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十四話

次はレイだ。



「さて、君は…おお、Sランク兄妹揃ってすごいな」


いや、ほんとすごいな。

魔力量に驚きながらも属性を見る。協会の人は結果が出ると目を見開いた。

するとガタガタ震えだす。

どうしたのかと見ていると離れてくれと騒ぎ出した。

だからどうした。


「や、闇じゃ…闇の魔力じゃ!」


すると周りにいた人たちが再び騒ぎだす。

しかし今回は先ほどとは違い皆逃げ回るように。


「ち、近寄るな!」


逃げ惑う。誰もが化け物を見るような目でレイを見ていた。


「あの…僕」


レイもショックを受けているようで呆然とたっている。


「呪われる、精神を壊され人形のようにされるぞ!」

「ぼ…僕そんなことしません」


必死に訴えるが誰も聞いていない。

誰もが化け物と罵る。

近寄ろうとしたら父様に止められた。


「危険だよ。何が起こるかわからない」


危険?レイが。そんなことあるはずない。そもそも鑑定してすぐに魔法など使えるか。使い方も習っていないのに。

父様の手を振りほどく。


「離してください!」


私はレイのもとへ急ぐ。


「レイ!」

「ベルティア様…」


レイは迷子の子どものような不安そうな顔をしていた。私はレイの手を握るとその場にいたものたちに言った。


「危険なんかじゃないわ」


そう叫ぶとそんなわけないだろうという声が上がる。


「君は知らんようだが闇の魔力は恐ろしいのじゃよ」


協会の人が言う。


昔闇の魔力を持った人間が一つの国を大混乱に陥れた事があるらしい。多くの人間が精神を壊され人形のようにされた。

術者は何とか倒したが人形のようになった人間は戻らなかった。


たしかに恐ろしい。だがそれは別の人がやったことであってレイがやったことではない。

するとどこからか野次が飛ぶ。


「そんなものいっそここで殺してしまえ!」

「なっ!」


私はその言葉に驚愕した。何を言いだすんだ。


「待ってよ!何でそうなるのよ!」

「それが一番いい、みんな不幸になる前に!」


本当に何を言っているんだ。

だいたいレイが人を不幸にするなんてあるはずない。


「うるさい!私はレイと一緒にいて幸せだと思ったことはあるけど不幸と思ったことなんてないわよ、これからもない!」


いい加減なこと言わないでと怒ればレイが私の手を引っ張る。


「ベルティア様、いいんです。僕は…」

「何がいいのよ、全く良くないわよ!」


何かを諦めようとするレイを怒る。


「ベルティア様に迷惑が…」

「迷惑かどうかは私が決めるのよ。というか何でレイが諦めているのよ」


私はかなり怒っている。

誰にってみんなにだ。

魔力がわかったからって急に危険とか何を言っているんだ。

だいたい闇だっていいじゃないか。


「とにかくレイはそんなことしない」

「ティア!」


父様が心配そうにこちらを見ている。

何も心配なんていらないわ。


「父様、今までのレイを知っているでしょう」

「そうです、レイはそんなことしません」


ルミも前に出てきて言う。


「ごめんレイ。私びっくりして来るの遅くなっちゃった」


ルミは反対側の手を握るとレイを守るように立つ。

誰も信じられないと言う顔をしている。


「だったらいいわ、闇は悪いものじゃないってわからせてやるんだから」


闇は恐ろしいものという認識を変えるしかない。

フン、今に見てなさい。吠え面かかせてやるんだから。

怒った私はレイとルミを連れて出て行く。乗ってきた馬車に乗り込むと出してと命じる。


「ちょっ、ちょっと待ってティア!」


置いていくところだった。


急いで乗り込む父様。

若干レイに怯えているようだ。


「父様、レイが信じられないんですか。レイがとても優しいって知っているでしょう」

「そうだね…。それは理解している。でも気持ちが追いつかないんだ」


少しだけ時間が欲しいと黙ってしまった。



気まずい空気のまま家に着くと父様が口を開いた。


「私もレイが優しい子だと知っている。ティアとも仲良くしてくれている。すぐには無理かもしれないが受け入れるようにする」


だから待っていてくれと父様は言った。


「父様!」

「ありがとうございます」


今はそれでいい。

私たちはお礼を言った。


「ところでどうやって闇は悪いものじゃないってわからせるんだい」

「…」


どうするんだろう。今後の課題だ。

でも絶対なんとかするそう誓った。


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