表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/39

GOの世界へゴー!

まだゲーム自体が始まってないにもかかわらず、総合評価が100を超えました。

本当にありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ


ていうことで、正式サービス開始です。

 時の経つのは早いもので。もう《GOゴー》の正式サービス開始日ですよ。時間が長く感じるかとも思ったけど、光や四葉や六花と四人で楽しく賑やかに過ごしていたら、いつの間にか一週間が経っていた。


「もうすぐだね。お姉ちゃん」

「そうね。光はスタダ決めるの?」

「ギルメンはそのつもりみたいだね。そんなに慌てる必要はないと思うんだけど」


 そこはもうしょうがないんじゃないかな? 誰よりも早く攻略して最前線を行きたいなんて考える人はごまんといるだろうし。


「でも光はその人達と一緒に行くんでしょ?」

「うん。βの時から特に仲良しなパーティだったし」

「廃人?」

「さすがにそこまでじゃないよ……」


 まあそもそもの話、光がそんなグループに属してるとは全く思えない。光は区分的にはガチ勢の方だと思う。アタシにとって廃人っていうのは、ゲームによって生活が破綻してる人のことを指す。ガチ勢はゲームに本気で取り組んでるっていうだけの人のこと。


 光はゲームを本気でやってるけど、生活が破綻してるってわけじゃないからね。これは常日頃から生活を共にしている姉たるアタシが保障する。


「それでも攻略には結構積極的だから、しばらくはお姉ちゃんとできそうにないかな」

「どのくらい?」

「向こうの時間で言っちゃえば、三日かな?」


 つまり、今日一日はギルメンとのパーティでやっていくってことか。四葉と六花もそうするって言ってたし、アタシ一人じゃん。まあいっか。その間にできることを色々とやっていこうかな。


「そろそろアタシはインするわ。四葉達も多分来てるだろうし」

「あ、じゃあ私も」


 昼食後の優雅なティータイムを終わらせ、パパッとティーカップを片付けてアタシも光も自分の部屋に戻る。残念ながら各部屋にLANケーブルの接続口は一個しかないから、同じ部屋でバーチャルインすることはできない。お父さんにお願いしようかな?


 空調の温度を少し高めに設定して体調を崩さないようにする。ゲームやってて夏風邪引くとか勘弁だからね。笑い話にもなりはしないし、ゲームする時間がガリガリ削られる。体調悪い時はViLiを使用できないようになってるからね。身体的影響を考えてそういう機能を付けたらしい。


 ViLiを装着しベッドに横になる。念のためにタオルケットを掛ける。これでよし。後は、満足するまでゲームするだけだ! 異世界へ行く魔法の言葉!


「バーチャルイン!」


 てわけでやってきましたよViLiのマイルーム。ViLiアカウントを作ればこの部屋は普通に使える。というか、ここがログインして最初に来る場所。


 マイルームは自由に弄っていい。家具家電はデジタルコンテンツとして売ってあるから、それを買えば好きにカスタマイズすることができる。売ってあると言ってもViLi内のデータ通貨だけどね。


 勿論例外はある。毎月一定額課金すれば、家具家電のデジタルコンテンツを無制限に使用可能になる。アタシと光は「例え仮想世界とはいえ、女の子の部屋はオシャレにしないとな」とパパンが言ったために、毎月課金してる。自分達のお金じゃないところがなんともやるせない。そんなパパンの甘やかしを受け入れて自由にコンテンツ使ってるのはアタシだけど。


 閑話休題。


 ちょうどいいところで(何がちょうどいいんだ?)ルーチェがアタシのルームに入ってくる。


 ルーチェも現実の顔はそのまま使ってる。違うのは髪型と髪の色、瞳の色くらい。リアルでは艶やかな黒髪ツインテールだったのが白髪サイドアップに、瞳は綺麗なエメラルドグリーンになってる。メチャクチャかわいいじゃないか、さすが美少女妹なルーチェだ。


 ちなみにマイルームへの入室制限は主の自由。アタシの場合はフレンド登録してる中でも特に親しい人だけ。だって仮想世界のものとはいえ、見ず知らずの誰かさんを入れる気にはならなくない?


「相変わらず可愛いアバターだね。お姉ちゃん」

「褒めてもアタシの好感度が上がるだけよ?」


 照れちゃうじゃないか。その後、立て続けにフィー(フィオーリのこと)とリリス(アマリリスのこと)がアタシの部屋に入ってくる。この二人もアタシ達と同じで、システムアシストが働くのを嫌って、容姿そのものは全く変更してない。当然ながら髪型と色は変更してるんだけど。


 フィーは深緑色でミディアムのツーサイドアップ。瞳の色はスカイブルー。けど、《GO》では髪の色がアタシと同じく真っ白になっちゃうんだとか。種族特性だから変更利かず、β開始当初はレア種族が当たった喜びとお気に入りの髪色が強制的に変わったガッカリ感で板挟みされてたらしい。


 リリスは桃色の編み込みハーフアップ。瞳の色は夜を彷彿とさせる紫色。リリスの場合は、種族的な縛りはないから《GO》のキャラもこのままの容姿だって。


「ようやくインしたねステラちゃん、ルーちゃん」

「こんにちは。ステラさん、ルーチェさん」

「よっす。フィー、リリス」

「どうもです。フィーさん、リリスさん」


 アタシ達の間では基本的に愛称で呼び合ってる。ちょっと長いしね。この愛称と同じアカウントネームは勿論あるだろうけど、どうせアタシ達の間でしか使わない愛称だから問題ないと思われ。


「後五分だし、ViLiステーション見ようよ」


 ViLiステーションっていうのは、ViLi内だけで放送される簡単に言えば情報番組みたいなもの。尤も報道されるのはVR関連だけだけどね。


 フィーの言葉に首肯してマイルームのコントロールパネルを操作してエアディスプレイを展開する。ViLiステーションでMCを務めてるお姉さんが結構ギリギリなことを平然と言い放っていた。それと同時に《GO》のPVが流れてる。


「そういえば、ルーチェもフィーもリリスも攻略組だったんでしょ?」


 アタシの言葉に苦笑しながらも頷く三人。


「なんでPVに出てないの? あれって、実力あるプレイヤーがPVに参加してるんでしょ?」


 で、三人からの解答。PVに出てる実力者達は運営からの依頼で出ているらしい。当然報酬ありで。


 三人のところにも運営からのオファーがあったみたいだけど、恥ずかしかったっていうのと、お金を求めてゲームをやってるわけじゃないってことで断ったんだって。アタシだったら一も二もなく引き受けたかも。欲がないなぁ三人は。


 とまあ軽く談笑してたら、いつの間にか《GO》正式サービス開始までテンカウントだった。


「じゃ、全員準備はいい?」


 アタシの問い掛けにこくりと首を縦に振る三人。


「楽しみましょ」

「「「おー!」」」


 そして、遂にカウントがゼロとなる。


「「「「ゲームロード。《Genesis Online》」」」」


 ゲームチップを読み込むための音声コードを入力。視界が真っ白に染まり、気付いた時にはアタシのマイルームとは全く違う景色が広がっていた。


 目の前には宮殿のような建物と噴水がある。見事なファンタジー感だってばよ。街の地面は煉瓦で造られてるし、洋風の建物は多いしで中世ヨーロッパ風の街並みっていうのはこういうの言うのかなって思う。


「無事にログインできたね。ステラちゃん」

「? ……あぁフィーか」

「一瞬とはいえ、間ができるのは結構怖いんだよ?」


 白髪でスカイブルーの瞳なケモ耳少女がふくれっ面になる。「私、不満です」とでも言いたげな表情である。


 いや、確かに種族特性のことは聞いてたんだけど、聞くのと実際に見るのとじゃ絶対違うと思うんだよ。ホント冗談抜きでフィーってわかんなかった。


「仕方ないじゃありませんか。私も最初はわかりませんでしたよ」

「でもさぁ~」

「はいはいやめやめ。折角ゲームが始まったっていうのにいきなり愚痴からスタートしてどうすんのよ。ゲームは楽しむためにあるものなんだから」

「まあ、うん」


 さて、これから三人はギルメンだったプレイヤーと待ち合わせがあるみたいだし、アタシはテキトーに散策かなぁ。こういう街並みとは無縁の生活送ってるから、ワクワクしてしょうがない。後、フィールドに出て戦闘もしてみたい。


「あ、そうだ。ステラちゃ~ん」

「何?」

「渡しとくものがあってね」


 そこでフィーが指を振っていくつか操作していくのを見ていたら、アタシの視界にメッセージ受信を知らせるアイコンが表示された。それをタップしてメッセージを開く。差出人はフィー。メッセージには何も書かれてなくて、代わりにアイテム一つとマップデータが添付されてる。


「これは?」

「βの時に見つけた安い武器屋のマップデータとそこの紹介状だよ」

「武器屋行くのに紹介状必要なの?」


 そんなん初耳なんだけど。


「そのお店だけはそういうシステムになってるね。むやみやたらに顧客を増やしたくないんだって」

「矛盾してない?」

「店主さんがそう言ってたんだもん。私は知らないよ」

「まあいいか」


 店の名前は【クララ武器店】。フィー曰く、安価で上質な武器がたくさん売ってる。初心者が持つにはかなりハイクオリティな武器みたいで、パラメーター要求値の高い武器が多いらしい。尤もフィーが言うには、アタシのステータスなら特に問題はないっぽい。


 その店なら耐久値が結構高い武器が多くて、バリバリの初期金額でも中々良い武器が買える。アフターサービスもしっかりしていて、武器の耐久値回復や破損修理とかのメンテも安くでやってくれるらしい。フィー達もβの時、かなりお世話になったんだとか。


 ただ注意点として、【クララ武器店】を訪れる際は〈クララ武器店の紹介状〉という特殊なアイテムが必要なこと。フィー達もこれを入手したのは奇跡的なことだったらしく、βでこの店を常日頃から出入してたプレイヤーはかなり少なかったみたい。


 後、店がかなり入り組んだ路地にあって、テキトーに歩いててもまず見つかることはないって。フィー達も最初は、この店の常連である住人(NPC)に訊いてようやく辿り着いたらしい。ゆえに、一人で行くならマップデータ必須。だからフィーもマップデータまで添付してきたのね。


「色々とありがとフィー。自分なりに頑張ってみるわ」

「うん。次会う時が楽しみだよ」

「その時にはフィーよりも遥かに強くなってるかもだけどね」

「お、言ったなぁ~? じゃあ、次会った時はデュエルしよっか?」

「もち」


 デュエルっていうのはその名の通り決闘システムのことで、プレイヤー同士の実力を試すためのもの。色々と決闘の種類があるみたいだけど、当分は縁がないものかな。


「それじゃあお姉ちゃん。またね」

「ゲームの中でお姉ちゃんはやめなさい。またね、ルーチェ」

「今度会う時は、私ともデュエルしましょう。ステラさん」

「そうね。楽しみにしてるわ」

「それじゃあね。ステラちゃん」

「えぇ。また今度会いましょう」


 そんな感じでアタシ達は別れる。別れて早速、アタシはフィーに貰ったマップデータを頼りに街の中を歩いていく。ちなみに、今更だけどこの街の名前は〈プルミエ〉。《GO》の世界にいるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)は住人って呼ばないと怒るらしい。


 実際、βの時にとあるプレイヤーがNPCと呼んでしまい、その怒りで住人にキルされた人もいたらしい。アタシ達プレイヤーは神の加護を受けた異界人〈加護者〉として認識されてる。アタシ達の身に起こる不可思議な現象は大体それで説明がつくようになってる。


 さて、街の景観を楽しみつつマップデータ通りに街中を進んで目的地に到着。アタシの目の前には、確かに【クララ武器店】という名前が刻まれた看板がぶら下げられた店があった。ここで間違いないだろうと躊躇いなくドアを開き、店の中へと踏み込む。カランカランというベルの音がすごくいい。


 中はかなり狭い。店の中には武器が所狭しと並べられてるっていうわけじゃなくて、むしろカウンターしかない。これは本当に武器屋なのかな? と疑問を抱くには十分だった。だって、来る途中にチラッと覗いた他の武器屋は、これでもかっていうくらいに武器を並べまくってたんだもん。


「いらっしゃいませ」


 店の奥にある扉から出てきたのは、アタシと同い年くらいの女の子。カーソルが青だからNPC、もとい住人だね。薄紫色の髪とダークパープルの瞳で、中々の童顔。整った顔立ちでものすごく可愛い。この娘がクララかな? クララっていうのは店主の名前(フィー談)。


「申し訳ありません。新規のお客様には、当店のご利用をお断りしています」

「紹介状があっても?」

「紹介状を持ってらっしゃるのですか?」

「えぇ」


 メニューを操作して〈クララ武器店の紹介状〉をマテリアル化する。右手に白いハガキサイズの厚紙がマテリアルとして現れる。基本的にアイテムはマテリアル化しないと使うことができない。ポーションの類もそうやって使うことになってるから、回復タイミングをミスるとポーションをゴクゴクしてる間にやられちゃうことになる。


 とりあえず、マテリアル化したその紹介状を目の前のクララさんと思しき女の子に渡す。


「これ、フィオーリ様の紹介状ですか……」

「えぇ。フィー、じゃなくてフィオーリに貰ったの。ここならアタシに合う武器があるはずだって」

「そうでしたか。それは大変失礼いたしました。フィオーリ様の紹介であるなら信頼できる方ということですね」


 渡した紹介状を懐にしまって、その娘がペコリと頭を下げてきた。


「改めて、いらっしゃいませ。〈クララ武器店〉へようこそ。私は店主のクララといいます。以後お見知りおきを」

「丁寧にありがと。アタシはフィー、じゃなくてフィオーリのフレンドでステラっていうの。よろしく」

「ステラ様ですね。よろしくお願いします」

「ところで、すごく気になったんだけど」

「はい?」

「フィー、じゃなくてフィオーリのこと覚えてるの?」

「愛称のままで構いませんよ? それで質問の答えですが、イエスです」


 聞けば、βの時にフィーがどれくらいこの武器屋を利用していたかとか、βの時のプレイヤー達の様子とかを鮮明に覚えていた。これは、色々と考えなきゃならないことが多いかな? 一応言っとくと、βの時っていう表現は使ってない。使ったってどうせ伝わらないし。


「一年間も音沙汰がなくなってしまったので心配していたのですが、息災であるみたいでよかったです」

「えぇ。後でフィーに伝えとくわ。クララが心配してたって」

「ありがとうございます」


 β終了は五月一日。そして正式サービス開始が八月一日。三ヶ月が経ってて、このゲーム内の時間は四倍の加速度だから、ちょうど一年の計算か。いや、細かい日数的には若干違うんだろうけど、おおよそ一年が経ってることには変わりない。


 β期間の記憶があるっていうのはすごい。プレイ次第では色々と面白いイベントが起こりそう。特にβテスターとかは。


「えっと、ステラ様は武器を購入するために当店にお越しくださったみたいですが」

「おぉそうだった。というか、武器ないみたいだけど?」


 アタシがキョロキョロと店内を見回すと、クスクスと小さい笑い声がクララから聞こえてきた。


「武器は奥にあります。当店の特質上、表に武器を並べるわけにもいかないので」

「あぁそういうことね」


 というわけで、クララに連れられて店の奥へと入っていく。一つの壁を隔てた先には、かなりの数の武器が並べられた展示スペースがあった。これだよこれ。アタシが求めてた武器屋の内側ってまさにこれだよ。


「数が多いのでゆっくり決めてくださいね」

「ほ~い」


 クララの言葉に盛大に甘えてアタシは武器を一つ一つ手に取って見ていくことにする。これは時間が掛かるなぁ。そして楽しい! もうこの時点で最高だね!

すみません。書いてる内にメチャクチャ長くなりそうな気がしたので、中途半端ですが一旦ここで切ろうと思います。


次話も必ず明日投稿しようと思うので、読んでもらえるとすごく嬉しいです!


ブックマーク登録、評価、感想とかをもらえるとすごい励みになります!

ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ