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これはもうお約束?

何とか今日中には投稿できました(´▽`)


それから、総合評価が200を超えました!

ブックマーク登録や評価をしてくださった皆さん。ありがとうございます!

昨日の今日でこれはすごく嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ


一応戦闘が入るんですけど、戦闘と言える戦闘じゃないので、どうか悪しからずご了承ください。

 現在アタシは【クララ武器店】にて片手剣を物色中。さすがフィーがオススメしてくれるだけあって結構安い武器が多い。所持金ギリギリまで使えば五本は買える。そんなつもりはないけど。


 《GOゴー》の武器は大別すると剣・槍・槌・斧・弓の五種類。そして、その五種類それぞれに細かなカテゴリーがあるんだよね。覚えるの大変だけど。


 剣系統のカテゴリーは片手剣・両手剣・細剣・短剣・刀の五つ。この全てに専用の武器術スキルがあって、ほとんどのプレイヤーが剣系の武器を装備してる。まあ剣を振るうのに憧れる人って結構いるから。アタシもそうだけど。


 まあ他のに関しては割愛だね。なんせ多過ぎてメンドくさいから。


「気に入った武器は見つかりましたか?」


 どれにしようかうんうん唸ってたらクララが声を掛けてきた。ちょうどいいや、相談してみよっかな。専門家にしかわからないこともあるかもだし。


「一応片手剣を見てるんだけど、どれがいいとかよくわからなくて」

「武器に触れてもらえれば、その武器の性能を見ることができますよ?」

「え、マジ?」

「はい」


 クララがちょーきょとん顔。え、なに、常識なの? 知らないのってアタシだけ? 説明書にはそんなこと書いてなかったんだけど?


「鑑定スキルとかいらないの?」

「いりませんよ」


 クララの話だと鑑定スキルは通常視れる情報にプラスアルファで詳細な情報が視れるようになるだけだって。装備品で言えば、その装備品の作成者とか生産に使われた素材とか。アイテムで言えば追加情報とかはなくて、採集してない状態でアイテム名とその用途がわかるだけらしい。


 武器の性能自体は誰でも見れる。項目は武器名・レア度・品質・ATK値・耐久値。腕の経つ鍛冶師が生産した武器には、稀に特殊効果が付加されることもあって、それも見ることはできる。


 武器名は言わずもがな。レア度はその武器のランク分けみたいなもので星の数で表される。βで見つかった最高レア度は星五つ。それ以上のものは見つかってなくて、正式サービスで絶対に見つけてやるってフィーが燃えてたのはすごく印象的だったなぁ。ちなみに、最大でいくつまで星があるかっていうのも解明されてない。


 そして品質。品質は武器そのものの性能を大きく左右する重要項目。武器の品質は上から極上・上・普通・粗悪・超粗悪の五段階。大抵の武器の品質は普通で、良くて上。極上は運営が公式に明かしてるだけでプレイヤーは誰も見たことがないっていうのは掲示板に書き込みされてた。


 ATK値と耐久値は、まあそのものズバリだね。ATK値は武器が持つ攻撃力で筋力パラメーターにプラスされてダメージ値が弾き出される。耐久値はその武器がどれだけ使えるかの目安。プレイヤーで言えばHPみたいなものだと思えばいいんじゃないかな。


 あと、超粗悪品も運営が公開してるだけでβでは見つかってないんだとか。ある意味では中々にレア度が高いものって言えるかもね。


 最後に特殊効果だけど、これに関しては逆に情報が多過ぎる。単に特殊効果という風にまとめられてるけど、その効果の内容が武器ごとに全く違ってる。例え同じ素材配分で同じ生産の仕方をしたとしても、性能そのものは同じ武器でも特殊効果だけが全くの別物っていうのもザラにあったみたい。同じ生産方法でも特殊効果が付かなかったっていうのもあったらしいから、多分条件とかが厳密に設定されてるわけじゃあないと思う。


 だからもう、特殊効果に関しては運任せだね。素材集めが大変そうだなぁ。いずれアタシもやることになるんだろうね。まあ先のことは、またその時考えればいっか。今は自分の武器を決めることに意識を向けねば。


 クララに教えてもらった通り武器に触れると、目の前にウィンドウが展開された。そのウィンドウに武器の性能が書いてある。


「それは品質:普通のアイアンソードですね。剣の初心者が使うにはかなり使い勝手がいいです。代わりに耐久値が犠牲になってしまってますけど」

「アタシにとっては耐久値が犠牲になってることが一番の問題なのよね」

「そうなんですか?」

「うん。だってアタシ〈片手剣術〉持ってないもん」

「そうなんですか!?」


 まあ驚きしかないだろうね。武器使うなら武器術スキルを取得するのが普通なんだから。アタシみたいな事例はそうそうないはずだもん。


「何かしら武器術スキルはあるんですか?」

「ないよ」

「えぇ……!?」


 すっごく困惑してるねクララっち。でも大丈夫。その内慣れるから。


「とりあえず、レベルが上がっていってスキル枠ができたら取得するつもりなの。それまでの暫定武器として耐久値の高い武器が欲しいわ」

「そうすると、品質は最低ラインとして上の方がいいですね」

「それだったらしばらく保つ?」

「普通品質よりも上品質の方が少しだけですけど、耐久値の減りが少ないんです。尤も使い方次第ではありますけどね」


 そこからはアタシの要望と直感、クララのアドバイスを合わせて武器を選別する。で、最終的に二本の剣が残った。一つは鈍色の直線的な刀身を持った百センチ程のロングソード。もう一つは鋼色でこっちも直線的な刀身の九十センチ程のブロードソード。



名称:テンパードソード

レア度:★★

品質:上

ATK:80

耐久:150

特殊効果:耐久減少値DOWN【小】

条件:STR50以上



名称:スチールソード

レア度:★★

品質:上

ATK:65

耐久:150

特殊効果:ATK値UP【小】

条件:STR40以上



 以上の二本である。二つ合わせてお値段なんと、1000リキッドです。リキッドっていうのはこの世界の通貨単位ね。初期金額は1500リキッド。所持金的な余裕は少しくらい残しておかないとね。というわけで、この二本を購入する。


「お買い上げありがとうございます」

「こっちも色々とありがと。砥石無料は色々と助かるわ」

「初回だけの特別サービスですよ? これからも【クララ武器店】をよろしくお願いしますね」

「えぇ」


 そこでメニューを呼び出す。キャラクリの時に見つけたメニューの左側にあるウィンドウなんだけど。これは武器や防具を装備する時、お手軽に装備するためのショートカットみたいなものだったんだよね。


 今、人影の周りにある丸いアイコンは埋まってるとこと埋まってないとこがある。埋まってるのは初心者装備を付けてるところ。武器の部分はまるっと開いてる。とりあえず第一武器にテンパードソード、第二武器にスチールソードを装備する。


 決定を促す前に、なんか身に付け方的な感じでウィンドウが開いた。そこには鞘に納まった二本の剣が表示されていて、それを指で動かすことでどこの部分にどう装備するかを自分で選べるみたい。サクッと決めて装備決定をする。


 丸ボタンを押すとウィンドウが消える。直後に両肩にずしっとした重みがのしかかる。両手を背中の方に伸ばせば、そこには手にスッと馴染む筒状の感触。これが剣の柄かな? そのまま柄を握りしめてそれを引っ張る。


 シャランという金属音が店内に響き、アタシの両手には二本の剣が握られている。左右で若干重さが違うのは仕方ないと割り切ろう。この二つの武器に付いてる特殊効果は装備してるだけでしっかりと発揮されるみたいだから。


 片方の剣、具体的には右手のテンパードソードをメインに使うつもりだけど、アタシは基本ソロになるだろうし、もしもの可能性はある程度考えた方がいいと思ってる。戦闘中に剣を取り落とさないなんて自信はないから、そういう時のためにもう片方の剣を使う。それで牽制しつつ取り落とした剣を拾うって形にすればいいかなって。今日ほど両利きだったことを良かったと思った日はないね。


 というわけで、アタシのメインアームが決定しました~。ぱちぱちぱち~。ちなみに、誰をリスペクトしてこんな装備の仕方にしたのかは推して知るべし。仮想世界の二刀流剣士なんてそういないでしょ?


「じゃ、今から街の外に出てきますかね」

「気を付けてくださいね。街の外は危険がいっぱいですから」

「それを排除するためにアタシ達がいるんでしょ?」

「無茶はなさらないように」

「勿論。それじゃあまたね。ホント色々とありがと」


 そう言ってアタシは【クララ武器店】を後にした。




 あぁ。ホント面倒くさいな~。


「ねぇいいじゃ~ん。パーティ組もうよ~」

「勿論、一緒に組んでくれるよな?」

「俺達と一緒にいれば安心だぜ?」


 何が安心なのか。男三人に女一人とか、むしろ逆に身の危険しか感じないわバカタレ。あ、そういえばハラスメント防止システムがあるんだっけ? ならその辺は気にしなくていいかな。まあそれ抜きにしてもこんな軟派な奴らと組む気は毛頭ないけど。


「アタシは誰とも組む気はないし、自分の背中は信頼してる人にしか預けないから。わかったらどいてくれる?」

「えぇ? いいじゃんか~。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからさ~」

「しつこい。あんまりしつこいとGMコールするわよ」


 アタシが敵意を込めて言葉を放つと、さっきまでヘラヘラ笑っていた三人の表情が変わる。まるで呆れたような、それでいて怒気を多分に孕んだ表情に。


「このアマ。人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって」

「もういいわ。俺達の命令を何でも聞くって言うまで殺し続けてやる」

「たっぷりと後悔しろよ」


 三人が街中の往来で武器を抜き放って構えを取る。うん、やっぱバカタレだわこの三人。


「「「死ねやぁ!」」」


 三人が同時に襲い掛かってくる。悲鳴を上げたのは誰だろうか? まあ間違いなく住人だとは思うけど。プレイヤーなら知ってて当たり前のことだからね。これは。


 男達の剣やら槍やら槌やらがアタシに迫ってくる。けどアタシは避けない。というか避ける必要がない。三つの武器がアタシの目の前で青色の半透明な壁にぶつかって止まる。


「「「なっ!?」」」


 ほぅらやっぱり。この驚き様、間違いなく知らなかったわね。


「このアマ! 何しやがった!?」

「何もしてないわよ」

「嘘つけ!!」

「はぁ……」


 《Genesis Online》の世界では、街中での戦闘行為が禁止されてる。これは例え辺境の小さな村であっても、そこに人の営みがある場所なら適用される絶対順守のルール。深い森の中にひっそりと建っている小屋みたいなところは適用外だけど。


 その戦闘行為禁止のルールのため、街中で他人に向けて剣を振り下ろそうと、槍で突きを入れようと、この障壁が働いて攻撃を無効化する。例外はデュエルのみ。デュエルなら対戦者に攻撃できるし、それを喰らえば当然HPは減っていく。


 まあそのことを目の前のバカ三人へと丁寧に教えてあげる。アタシってばなんて優しいのかしら。一応、説明書に書いてあるってことも教えてあげた。ゲームをプレイするのに重要なことが書かれてるんだから説明書くらいは読みなよ。そうじゃなくてもヘルプアイコンがあるでしょうに。


「だから、ここでいくらアタシを攻撃しようとしても無駄よ」

「クソ! ならデュエルだ!」

「お好きにどうぞ」


 教えた以上そう来るとは思ってたよ。アタシの目の前にデュエル申請のウィンドウが浮かび上がる。プレイヤーネーム〈フール〉か。お似合いじゃない。丸ボタンをタップしてルールをけって――


「パーフェクトエンドでいいの?」

「なんだそれ?」


 だからヘルプを読めとあれほど……。


「完全決着。HP全損まで戦うルールよ」


 パーフェクトエンド以外には、クォーターエンド(HP四分の一以下で決着)、ハーフエンド(HP半減で決着)、ファーストエンド(初撃を先に入れた方の勝利)という三つのルールがある。この三つのルールでデュエルした場合、HPが全損するダメージを受けても必ず最大HPの一割が残るようになってる。


「……あぁ。それでいいぜ」


 相手の了承を貰ったからアタシはパーフェクトエンドをタップする。ウィンドウが消えて少しすると、アタシと相手の間にカウントダウンの数字が表れる。それがゼロになる前に相手に攻撃した時は、攻撃をした方が強制的に敗北扱いになる。デュエルが始まる前に一応言っておいた。


 背中からテンパードソードを抜刀する。アタシの場合はアーツが使えないから、構えを取る必要がない。要は動き出しさえ問題なければそれでいい。


 軽く息を吸って――カウントがゼロになる。


「“ハイト”!」


 ホントにバカだなぁ。相手にわざわざ自分が使うアーツを宣言してどうする。対応してくださいって言ってるようなものよ? だから〈フール〉なんていうおバカちゃんな名前にしちゃうのよ?


 “ハイト”。スキル〈片手剣術〉を取得したら、最初に使える唯一のアーツ。上から下(袈裟懸けでも問題ない)へ向けて斬撃を繰り出す〈片手剣術〉の基本アーツ。ATK値に上昇補正が入るけど、使い慣れてないと武器に振り回されるっぽい。公式のPVでそんな感じのことを言ってた。


 で、今アタシに斬り掛かってきてる相手だけど。明らかにシステムアシスト全開の不自然な動作になってる。初撃でアーツ使うならシステムアシストに頼っちゃダメだって。そうでなくても地のステータスで明確な差があるんだから。相手は人間族、こっちは魔人族。しかもその中でも高い実力を持つ星魔。


 そんなアタシから見れば、勝ちを(勘違いで)確信しながら突っ込んでくるこの男の動きは大分遅い。とりあえず一撃カウンターをかましてあげよう。


 左上からアタシに向けて真っ直ぐ振り下ろされてくる剣。それを半身になって避けてから、すれ違いざまにテンパードソードを逆袈裟に振り上げて斬り付ける。


「ぐはっ」


 何かを吐き出すかのような声が聞こえてくる。振り上げた剣を下ろしつつ、今しがた斬り付けた相手へと顔を向ける。ちょうど相手もこっちを見てきた。相手のHPは三割くらい削れてる。アタシは無傷だけどね。


 とりあえず、次は上段からの斬り下ろしで一撃入れてみせる。そのために剣を構えると、相手が僅かに後退するのが見て取れた。


 お? 怯んだ? 怯んだね? 怯んじゃったね? レッツアタック!


 敏捷力パラメーターを全開にして相手の懐へ一足飛び。中々のスピードが出たみたいで、急速に肉薄したアタシへ驚愕の表情を向ける対戦相手。そこに筋力パラメーターマックスで袈裟斬りを放つ。


「ぐああああああああああああっ!?」


 リアクションがオーバー過ぎよ。このゲーム痛覚遮断してるんだから痛みなんてないでしょうが。そんな感想を抱きつつ振り返ると、ちょうど相手がポリゴンの破片となって爆散したところだった。


 アタシのプレイヤーネームと〈You are Winner!!〉の文字が空中に大きく表示される。どうやらあの一撃で残り七割のHPが吹き飛んだらしい。ダメージ判定どうなってんのよさ?


 ちょっとした疑問が生まれつつもテンパードソードを納刀して、たった今倒した相手と一緒に行動してた残りの二人に向き直る。


「アンタ達はどうするの? デュエル、やる?」

「い、行くぞ!」

「お、おうっ!」


 情けないなぁもう。まああの三人にはいい教訓になったと思う。


 ここはゲームの世界。強さは全てステータスとPSプレイヤースキルで決まる。現実とは違って、女の子はひ弱ってわけじゃないんだから、そこを勘違いしないようにしないとね。


 そんな感じで余計なイベントを挟みつつ、アタシは街の外へと向かっていく。ステラの冒険が、今始まる!




 その前に耐久値減ったから砥石使っとこっと。

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