のこと」
「病室に入って万依の指が見れたら
はっきりするんだけど」
「へぇ、すごい推理だね、けどちょと
推理が強引じゃねぇか?」
出会ってまだ2時間だというのに
こんな怪しい事故のことを話しをしている
こと自体、不思議な感じがした
ほんとうにレイナの言う通り事件かもしれない
それなら誰が何の為に
万依を突き落としたんだ?