六話
「ティア、話がある」
二人が連れてかれるのと入れ替われようにやって来たのは父様と母様。
「本当にあの二人を側に置くするつもり?」
「はい。お願いします。私は決めたんです」
「何処の誰だかわからないものを側に置くなんて笑われたりしてしまうかもしれないわ」
母様の言うことはもっともだが私は決めたのだ。最初は確かに同情だった。だが何故かこの短い時間であの二人に惹かれたのだ。
理由はわからない。ただの勘かもしれない、それでも良い。私は自分に従う。
「それでも構いません」
「あなただけの話ではないわ。あの二人だって他の者に嫌なことを言われたりされたりするかもしれない」
「そんなもの、私が蹴散らします!」
母様に負けません、私は本気だと訴える。
すると母様はフッと表情を和らげた。
「そう、本気なのね…それなら良いわ。大切にしてあげなさい」
「ありがとうございます!」
母様に認められ私は嬉しくて思わず飛びついた。
横で父様が羨ましそうに見ていたがそっとしておいた。というかいたんだ。
そうそう父様を見て思い出した。
「父様、二人は私の下で働くのだからお給金を用意してあげてね。お願いします。」
「あ、ああ。」
経緯はどうあっても働いてもらうのだからその辺はしっかりしておかねばならない。
その後二人の今後について話し合いをしどうするか決めると丁度良いタイミングで二人が戻ってきた。
「旦那様がた終わりましたよ」
そう言って侍女達が連れてきた二人はものすごくキラキラしていた。天使がそこにいた。
「まあ!とても可愛らしいわね!」
皆驚いて沈黙していたが母様が一番に復活して二人を褒め称えた。
母様の言う通りめちゃくちゃ可愛らしい。
レイはサラサラとした金髪に深い闇の様な濃紫の瞳。
ルミも綺麗な金髪に光り輝く金色の瞳をしていた。とても綺麗な双子だった。
初めて見たときから綺麗とは思っていたがまさかここまでとは。
想像以上だった。これは結構可愛いくない?と思っていた私が霞む、悲しい。
「これは驚いたね。まさかこんなに綺麗な子達とは」
父様も二人を褒める。私も、私も褒める。
「二人ともすごく綺麗!私ビックリしちゃった。これからよろしくね」
「よ…よろしくお願いします」
その後二人は軽く健康診断をしてもらった。
栄養失調だそうだ。
だろうな。
ひとまず二人は心細いだろうからと同じ部屋を用意した。
自分たちの部屋の広さに驚いていたが、みんなこれくらいよと言ったらさらに驚いていたが気にしない。
「もともと一人部屋だからベッドが一つしかないの。今度用意してもらうから今夜はこれで我慢してね」
と言ってもベッドも大きいが。
まだ寝るには早いので少しお喋りしてから戻るとする。
「改めて自己紹介するわ。私はベルティア・リズナール。一応公爵令嬢なのよ。よろしくね」
「お願いします…」
「そんなに怖がらないで?仲良くしましょう」
レイ達は萎縮してしまっているのか上手く話せない。
やはりこれはまず仲良くなる事から始めねば。
「二人とも私の下で働いてもらうと言ったわよね」
「はい」
「最初の仕事を言いつけるわ」
その言葉にレイとルミはビクッと肩を揺らし緊張した面持ちで私の言葉を待つ。
「まず、その痩せた身体と縮こまってしまう態度をなんとかしてもらうわ。そこで!」
私は言葉を切り二人を見る。何を言われるのかビクビクしているが気にせず続ける。
「しばらく私と遊びましょう!」
「え?」
「はい?」
中々の間抜け面だった。