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vs フィオーリ

これまでの話を読み進めている内に「ん?」と思うような設定的矛盾が生じてるところが多々ありました。一年以上も放置するからこうなる。

書き足したいところや直したいところも見つかったので、これから少しずつ加筆修正していこうと思います。


ストーリーの大筋は変えません。

ただ、前後の話を連結するとかは考えているので話数は減りますが。

頑張って毎日投稿はしようと思っています。

 フィーからメッセージを受け取った後、スッキリした状態で一緒に楽しく遊ぶために、昨晩は日付が変わる一時間前には布団に入った。アタシがログアウトした時には光もほぼ課題を終わらせてて、後はわからないところをおしえて課題終了。

 これで光も、残りの夏休みを後顧の憂いなく満喫できる。そんな光にフィー達と合流することを伝えて、アタシと同じように早めに就寝。


 起床してから朝食を取って、良い時間になってからログイン。今はツヴァイトの街中を歩いている。


「フィーもうプルミエにいるって」

「多分転移機能使ったんだね」

「アタシも早めに解放しとかないと移動が大変になりそう……」


 少しでも早く合流するため、アタシとルーチェはイーストウッズの上を全力飛行することにしてる。多分十分くらいで到着すると思うよ。

 ツヴァイトから出てすぐに空へと飛び立つアタシ達。結構なスピード出してるからMPもそこそこ減りが早い。って言っても、このペースなら三十分は飛べそうだけど。


「待ってお姉ちゃん!」

「え?」


 かなり小さく聞こえたルーチェの声を不思議に思って後ろを見れば、既にかなりの距離が開いてた。本来なら大声出しても聞こえないほどの距離で、聴覚強化とかがなかったら気付かずに置いてけぼりだったと思う。


「ごめん、ルーチェ……」

「うぅ……。飛行移動は結構自信あったのに、もう打ち砕かれた……」


 正直自分でもそんなヤバいスピードが出てたのかと戦々恐々としてる。これあんまり全力飛行しない方が良さそうだね。

 急いでる時は別として、普段使いはある程度速度を落とそう。MPの節約にもなりそうだし。

 その後はルーチェに合わせた速さで森の上を飛び続ける。


「これ、運営に文句とか言われないかな?」

「もし意図したような使い方じゃないってなれば修正とか入るでしょ。それまでは使ってても大丈夫なはずよ」


 まあグレーゾーンギリギリだろうけど。後でGMコールでもして問い合わせてみようか。「フィールドを飛んで突っ切ってもいいですか?」って。

 そんなどうでもいいけど、ちょっとは覚えといた方が良いかなって思考をしていれば、いつの間にか目的地が遠目とはいえ見えてきた。


 ルーチェと合わせたとはいえ、空の移動というのは陸の移動に比べてかかる時間が短くなる。陸の移動は地面の起伏だったり、自然にできた天然の障害物があったりするせいでどうしたって時間がかかっちゃう。

 それに比べて空となれば、まず障害物という点で言えば一切ないと言っていい。鳥とかが飛んでることもあるだろうけど、それを除けば基本的に自由な動きができる場所。必然、移動にかかる時間はどんどん短縮されていく。


「ねえ、お姉ちゃん。昨日着陸に失敗して地面と大激突したって言ってたけど、大丈夫なの?」

「安心しなさい。何も考えずに行動を起こすほど愚かじゃないから」


 昨日の失敗からちゃんと考えてはいるんだよ。


 街が近付いてきて、そろそろ着陸態勢を取らなくちゃいけなくなった。ルーチェは慣れてるのか翼を上手いこと使って少しずつ減速していく。アタシもMP消費を抑えてスピードを落とす。


 流星は自分の意思でいくらでも操作可能。ぶっちゃけ昨日のだって、やろうと思えば急ブレーキにこそなるけど、減速できないわけじゃなかった。

 それでも慣性の法則が働いて激突は免れなかっただろうけど。ダメージは抑えられたはず。気が動転しててすっぽり頭から抜け落ちてただけなんだよ。


 というわけで、今回は減速していって無事着地。アタシに二の舞とか期待しちゃいけない。されても答えたくないのがアタシだ。


 問題も特に起こらず、二人揃ってプルミエに入っていく。合流場所は最初に別れた噴水広場。あちこち探すのも面倒だもんね。

 門から伸びている大通りをまっすぐ進めば噴水広場に繋がる。そこまで行けば、美少女な二人のことだ。間違いなく目立って見つけ易いはず。


 広場に到着したら、すぐに二人の居場所はわかった。周りにいる人達の視線が一か所に集中してるもん。攻略組のメンバーであり、尚且つ美少女。注目される要素としては充分。


「近付くのに躊躇いが生まれるんだけど……」

「その気持ちはすごくわかる……」


 まあここで手をこまねいていても仕方ないから声かけに行くけど。こんな状態で注目浴びてる人達に近付くのって結構勇気がいるんだよ。


「フィー、リリス」

「あ、ステラちゃん、ルーちゃん! おひさ!」

「しばらくぶりですね。ステラさん、ルーチェさん」

「そうね。早く一緒に遊びたかったわ」

「今日からしばらく、よろしくお願いします」

「うん、よろしく!」

「こちらこそです」


 さて、すぐにでも移動しようか。注目を集めるのは好きじゃない。


「よし! ステラちゃん、デュエルしよっ!」


 えー、この状況でですか? 勘弁してくださいよー。


 そんなアタシの思いは全くフィーに通じなかったようで、デュエル申請のポップアップ画面が目の前に浮かび上がった。

 拒否権なしですか。そうですか。


「クォーターエンドでいい?」

「うん!」


 こうなったフィーはどうせ言っても聞かないから、仕方なしに決闘方法を選択する。カウントダウンが始まると、ルーチェとリリスが対峙するアタシとフィーから離れていった。

 それを確認したアタシ達はお互いの武器を抜いて構える。


 フィーの武器はレイピア。青を基調とした身軽そうな騎士を彷彿とさせる布装備に身を包み、目をキラキラさせながら楽しみそうに微笑んでる。


 そして、カウントがゼロになる。

 同時にハイスピードで特攻してくるフィー。レイピアの刺突攻撃を剣をぶつけて逸らしつつサイドステップで離脱し、即座に振り返って相手の後ろから強襲する。

 それを横跳びで避けつつ突きを放ってきた。攻撃に使わなかった方の剣を使って防御しようとしたけど、上手くガードしきれずに左肩を軽く掠ってしまう。

 今のやり合いでできた距離は詰めず、お互いに睨み合う形になった。


「やるじゃない。フィー」

「ステラちゃんこそ。その反応速度はすごいと思うよ」


 さすがと言うべきか。リアルに身体能力高いっていうのに、ゲームとなると発揮される凄まじい集中力とその鬼みたいなPSのせいで動きが鋭過ぎる。いなすので精一杯だよ。


 守ってちゃフィーには勝てないし、攻めないとね。敏捷力全開で突撃し、フィーも迎撃態勢を取ってレイピアを向けてくる。

 唐竹、袈裟斬り、逆袈裟、薙ぎ払いと左右の剣を使って連撃を加えるけど、剣筋を読んでいるかのように避けながら反撃してくる。負けじとアタシも鋭い刺突を回避しつつ斬撃を浴びせていき、一進一退の攻防が続いた。

 お互いにHPを削り削られながら、決定打がないまま打ち合いを続け、迫ってくるレイピアの剣先を跳ね上げて距離を取る。


「ステラちゃん、準備運動は終わった?」

「それはこっちの台詞よ。フィーこそ、アップはもういい?」

「うんっ。充分体温まったよ」

「なら、ちょっとばかし本気出しても良さそうね」

「望むところ」


 じゃあ遠慮なく。不敵な笑みを湛えてるのが自分でもわかる。結局アタシだってゲーマーで、強い相手と戦うのが好きなんだよね。


「じゃあギア上げるからしっかりついてきてね」

「それはアタシからアンタに忠告したいことね」

「〈ウォーターバレット〉!」


 いきなり水弾を飛ばしてきた。

 少し焦って、つい剣で飛来した水弾を叩き斬っちゃった。へえ、物理攻撃でも魔法って防げるんだね。いや、そういう仕様にしないと盾とかの物理接触がなくなって貫通しちゃうのかな?


「驚いた。まさか剣で斬っちゃうなんて」

「何言ってんの。一番驚いてるのはやった本人よ」

「だよね。まあそもそも、速度のある魔法に反応して剣を振った上で、しかも当てられるっていうのがもう普通じゃないんだけど」


 多分ラウム迷宮で何百体もの虫型MOBと戦った経験が活きたんじゃないかな? 奴ら、毒液飛ばしてくるからね。同じくらいの速度だし慣れたのかと。


「っていうか、ギア上げるとか言っといて突然魔法攻撃してくるだなんて、やってくれるじゃない」

「不意を突かないとステラちゃんには勝てないからね」

「随分高い評価ですこと」

「まあね。〈ウォーターアロー〉!」


 飛んできた水の矢を斬って相殺し、フィー目掛けて走る。ある程度離れちゃったらすぐ魔法使ってきそうだし、接近戦だけでやり切らないとね。


 上段から剣を振り下ろす。それは読まれてたみたいで半身になって避けられた。けど、足を引きつけながら振ったおかげで態勢はほとんど崩れず、左の黒剣を逆袈裟の軌道で斬り上げる。

 さすがに武器を持ってる方から攻撃を受けると対応し難いみたいで、バックステップして離れていく。それをすぐに追って攻撃が途切れないようにする。そうしないと反撃喰らうのは必至だから。


 それからどれだけ打ち合ったのかわからない。限界まで思考が加速し、お互いの攻撃は既に最高速度に達している。

 こっちは手数で、向こうは一撃の鋭さでダメージを与えあい、それぞれのHPもかなり削れてきた。

 そして、フィーのレイピアが若葉色の光を纏う。構えから見て〈細剣術〉スキルのアーツ〈プロード〉かその上位〈アークプロード〉――ここだ。


 緑閃の刺突攻撃が放たれる。これまでの突きよりも遥かに速いそれは、アタシのHPを完全に削り取るだろう。

 レイピアの剣先が後数ミリで貫けるほど迫り、その場からアタシの姿が消える。


「っ!?」


 瞬歩で背後に回り込み、フィーがこちらを驚愕の表情で見てきた時には、もう既に構えを取ってアーツの立ち上げが完了した。

 横薙ぎの青い剣閃が迫り、止めになるかと思ったそれは、アーツを使用して腕や片脚が伸び切った体勢から無茶苦茶な背面飛びをしたフィーに躱された。空中でバク転したフィーは空いてる左手と左の足だけで着地し、体勢を整える暇すら惜しんですぐに突撃してくる。デタラメ過ぎるバランス感覚だね。


 またしても拮抗状態になる戦闘。普通じゃありえないような状態から想定外の攻撃を放ってくるフィーと、瞬歩を使って攪乱しながら連撃を浴びせるアタシ。斬撃はいなされ、刺突を弾き、決め手となりそうな技はお互いに掠りもしない。

 ベルもそうだったけど、どうしてアタシと相対した女子プレイヤーはすぐに瞬歩へ対応できるのやら。その適応力の高さは筆舌に尽くし難い。


 しかし、勝敗はアタシが想像すらしてなかったものから齎された。

 激しい剣戟の中、何かに気付いたフィーが猛攻を仕掛けてきて、それを全力で防いでいく。半分くらいは弾けたけど、それでも防ぎきれなかった刺突攻撃がHPを奪っていった。

 もうダメかと思った瞬間、“WINNER”と表示されたウィンドウが眼前に浮かび上がってくる。


「へ?」

「あちゃー。間に合わなかったか……」


 最後は刺突の嵐を何とか捌いてただけで反撃はしてない。

 えーっと、どうしてこうなった? その疑問はフィーがした質問で解決した。


「ねえ、ステラちゃん。毒武器なんてどこで手に入れたの?」

「…………ああ。毒状態か」

「もしかして、自分の武器忘れてたの?」


 うん、完全に忘れてた。だって楽しかったんだもん。なんもかんも政府せい。


「そっか、途中からいきなりフィーの動きが防御を一切考えない激しいものになったのって」

「うん。毒状態になったのに気付いたからだよ」


 あんな攻防の中、アイテムを悠長に使ってる暇がないのは誰でもわかる。それがわかっていたから、フィーは防御を考えずに攻撃に徹したんだね。実際アタシもあのまま負けるって思っちゃったし、選択としては正しかった。

 今回は少しばかりアタシの運が良かっただけ。このデュエルはさすがに勝ったなんて言えないなあ。これが試合に勝って勝負に負けたって感じなのかな? これはかなり悔しい。


「次は完璧に勝ってみせる」

「その時になったら、私の方が強くなってるよーだ」


 そんなやり取りでアタシとフィーの試合は終わり、お互いにはにかんで健闘を称え合う。


「それにしても、ビックリしちゃったよ。消えたと思ったらいきなり後ろにいるんだもん」

「あれはまあ、アタシもずっこいかなって思ったけど」

「βの時のトッププレイヤークラスでも、あんな動きができる人なんていなかったんだけどね」

「スキルの恩恵だし、ルーチェに聞いたらβでも見つかってなかったスキルみたいだから」

「ほほう。後で詳細を聞かせてもらおうかな」

「はいはい」


 アタシもアタシで偶然手に入れたスキルがチート臭いけど、フィーの身体能力はそれに輪をかけてチートじみてると思う。ベルよりも体捌きが異常だったよ。

 なんで直感と反射神経だけで瞬歩に対応しちゃうようなおかしいプレイヤーが身近に二人もいるのか。ホント勘弁してほしい。


「次は当分先になりそうだけど、またデュエルしようね。ステラちゃん」

「ええ。アタシもまたフィーと戦ってみたいわ」


 そう言って次のデュエルを約束し、ルーチェとリリスが並んで立ってる場所へと戻った。いやあ、楽しかったよ。さて、そろそろ行こうか――と思ったんだけど。


「あれを見てると私も戦いたくなりました。ステラさんは疲れたでしょうし、代わりと言ったら失礼になってしまいますが。ルーチェさんデュエルしませんか?」

「良いですよ。私も全力で戦いたくなっちゃいました」


 前ここで戦った人は少し物足りなかったので。そう言ったルーチェはリリスとのデュエルを承諾した。えっと……まだ出発できないってことでオーケー?

ついノリでルーチェとアマリリスの対戦カードを組んでしまった……。

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