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七話



二人におやすみなさいと言い部屋に戻る。

寝る支度を整えてベッドに潜り込んだ私は目を瞑るも中々寝付けない。

レイとルミは大丈夫だろうか。

気になる…。

よし、やるか…。

私はそっとベッドから抜け出した。

誰にも見つからないよう移動すると目的の場所についた。 もちろん二人の部屋だ。近くにしてもらってよかった。

意外と見つからないものだ。運が良かった、これは神が助けてくれたに違いない。ありがとう。



私はノックもせずにそっと扉を開く。

マナー違反だが物音を少しでも立てたくない、許して。

閉める時もゆっくり音を立てないよう慎重に。


「こ…こんばんは〜」

「え?」

「なんで?」



ポカンとする二人にすみません、と頭を下げながら近付く。


「ごめんなさい、突然ノックもなしに…。起こしちゃったかな?」


寝ていたら申し訳ないことをした。

というより私は何故相手は寝ているかもしれないと考えなかったのか…。非常識にもほどがある。自分の勝手さに落ち込んでいると二人が口を開いた。


「いえ、大丈夫です」

「その…寝付けなくて」

「本当?私も二人が気になって眠れなかったの。せっかくだから何かお話しましょう!」



えい!と二人の間に割り込む。はしたないが子どもだし誰も見ていないからよし。

子ども万歳!


「えっと…べ、ベルティア様?」

「だ、ダメですよ!」


レイもルミも焦りながらも止めようとする。


「私がいると嫌?」


私がそんなこと言わないでと悲しそうにする。


「嫌ではないですけど」

「なら良し!」


無理矢理言わせた感があるが構うものか。

パジャマパーティーだ。



三人で川の字になって寝転ぶと、ふと聞き忘れたことがあったと思い口にする。


「そういえば二人って何歳なの?」

「僕たちですか?今年九歳になりました」

「…あれ、二人とも私より年上?」


小さいから同じか下かと思っていたら上だった。そうか栄養が足りてなくて身体の成長を阻害してしまっていたのか。これはこれからどんどん食べてもらわなければ。

それはそうと上とは思わず偉そうな態度を…。いや、一応雇い主ということで上からでもいいのかもしれないが。うう…申し訳ない。


「ご、ごめん。同じか下かと思ってた。生意気だったよね!?ごめんなさい」

「そ、そんな!謝らないで下さい、私たち平民ですし」


気を遣わせてしまった。さらに申し訳ない。だんだん落ち込んできた。

重い空気になりしばらく無言の時間が続いたのだがレイがポツリと言った。


「ベルティア様は何故僕達を拾って下さったんですか?」


さっぱりわからないとレイは言う。

そうだな…やっぱり、

「うーん。自己満足かな?」

それしかない。

そう言うともっとわからないと言った表情になる。


「どう言うことですか?」

「あのまま二人を放っておいたら気になって仕方なかったと思うの。なんとか出来たのではないかとかそのまま死んじゃってたらどうしようとか」


気になりすぎて胃が痛くなっちゃうでしょと笑う。


「私は自分勝手なのよ。これから二人とも大変よ」


おどけて見せると二人は少し雰囲気が柔らかくなった。

二人は少しずつ口を開いた。



「お父さんもお母さんも死んじゃって…誰も助けてくれなくて…」

「僕達もうダメだと思ったんです…でもそんな時ベルティア様が来てくれたんです」

「ベルティア様だけが私たちに手を差し伸べてくれた。すごく嬉しかったんです」


理由はどうあれ僕達は救われたとレイは言う。

私はそんな二人の手を握った、もう大丈夫だと。


「ベルティア様は温かいです」

「抱きしめてくれた時もすごく安心しました」

お父さんとお母さんが戻ってきてくれたみたいだったと笑うルミ。




「良いお父様とお母様だったのね」

「はい!いつも私達を抱きしめてくれました。すごく優しかったんです」

「なら、きっと二人には笑っていて欲しいはずよ。だからいっぱい笑って幸せになりましょう!」

そのための助力は惜しまないわよ!と握っていた手に力を込めれば二人はありがとうございますと言って泣いた。


二人は落ち着くと少しすっきりしましたと微笑んだ。


それから三人で他愛のない話をしていつのまにか疲れて眠ってしまった。

三人でたくさん遊ぶ夢を見た。きっと正夢になる。





朝起こしにきた侍女に見つかり父様と母様に呼び出されめちゃくちゃ怒られるたのは別のお話。とほほ…

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