17・薬草採取依頼。
どうしてこうなった?!
パーティはオレとアリィとアリィの兄達で四人だったはず。
なのにどうして女が二人も増えてるんだ!
「お兄様達ばかりズルイわ。
私も見学者枠でいいから連れてって!
ああ、護衛はこの子が居るから気にしなくて良いわよ」
アリィの姉でギリィ様の長女・エリィ様。
メイドの格好をしてるけどどうみても猛者な雰囲気バリバリな女が付いてる。
なるほど、護衛ね。
だけどオレにも分かるってのはわざとなのか?
まあ、怪しい冒険者なのは確かだしなぁ。
多分警告してんだろうな。
見学者枠で! ということなのでダンジョンは除外。
アリィ達は文句を言ったけどお嬢様をあんな所に連れて行けるかよ!
薬草各種の採集依頼を受けることにした。
常設依頼だし駆け出しはまず街中の依頼と採集依頼から始めるんだしな。
街中の依頼は街をよく知ることと街の連中に認知してもらうことが目的だ。
そうして依頼を受ける手順や報告の仕方に慣れること。
採集依頼のほうはフィールドに慣れること。
周囲への警戒の仕方、魔物や魔獣の気配を探る方法などなど。
まあ、覚えることは多い。
先輩のパーティが荷物持ちとして連れて行ってくれることもある。
引退した冒険者がガイド兼教師役を引き受けることもある。
今回のオレはこの役割だな。
ギルドにある薬草についてのパンフを配った。
そうして実物と比べさせる。
採集する部位は薬草ごとに違う。
葉っぱだけで良い物、実だけ、芽だけ、根っこだけ、全部採ってきて良い物。
「コレって全部覚えてるの?
ずいぶんな種類だと思うんだけど」
まあ、何度もやってれば自然と覚えるさ。
間違えると収入が減るしな。
それに覚えておくとポーションが切れたときとか食糧が足りなくなったときの
一時しのぎにも使えるからな。
まるきり無駄な知識ってわけでも無いんだよ。
狩りの獲物がいつでも目の前に現れるってわけでも無いからな。
狩りの方も獲物ごとに住む場所、通る道、巣を作りそうな場所なんかが分かると
狩りやすいのはわかるだろ。
新人は覚えることが山なんだ。
それを自然に使えるようになれば一人前ってところだな。
アリィはそう言う知識や常識、気配察知や戦闘の仕方なんかをすでに
叩き込まれているようだ。
別の世界のものとはいえ基本はどうも同じらしい。
もっとも体はガキだからな。
常識外れな量の魔力を使って魔法を操るくらいがせいぜいだ。
お嬢様なエリィ様(様を付けないとメイドがうるさい!)は文句を言わなかった。
屋敷から出ることさえマレなことらしい。
まあ、女で子供で一人娘となったら普通はそうなるんだろう。
アリィの転移で採集依頼にちょうど良い草原に移動した。
実はココは薬草採取の為に多少の手入れがされてる場所だ。
引退した冒険者達はこういう仕事をしてたりする。
いつもソコに居るってわけじゃあないんだけどな。
ところがその日はその場所にいた。
死にそうな大ケガをして!