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レベリング

三つ前の話でステータスを書き忘れてるのに気付いたので、書きました。

 《Genesis Online》正式サービスが開始されてから四日目の昼頃。

 昼食を終えてログインしたアタシとルーチェはツヴァイトに近いイーストウッズの浅い場所でレベリングをしていた。

 この辺りに出てくるのは、アースウルフとダッシュラビットのみ。単体でしか出てこないからほとんど危険もない。


 なぜ、アタシ達が亜人の森ではなくイーストウッズの方でレベリングしてるのかというと。経験値効率の良い狩場として利用していた亜人の森にMOBがポップしなくなったから。


 昨日の朝方までは問題なく三種のゴブリンが出てきてたんだけど、狩りを進めるにつれてどんどんとゴブリンの数が減っていき、お昼を過ぎた頃には一切現れなくなったんだよ。

 獣道とかも含めて森の中をあっちこっち歩き回ったけど、狩りを切り上げる夕方までMOBの影はほとんど見つからなかった。

 狩るスピードにリポップが間に合わなくなったのかと思って、一度落ちた後に再度ログインしてもう一回探索してはみたものの。結局は何もなかったから、仕方なくイーストウッズの方に狩場を移したんだよね。

 ついでに、冒険者組合に寄ってイーストウッズでクリアできそうな依頼も受注してきた。


「何が原因なんだろうね?」


 そんな疑問を持って話しかけてくるルーチェ。今はちょっと休憩中で、街で購入したお菓子をポリポリ齧りながら戦闘で消費したMPの回復を待ってる。

 当然、周囲の警戒もしてるよ。不意打ちされてHPを削られたくはないからね。


「わかってたら、ここには来てないけどね」

「それもそうだね」


 ここはセーフティエリアでもなんでもない場所だっていうのに、アタシ達はまったりと会話を交わしている。まあステータスが高くて装備も充実してるから余裕があるってことなんだけどね。


 現状の装備だと、白狼や白兎が相手ならあまりダメージは受けなくなってる。始めたばっかりの時こそ一気に三割もHPを減らされたものだけど、今だとドット単位の減少しかしない。

 武器に関しては見違えたもの。クラリスが作った装備がどれだけ優秀かが良くわかるよ。狙いを外さなければ、一撃で倒せるようになったわけだし。


 そのおかげで、かなり効率良く経験値やお金を稼ぐことができるようになった。こっち側は、見た感じ他のプレイヤーがいないみたいだし、当分の間は半ば狩場を独占してる感じになると思う。

 一応言うと、狩場の独占は周りから疎まれる行為の一つ。当然他のプレイヤーがここまで来れば、アタシ達は狩場を別の場所に移すつもりでいる。


「お姉ちゃん。今、レベルいくつになったの?」

「さっき35に上がったところ。ルーチェは?」

「なんと、ビックリの40レベル」


 一つだけ差が縮まった。もっとも、今後一緒に遊び続けるなら、ソロの時に一気にレベリングする以外じゃ追いつけないだろうね。頑張らないと。

 少しして休憩を終わらせてから二人揃ってしばらく狩りを続け、それぞれ1レベル上がったのを確認して切り上げた。


 街に戻ってから依頼達成の報告をするために組合へと寄る。扉を開けて中に入ると、何人もの冒険者がいて、かなりざわついてた。

 アタシ達が入ってきたことに全員が気付いてこっちに視線を向けてくるけど、特に気にせず受付へと歩を進める。


「ステラさん。おかえりなさい。達成報告ですか?」

「うん。お願い」


 依頼に書いてあった素材を受付に提示して依頼のものと違いがないか確認され、問題なく納品は完了した。報酬金はやっぱり結構良いね。


「依頼達成ありがとうございました」

「どういたしまして。ところで、なんかあったの? 今朝と様子が変わってるみたいだけど」

「はい。実は、東側にある亜人の森からゴブリンが姿を消したんです」

「そのことか。もしかして、報告した方が良かった?」

「ご存じだったんですか?」

「ええ。今朝っていうか、昨日の昼過ぎくらいから全く出て来なくなってね」

「少々お待ちください。できれば、組合長に直接報告していただきたいのですが」


 確かに、組合長に面識があるならそっちに直接言った方が動き出しも早くなるのかな。そう考えたアタシは首肯して応接室に通された。

 最初に来た時と同じく、パシアンさんに相対するように二人並んで座る。


「では、亜人の森について聞かせてもらっていいですか?」


 そう促されて、亜人の森でアタシ達がゴブリンを狩り過ぎたことや続ける内に少しずつ姿を現さなくなってきたことを話した。

 それを聞いたパシアンさんは思案するように顎に手を当てる。


「間引きをするという点で言えば、こちらとしてはむしろありがたい動きではあります。おそらくは一時的に姿を見せなくなっただけでしょう」

「だといいんだけど……」

「まあそれでも異変は異変ですからね。一応、亜人の森に腕利きの斥候を送ることにしましょう」

「お願いします」

「結果がわかり次第ご連絡します。場合によってはクラリスさん達を通してという形になると思います」


 何事もなければそれでいいんだけど。できれば、単に狩り尽くしたってだけであってほしい。




 今日の夕食はアタシが作って食べた。いやあ、光ほど上手く作れないや。

 マズいわけじゃないんだけどね。むしろ、そこそこの味になってると思うけど。光が作ったご飯と比べるとどうしても劣る。


「お姉ちゃん。私、今夜は課題やるね」

「終わってなかったの?」

「英語の課題をつい後回しにしちゃって……」

「ああ。光、英語苦手だもんね」

「どうしてもわからなかったら、お姉ちゃんに聞いていい?」

「当たり前でしょ。お姉ちゃんに任せなさい! ってね?」

「ふふっ。ありがと」


 紅茶を飲みきって光は課題のために部屋へ戻り、アタシはGOにログインするためにViLiを装着してベッドへ横になる。


 本日三回目のログイン。そして久しぶりのソロだ。やりたいこととそれをするための行先はもう決めてある。

 そうして来たのがラウム迷宮。回復アイテムや武器メンテ用のアイテムは充分に持ってきた。今回は丸一日ここでレベリングするつもり。


 気負うことなくダンジョンへと踏み込んで、迷わず奥に進んで行く。既に一度来たことがあるからマッピングもほぼ完了してるし、後はMOBへの対処を間違わなければ大丈夫。


「前よりも楽に索敵出るのが良いね」


 聴覚強化と感覚能力上昇、そして気配感知の三つで周囲の状況をある程度把握しながら歩いてる。これあったらヤートグリープの不意打ちとかも問題ない。

 もっとも、最初っからアタシには一切効かなかったけど。


 戦闘も前よりかなり楽になってる。魔法系防御が低いのか疾風刃使えば割と一気にダメージ蓄積するんだよね。まあATK値が前借りた剣よりも高いっていうのもあるんだろうけど。

 それに、アタシは毒状態にならないけど、向こうはなっちゃう毒武器があるし。これの素材ってここのMOBから取れた奴なんだけどね。


「おっと」


 行く手からいきなり毒液が飛来してきて、余裕を持ってそれを躱す。毒液が飛んできたってことは虫系だね。

 果たして虫系MOBが姿を現す。コイツらアクティブMOBだから、こっちが何もしなくても攻撃してくるんだよね。不意打ちは虫達の常套攻撃手段。蜘蛛型の奴なんか糸で天井にぶら下がって背後から来たりするのがちょい面倒。

 今出てきたのは百足型。体を分断しても平然と動いてくるキモいの。


 ギチギチと嫌な音を立てながら突っ込んでくる百足。突進を紙一重で避けて、カウンターで片手剣術アーツのウィズを叩き込む。そしてすぐにその場を離脱する。

 この百足。相手が同じ場所に留まり続けてると、長い体を巻きつけて拘束してくるっていう厄介な特性を持ってる。自分から攻めるにしろ、カウンターに徹するにしろ、動く必要があるんだよね。今日初めて知った。

 しかも体力が何気に多い。硬くて時間のかかるソリッドトレントと同じくらいは倒すのに時間がかかる敵。前と違ってクララがいるわけでもないから、地道に削っていくしかない。


 しばらく攻防を続けて、三分くらいで倒しきった。良い感じに毒が入ってくれたから比較的早く済んだけど、普通にいったらソロだとかなり厳しいだろうなあ。

 それからも死に戻らないよう安全を確保しながら先へ進み、マップの暗い部分を埋めるためにあっちこっちにフラフラと歩いていく。


 そうしてる内にちょっとした部屋に出た。六メートル四方の空間で、中央にはこれ見よがしに宝箱が設置されてる。

 わーいお宝だー。っていう感じで宝箱を遠慮なく開け、アラームが辺りに響き渡る。うん、知ってた。


 けたたましいアラームに引き寄せられたアクティブな虫達が、部屋の入り口からアタシへ向けて殺到してきた。RPGでは良くあるアラームトラップ。

 とりあえず、アラームを鳴らし続ける宝箱を破壊して押し寄せてくる虫達の相手をする。どのくらい釣れたかなあ?


 全ての戦闘が終了したのは実に三十分後。何体倒したのかは全く覚えてない、というか覚えられたら逆にすごいなってくらいの数だった。

 リザルト画面のお金と素材が多いのなんのって。ダッシュラビットのモンスターハウス以上に色々あると思う。複数種類いたから当たり前なんですけどね。


 敵の動きを覚えてたからこそできた無茶なレベリング。その甲斐あってか、レベルが39になってた。やっぱりここは経験値効率もかなり良い。準備さえしっかり整えればかなり良い狩場だね。しかもダンジョンだからMOBは無限湧きだし。


 この部屋は当分大丈夫だろうし、ここでステータスを弄っていこうかな。って言っても精神と敏捷に半分ずつ振り分けるだけだけど。スキルはどうせ何も取得できないし、これ以上はやれることもない。

 ステ振りがてらに買ってきたお菓子を食べながら休憩。


 ダンジョンマップを確認すれば、九割方マッピングは完了してた。残りは上層部の探索だけだから、その気になればすぐに埋まりそうだけど。

 ここまでで結構時間も経ってるし、早めに戻った方が良いよね。また気付かない内に日付が変わっても困るし。


 充分休憩を取ってから、ラウム迷宮を下りていく。その間にも次々とMOBが襲ってきて、それを迎撃してたら迷宮を出る頃にはレベルが40になってた。一日でルーチェに追いつけたね。追加で敏捷にポイントを振っておいた。

 空は赤く染まり、夕方であることを教えてくれた。歩くの面倒だし、全然使ってなかったからマスタリー上げついでに流星で帰ろうかな。


「“流星ミーティア”」


 金色のオーラを纏って飛翔する。なんか前より早くなってない? 敏捷値上げたのが関係してるのかな。闘争兎の時は瞬歩使うためだけに使っただけだから、違いとかがちょっと検証しきれないなあ。


 行きは二時間くらいかかったのに帰りは数分で着いてしまった。流星が如何にスピードの出るスキルかが良くわかるね。

 ってヤバい。もう街がすぐそこに――ああこれもう間に合わない!


「うわあああああああああああっ!?」


 そして轟音と共に地面に激突した。着陸の仕方を考えないといけないね、これ。じゃないとその内落下ダメージで死ぬ。冗談じゃなく今HPが半減したもん。防具の耐久値も大きく下がったのは間違いない。


 あ、衛兵さんどうもです。え? 医務室? 大丈夫ですよ。ポーションでも飲んでれば問題ありませんから。はい。心配してくれてありがとうございます。


 打撲とか骨折とか、そういうバッドステータスがない世界で良かったなあと本気で思いました。

 ポーチからショートカットに設定したHPポーションを取り出して呷る。二本くらい一気に消費することになってしまった。これからは気を付けよう。


 ボロボロの状態から立ち上がり、街の中へと入っていく。衛兵さん、そんな心配そうな表情をしなくてももう大丈夫ですから。ご迷惑おかけしました。

 衛兵さんにお礼を述べつつツヴァイトへと入ると、狙い澄ましたかのようなタイミングでメッセージが送られてきた。送信者はフィーだね。


「ほほぅ」


 フィー達の方である程度攻略が終わって、しばらくは自由行動になったから明日には合流できるよだって。プルミエで待っとくらしい。

 そのメッセージに、ルーチェと一緒に行くと返信しておいた。ようやくいつものメンバーが揃ったって感じかな。明日が楽しみだ。

ステラ Lv40


種族:星魔


HP:1350

MP:3300(+600)


ATK:255(225)

DEF:625


STR:150

VIT:45

INT:60

MND:110(+20)

AGI:140(+25)

DEX:60


スキル

〈流星〉〈星空〉〈星魔法〉〈神聖〉〈福音〉〈片手剣術〉〈回避術〉〈識別〉〈 〉〈 〉〈 〉〈 〉〈 〉

エクイプメントスキル

〈聴覚強化〉〈瞬歩〉〈気配感知〉〈身体強化〉


StP0 SP9

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