番外編 ルミ
ルミ視点ですが百合要素があるので苦手な方はバックして下さい。
平気な方のみお願いします。
私はルミ。光の魔力を持つものだ。
私は昔両親を亡くして双子の兄と二人きりになってしまった。もうダメかと思った時ベルティア様が私達を救ってくれた。
私はベルティア様が大好きだ。
本当はただの好きではない。一般的に男性が女性に、女性が男性に抱くような気持ちだ。
ベルティア様は私やレイの事をいつでも気にかけてくれた。
私は少しでもベルティア様と一緒にいたくて光魔法の特訓に付き合って欲しいと言った時も嫌な顔せずに付き合ってくれた。本当は一人でだって平気だったのに。
そういえば私達が大きくなると私の胸元をみたあと自分の胸をみてがっかりしている姿はとても愛らしかった。レイもよく言っているがとにかくベルティア様は可愛い。
学園に入学してしばらくするとベルティア様が部屋で泣いていた。レイが好きだと私に話してくれた。
やっぱりと思った。やっぱり私を選んではくれないのねと。
でもベルティア様には好きな人と一緒になって笑って欲しいので自分の気持ちに蓋をして応援することにした。
恋するベルティア様もとても可愛くて諦めきれなくなりそうだった。でも私はベルティア様に幸せになって欲しいのだと言い聞かせた。
そしてベルティア様はセルフィーナ達に正直にレイの事が好きだと話してしまった。レイのことを狙っている令嬢を敵に回してしまったのだ。そういう真っ直ぐな所も彼女の良いところなのだが。
それからベルティア様は前から嫌味は言われていたようだがそれが悪化してしまった。
どんどんベルティア様が孤立していくが私もレイも何もしなかった。
レイは自分を頼りにして欲しくてわざと何もしなかったのだろう。他人は酷いことを自分は誰よりも優しくしてレイしか頼れる人間がいない、そんな状況にしたかったのだと思う。
でも、私も同じことを思ってしまった。一番になれなくても。せめて…せめて…同性の中では一番にしてほしかった。
本当はレイじゃなくて私を見てほしかったが。
だけどベルティア様は私たちに頼ることなく一人でなんとかしようと行動してしまった。
魔の森なんて危険な場所に行ってしまったのだ。
こんな事になるならどんな手を使ってでもレイと私で周りの人間を黙らせるべきだった。
ベルティア様が戻ってくるまで心配で仕方がなかった。戻ってきた時には力が抜けて倒れそうになった。しかしベルティア様は怪我をしていてすぐに治さなきゃと思い駆け寄る。
そして怪我を治せばベルティア様はもじもじしながら私に何か伝えようとした。なんとなく察しがついたが聞くまで信じたくなかった。でもレイがベルティア様から聞く前に恋人同士になったと先に言ってしまった。
言葉にされても理解したくなくて一瞬動けなくなったがすぐに笑顔を張り付けておめでとうと言った。上手く笑えていただろうか。
次の日はベルティア様を休ませて私とレイはベルティア様を悪くいう人間を脅して回った。次何かしたらどうなるかわかっているか。高位貴族を敵に回してただじゃ済まない。魔法を使うことだって躊躇わない。ジリジリ追い込んでやってもいいんだぞ、闇の魔法は証拠が残らないからねと。
さらにレイはセルフィーナに「君には全く興味などない。むしろ目障りだ。僕とベルティア様の前から消えてくれ」と言っていた。
学園の授業が終わるころ旦那様とカルロス様がやってきてベルティア様とレイを正式な婚約者として認めた。
私はすぐに女生徒達に広めたし男子生徒にも絶対に手を出すなと釘をさした。
そして二人はいつも寄り添い合うようになった。もちろん私も入れてくれる。
レイのことだって大好きで二人が幸せそうにしているのは嬉しい。私の選択はきっと間違っていなかったと思う。だけどやっぱり二人を見ると辛くてたまに一人になりたくなるときがあった。
すると決まってあの男がやってくる。
レイの義兄となったエドワルドだ。
「だから言ったじゃないか。不毛な恋なんてするより俺にしない?って」
「うるさい…」
この男だけは私の気持ちを見破った。レイにすらバレていなかった私の想いを。
二人がくっつく前から二人が仲よさそうにしているのを見ているのが辛いと思う時があった。そんな時毎回引っ張り回してきたのがこのエドワルドだ。
最初は鬱陶しかったがだんだんありがたくなっていった。まあ、たまに関係ない時も連れ出されたが。
「悲しいんでしょ。俺の胸でも背中でも貸すから一回泣いてスッキリしたら?」
そう言って腕を広げてきた。なんでこんなに優しくしてくれるのかわからなかった。でも、ありがたかった。
「背中…背中貸して」
「はい、お嬢様」
私はいっぱい泣いた。泣いて泣いてエドワルドの背中を濡らしてしまったがお陰で少しスッキリと晴れ晴れした気持ちになった気がする。
そうか…泣くことをしなかったから。二人が幸せそうなのは嬉しかったのにモヤモヤした気持ちが消えなかったのは。
泣いたら少し吹っ切れた気がする。
「エドワルド様お礼を言います。ありがとうございました」
もう、私のことは構わなくて結構ですと言うとポカンと口を開けてこちらを見ていた。
「え?俺本当にルミちゃんの事好きなんだけど…」
「は?」
「君のその健気なところに心撃ち抜かれたんだ。これからもどんどんアタックしていくからよろしくね」
失恋の傷には新たな恋が良いっていうでしょと片目を瞑って言ってきた。若干イラッときたが救われた事には変わりない。
「まあ、楽しみにしておきます」
新しい恋をしてもいいと思える日は近いのかもしれない。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




