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陰陽戦記  作者: 有田蟻太
第一章 魔王編
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学園生活3  研究

次の日は学校が休日であったのだが午前は少しのんびりとして午後から部活に行くことにした。部活に行くと早速私は部長に研究室へと連れ込まれた。

一緒に部室まで来たボークエットは部長に首根っこをつかまれて、研究室へと連れていかれる僕を見ては苦笑いしつつも手を振って見送ってくれた。

私は助けてくれようという懇願の視線を送ったのに、、、


ヘアに入るとすでに昨日の魔方陣が広げられており、部長はその前に僕を立たせると、


「昨日の反省をするぞ」


そう昨日とは打って変わった真剣な表情でいうと魔方陣をにらみつけるように見始めた。


「あの~モーリンソンさんは?」


「知らんどうせどこかでくすぶっているんだろう」


と少し不機嫌になって答えた。私は少し危険な雰囲気を感じたので話を変えることにした。


「やはり昨日のあれは私とあなたの陰の気と陽の気が混じって力を相殺してしまったのが原因だと思うのですが」


「ああだから私はこことここの部分をもう少し改良できないかと思ってな」


そういって指示したのは二つの力が交わりにくくなるように接近している部分の間に細かく書いた小さな魔方陣であった。


「ああそこは陰の気の力で空間結界を作っているのですね。ですがこのつくりではこの空間結界を作るための陰の気が陽の気と混ざってしまっていますね。その結果、結界の力が切れ二つの力が混ざってしまったのが今回の原因ということですか?」


「ああその通りだがかといってこれを外せば他の力は混ざりたい放題になってしまうのだ」


「その通りですねどうにか結界の魔術が混ざらないようにしないといけないのですが」


「それが難しくて悩んでいるのだお前も早く考えろ」


私も頭を悩ませ考える。

陰の気と陽の気の違いそれは作用するものの違いである。

陽の気は視認できるもの存在そのものに作用するのに対し陰の気は視認できないものすなわち空間であったり時間であったりといった概念的なものへの作用を行うのだ。

そのため例えば、陽の気は武器や身体の強化や既に存在するものの強化、サイズ拡大、縮小などが可能なのに対し、陰の気は時間の流れを変えたり(止めたり戻したりは不可能)空間に作用させ何もないところに火や水、見えない障壁(結界)などを作り出したりすることが可能なのである。

では陰の気の方が陽の気より圧倒的に使い勝手がいいと思うかもも知れないがそうではない。

既に存在するものは変えられないし、火を空間に起こすにしても既に存在する火を陽の気で強めた方が圧倒的に効率的なのである。

そのためこの魔方陣のつくりも、陰の気を使いもになる細胞を作り陽の気でそれを活性化させてそれぞれ所定の量だけ増やすという工程をたどっているのだ。


さて今問題のこの結界は陰の気だけで形づくられており、ただ維持するだけでもそれなりの陰の気を消費するわけなのにそこに陽の気とのまざりでの消耗で大量の陰の気を使用するのだ。

今思うと部長はかなりの量の陰の気を持っているのだろう。昨日のあれが鮮明に焼き付きすぎて忘れがちだがあんな人でもここの部長をやっているだけのことはあるまだ発展途中とはいえ私の持つそれと同等かそれ以上の力を持っているのだろう。

そんなことを考えていると部長は何か思いついたのか別の紙にあわただしく書き込み始めたのであった。


「やはりここで陰の気を使って魔法を維持するからいけないという結論にはすでに達していたが、どうしてもそれでは魔方陣が大きくなりすぎてしまいここに収まらなくなるそこでここにあらかじめ陰の気で私自ら陰の気の結界を張りそれを強化するだけの魔方陣をここに張ればよいのではないか?」


さすが先輩であった僕よりはるかかなたまで思考回路を巡らしてようだ。しかし


「しかしそれでは今度は陽の気が陰の気の方に混ざりこみます。まあ前よりは格段にましになるとは思いますが」


「う~んそうだなではどうすればいいと思う?」


「それは私にもわかりませんそもそも結界じゃないといけないのでしょうか?」


「陽の気も陰の気も通さない素材などないのでしょうか?」


「う~むあるにはあるがとても高価な代物だ」


「そうですか」


「今日はそろそろお開きにしないか?もう6時だ君はもう帰らないといけないだろう?」


「ああそうですね。今日はありがとうございました。」


ふと時計を見るとこの部屋に入ってからもう2時間も過ぎており少しおどろかされた。


部屋を出るとポークエットが僕を待っており、僕を見てふっと笑うと


「部長のあいてお疲れ様。あの人、性格かなりどぎつめだから結構大変ですよね」


「うんまあそうだね。けど楽しいよ」


「まあそうだよね僕は絶対願い下げだけど楽しいことは楽しそうだよね。それにあの人の研究は毎年すごいんだよ」


そういって彼は去年の発表会で発表されたショーインさんの研究について教えてくれた。

そう語る顔はとても楽しそうでなんやかんや言いながらも、ショーインさんを結構したっているのが見て取れた。


「じゃあまた明日な」


そう彼は言うと僕たちは校門で別れ、それぞれの帰途に就いた。



その日の夜、父が城に来ているということでともに食事をとった。

私は父に今日あったことを話すと、いつもは気難しそうな顔をしている父も目を和ませていた。

またついでに魔方陣で陰の気と陽の気が混ざらないようにするにはどうすればいいか聞いてみると、


「今はまだわかって居ない」


という返事が返ってきたどうやら父の話を聞く限りこの難題は長年研究されているものでいまだにうまくいっていないものなのだそうだ。

どうやら僕たちがどれだけ頭を悩ませても解決できない問題であったようだ。

父との食事はその画もあたり触りのない会話をしてその日は幕を閉じた。

父は最後に


「しっかり特訓はしているようだなそのまま続けろよ」


という言葉を残して去っていった。

わたしはその姿が見えなくなるまでひきつった笑みを浮かべて見送るのであった。


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