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三十話



今日から学園、待ちに待った学園。レイとルミともまた一緒にいられる。


「ティア〜長期休暇には絶対帰ってくるんだよー」


半泣きで縋る父様…いや、普通に泣いているな。この娘バカはなんとかならないだろうか。妹ミルファもいつもうんざりしているのを目撃する。ちなみにミルファとの話は出ていないがちゃんと仲良しであると言うことを言っておく。


「気をつけるのよ。制服も似合っているわ」

「ありがとうございます」


そう学園は制服なのだ。制服っていいよね。その時しか着れない貴重なものだ。

女子は袖口や裾にフリルが付いたブラウスにコルセット。そしてスカートは自由、そして属性ごとの色のラインの入ったケープといったあまり特徴がないと言えばない制服だが制服ってだけでワクワクするのだ。あと服を選ぶという面倒なことをしなくてすむ。男子はもっと特徴がないが。

まあ、でも可愛らしいので良し。

父様と母様、ミルファに挨拶をして馬車に乗り込んだ。

荷物は送ってあるので細かいものを少し持って行くだけだ。


「学園はどんなところなんだろう。楽しいといいな」

期待と不安でいっぱいになりながら馬車に揺られた。




学園は一言で言うと立派だった。校舎がありいくつかの訓練場や研究棟など様々な施設があった。裏山や森もあった。


「す、すごい」


この一言である。他の新入生も私と同様に学園の規模に驚いている。貴族はまだいい。平民の子など震えている。基本的に魔法が使えるのは貴族なので学園も貴族向けに造られているので平民の生徒達はかなり驚くだろう。生活面でもきっと驚くことの連続だろうなと思う。頑張れと一人心の中で応援しておく。

さて入学式に出なくてはならないがどこに向かえば良いのかよくわからない。

とりあえず新入生についていこう。レイとルミが案内をしたいと言っていたが何やら二人にも仕事があったそうなのでそちらに行かせた。

レイに関してはそんな事よりベルティア様の方がとか言い出したので仕事はしろと叱ったらなんとか諦めてくれた。

とりあえず新入生の後ろをついていこう。ケープに花を付けているのでわかる。私も付いている。何とかみんなの後をついて行くと入学式が行われる会場に到着することができた。

クラスごとに座るようだ。クラスは事前に教えられていたためすぐに座る場所がわかった。私はBクラスだ。

S、A、B、Cクラスとあり成績順にクラス分けされる。私はギリギリBクラスになった。勉学だけならギリギリAクラスに入れたらしいが魔力量がBのためAクラスには入れなかったらしい。魔力め!

もちろん成績、魔力量優秀なレイとルミはSクラスだ。

思わず遠い目をしてしまう。

椅子に座り待っていると入学式が始まった。学園長の話やら色々な先生の話…眠い。


すると女生徒がキャーキャーと黄色い声を上げる。何事かと思い見ると美男美女軍団がいた。生徒会らしい。

ちなみにこの学園は十五歳から十八歳までの年齢の者達が通う。日本で言うと中学三年から高校三年までである。

とは言っても四年目は自由で将来やりたいことがある者が行く事が多い。逆に特にやりたい事がない者も行く場合がある。そして学園の行事などに参加するのは三年生までだ。

そのため生徒会長も三年の男子生徒である。

そんな生徒会長が挨拶を始めた。

生徒会長めちゃくちゃ格好いいな。というより後ろにいるメンバー全員見た目良い…。順番に見て行くと見知った顔が目に入った。


「えっ」


思わず声を上げてしまったが声を出している人は私以外にもいたので目立つことはなかった。駄目でしょ。みんな静かにしようよと自分の事は棚に上げて思う。

それよりもレイとルミもいるんだけど。

何、あの二人生徒会役員なの。聞いてないよ、びっくりするから最初に言っておいて欲しかったよ。

呆然と見つめているとレイと目が合い微笑まれた。私の近くの子がざわめく。


「あの方、レイ様よね!」

「ええ、実力で貴族の養子になったと言われる」

「格好いい!それよりこちらをみて微笑まれたわ」


私に微笑んだのよ、いいえ私よと近くにいる女生徒達がコソコソ言い合う。

その反応にも驚いた。新入生にもレイって知られているの。辺りを見てみると男子生徒が「ルミさん可愛い」などと呟いている。

あの二人人気なのか。私近付かない方がいいかなとまで思えてくる。


『ではみなこの学園で様々な知識や魔法を吸収し己の力に変えてくれ』


ボーッと考えていたらイケメン生徒会長の話が終わっていた。全く聞いていなかった、すみません。


入学式が終わり外に出ると先程私を驚かせた二人の声が聞こえてきた。


「ベルティア様」


振り返るとレイとルミが大きく手を振って近寄ってくる。


「レイ、ルミ!」


私は二人に会えて嬉しくなり手を振り返して近寄る。ずっと会いたかった二人に会えた。レイなんて全然あってなかったから本当に嬉しい。


「ベルティア様会いたかったです」


ルミが抱きついてきた。ルミの方が背が高く、というより私が低いのだが。いや、この世界の女性の平均身長が日本人に比べて高い。女性が165センチ。ちなみに男性は178センチくらいだ。

ルミは165、私は159。

ぎゅうぎゅう抱きしめられると顔付近に柔らかなものが当たる。ふわふわしている、同時に下を見る。悲しくなった。

私ってちんちくりん…。あるはずのものがない。いや、なくはないから。

一人悲しみにくれているとレイが割り込んできた。


「ルミばかりベルティア様を独占しないでよ」


そう言ってルミを私から引き離すと私に向き合ってニコリと笑う。


「ベルティア様、会いたかったです」

「うぐっ」


良い笑顔すぎて変な声が出た。なんかドキドキする。しかし周りの人がざわめき始めたのでそちらを見ているとみんな私たちに注目していた。


「レ、レイ様が」

「あの子は誰」


これはまずいやつ、瞬時にそう判断した。

このまま大勢の前で二人の側にいるのは良くない。絶対怖いことになる。


「あ!私そろそろ自分の教室に行かなきゃ。連絡事項とか自己紹介とかあるみたいだし」


そう言って二人から離れようとしたのだが予想外なことをレイが口走る。


「それなら僕がお送りいたします」


やめて〜。だが良い笑顔である。そんな笑顔で言われたら断りたくても断れないじゃないかと焦る。

それを見ていた周りの人たちは私を睨みつける。


「何なの、あの子。レイ様の誘いを断るつもり」

「何様?」


である。近付いて欲しいのかそうではないのかどっちかにしてほしい。あと一応高位貴族なんですけど…まあ、学園はそういうのは無しでみな平等という世界だが。

まあ、でもレイと一緒に居られるのは嬉しいのでお願いすることにした。了承しても断ってもどちらでも怖いのならこっちしかないだろう。


「ルミ後は任せたよ」

「わかったわよ」


レイはルミに仕事を押し付けたようだ。ダメだぞ。


「行きましょうか」


手を差し出してきたが流石に恥ずかしいので断る。それは本当に恥ずかしいんだ。


「その…は、恥ずかしいからっ」

「…かわっ…」


レイは顔を手で覆ってぶつぶつ何か言っているがどうしたのと問えば何でもないと言って案内してくれた。


「これから出来る限り登下校はご一緒しますね」

「いや、流石にそれは悪いから。それに私友人も欲しいんだけど」

「ベルティア様友人が欲しいんですか」


何でと言わんばかりで聞いてくる。それは当たり前だ。せっかく学園に入ったのなら一人や二人友人が欲しいと思うのは当然だと思うんだけどそうでもないのか。いや、そんなことはないな。


「それは女、男どちらですか」

「え、普通に女友達だけど」


答えると何やら考え込むようにまたぶつぶつ呟く。さっきからどうしたんだ。


「まあ、ならいいか…男だったら…」

「レイ?」

「いえ、仲の良い友人できるといいですね」


と応援してくれた。



「あ、そういえばレイとルミって生徒会なの」

「はい、と言っても僕は補佐ですよ。ルミも」


レイもルミも少しやれば大体なんでもこなすからな。もちろん二人とも努力を怠ることもしないが。


「あと、レイもルミも人気者なんだね。私びっくりしちゃった」


二人ともモテモテであった。二人とも見た目もいいし性格もいいし非の打ち所がないってやつだよね。それに光と闇の魔法。レイはナルファス系の一員だし。…あっ。


「レイってナルファス家の人になったんだから敬語とかなしでもいいんじゃない」

「いえいえそんな駄目です」

「そっか」


まあ、拒否されたのなら諦めるしかない。敬語とか無しの方がもっと距離も近くなるかなと思ったのだがまあ仕方がない。でも少し残念に思った。


そうやって二人で話しながら移動するとあっという間に教室にって着いた。

レイが一緒だったことにより女生徒が黄色い声を上げていた。


「ベルティア様、今日は一緒に寮まで戻りましょう。終わる頃にまた来ますね」


レイはまた私に優しく微笑んで戻っていった。



「嘘でしょ…どうなってるの」


その光景を見ていた一人の女生徒が目を見開いてこちらを見ていたのだが私は気がつかなかった。


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