10歳の誕生日
今日で10っ歳を迎える私は、父と父の友である牛魔王様に呼び出されて魔王城にのとある一室にいた。
父はもちろんのこと牛魔王様も私の稽古のためにここ5年間週1以上の頻度で会っているのでそこまで緊張はしていなかったが大事な話があるとのことなので少し不安ではあった。
やはりあのことであろうか私は一抹の不安を覚えつつも二人が来るのを待っていたのである。
それから5分くらいたってから父と牛魔王は部屋へと入ってきた。
しかしながら、二人は難しい顔をしたままかたくなに黙っているだけなのである。
「話とは私の出自についいてでしょうか?」
たまりかねた私はかねてより不安に思っていることを単刀直入に尋ねてみた。
二人は物凄く驚いた顔して
「い、一体どこでその話を?」
と聞いてきた
「どこでと聞かれましてもわかるでしょう世界最強とうたわれる牛魔王様や世界で2番目に優れているとされている父ですら陰の気、陽の気どちらか一方しか使えぬのに私だけ両方使えるのはあきらかにおかしいではないですか。そのうえ父の部屋にあった書物にはどちらかしか使えない前提で戦い方や力の使い方についても述べられていましたし。」
「そうか」
父はそれを聴くと押し黙ってしまった。代わりに口を開いたのはぐ魔王様の方であった。
「確かに普通、人間や動物と呼ばれるものはそなたの父のように陽の気しか使えぬし、魔物や魔人と呼ばれる類のものはわしのように陰の気しか使えん。つまりお前は限りなく異質なのだ。」
「そうですか、、、」
分かり切っていたこととはいえやはり近しい者から異質な存在と明言されるのは、かなり心にきた。
しかしそんな様子の私にさらなる爆弾を牛魔王は投げかけてくる。
「敏いお前なら気付いているかもしれんがお前の父は仙人クレアルボークはお前の本当の父ではない。お前の本当の父は西大陸東部の海に浮かぶ華火山という島のものだ私は名前すら聞いておらん」
今まで10年間信じてきたことがあっという間に崩れ去ってしまったことに猛烈に混乱した頭は思考を停止し私はただ茫然していたがそれは時間とともに無くなっていき入れ替わるかのように大きな悲しみと不安が襲ってきた。それは私の瞳から涙をこぼれさせうる出来事であったのだ。泣かずに堪えた自分を褒めてやりたいぐらいである。
そんな悲壮な顔をした私を見かねたのか父は私を静かに、やさしく、抱きしめて
『私はいつまでもそなたの父である」
たった一言そう耳元で呟き元の場所へと戻っていったのであった。
「見苦しいとこを見せてしまった」
と一言牛魔王にそういった
「いやいいものを見せて貰ったいつも難しい顔ばかりしておるそなたもちゃんと父親をやっているのであるな」
牛魔王は生温かい視線を父に向けて言うといつも固い顔をしている父は少し顔を赤らめて
「私とて大切なものぐらいあるのですよ」
と言った私はこの言葉に泣きそうになるの必死にこらえて黙り込むのであった
そんな様子の私と父を益々生温かい視線で見つつ
「ではこの話はこのくらいにして10歳の誕生日を祝おうでわないか。」
と言って呼び鈴を鳴らすと豪勢な食事とともに楽器の演奏を生業とするものや牛魔王様が忙しいときに稽古を見てくださる牛魔王様の側近や父の弟子たちが入ってきた
「コーアレック殿お誕生日おめでとうございます。」
と言って口々に入ってきた。
私は今までうつむけていた顔を上げ満面の笑み浮かべて
「皆様ありがとうございます」
と答えるのであった。