キャラクリ!②
本日最後の投稿です。
『続いてステータスを設定します。体の前で、右手の人差し指を上から下へ振ってください』
言われた通りに手を動かすと、幾つかのアイコンがデジタル音と共に表示され、左側に人の形をした影が真ん中にあるウィンドウが展開されてる。その左右にはアイコンが幾つか配置されていて、押してみたけど今は使えないっぽい。
天の声さん(アナウンスのこと)に訊いたら、使えるようになるのは正式サービスが開始してからだって。
『では、上から二番目のアイコンをタップしてください』
「はーい」
言われた通りにアイコンをタッチ。アイコン名は〈Status〉。タップすると新たなウィンドウが開く。内容はこんな感じ。
ステラ Lv1
種族:星魔
HP:300
MP:1500
ATK:5
DEF:0
STR:50
VIT:10
INT:60
MND:50
AGI:45
DEX:55
スキル
〈流星〉〈星空〉〈星魔法〉〈神聖〉〈福音〉
StP100 SP20
うん。表示したはいいけど、これが高いのか低いのかはわかんないよね。ここは天の声さんに助けてもらおう。
「このステータスって高い? それとも低い?」
『高いです。レア種族は基本的にパラメーターが高く設定されてます。人間族と比べてみるとわかりやすいかと』
すると、アタシのステータスの横に別のステータス画面が表示された。
Lv1
種族:人間
HP:500
MP:250
ATK:2
DEF:0
STR:25
VIT:25
INT:25
MND:25
AGI:25
DEX:25
スキル
〈〉〈〉〈〉〈〉〈〉
StP100 SP20
なるほど、確かに人間族よりは高い。二つを除いて。
「HPとバイタリティのパラメーターが人間族より低いんだけど……」
『種族特性です』
そう言われて思い出した。そういえば星魔も一応魔人族なんだっけ。だからHPとVITが低く設定されてるんだね。とりあえず納得。
「なぜかアタシのスキル枠が埋まっちゃってるのは?」
『レア種族の場合、種族特性のエクストラスキルを持っていることがあります。その場合、自動的にスキル枠を消費します。例外はありません』
続く説明によれば、初期スキル枠は全プレイヤー共通で五枠のみ。星魔のエクストラスキルは五つ。
つまり、アタシは剣術とか魔法系のスキルが現状取れないと。なんてこと、魔法剣士の願望が遠のいた……。
『〈片手剣術〉のスキルを持っていなくても武器が使えないわけではありません』
「そうなの?」
『はい。〈〇〇術〉スキルというのは対応した武器の攻撃力上昇補正や耐久値減少補正、対応武器のアーツを使えるようになる。というスキルですので、無くても問題ありません』
ただしスキルを持ってる人に比べれば、攻撃力は低く、武器も壊れやすいということらしい。
まあ武器自体が使えるなら特に問題はないかな。ちなみにスキル枠はレベルが五の倍数になるごとに一つ増えていくそうな。
アタシの場合はストレングスパラメーターが高いから、序盤の武器なら大体は装備できそうだし、それでゴリ押しできると思う。
レベルが上がるごとにスキルポイントも増えていくみたいだし、それを使えばスキルの取得はできる。それまで頑張ればいいだけかな。最初に貰えるスキルポイントはそのままみたいだし。
それから、GOでは防具を身に付けない限りDEFは0のままだって。だから、必ず何かしらの防具は身に付けておかないと、敵からのダメージがダイレクトに通ってくる。
さすがにそれは勘弁だから、いい防具を見つけたら装備しないとね。
そして、魔人族の括りである以上、スキル取得にかかるポイントは多め。ちょっと覗いてみたら、〈片手剣術〉の使用ポイントは20になってた。
たった一個で初期スキルポイントが一発で吹っ飛ぶのかあ。まあまずその前にスキル枠がないんだけどね。
『では、次にステータスポイントを振り分けましょう』
「好きに振り分けていいんだよね?」
『はい。振り分けに制限はありません』
したらば!
ステラ Lv1
種族:星魔
HP:900
MP:2100
ATK:8
DEF:0
STR:80
VIT:30
INT:60
MND:70
AGI:70
DEX:60
スキル
〈流星〉〈星空〉〈星魔法〉〈神聖〉〈福音〉
StP0 SP20
こんな感じかな。バイタリティがHPと、マインドがMPと連動していて、バイタリティとマインドを上げるとその二つが上昇する。
上昇する数値は種族ごとに違うみたいで、初期値も各パラメーターに合った数値になってる。星魔の変換倍率はHP・MP共に三十倍。パラメータを1増やせば30加算される。
HP……ダメージを受けると減っていく。ゼロになると戦闘不能になる。
MP……魔法系スキル使用時に減っていく。ゼロになると魔法が使えなくなる。
ATK……攻撃力。相手の防御力次第で与えるダメージ値が上下する。一ダメージは必ず入る。
DEF……防御力。防具性能に依存する数値。
STR……筋力値。プレイヤーの筋力を上げるパラメータ。体を動かす時に全体的な補正がかかる。
VIT……生命値。HPの上限値を引き上げるパラメータ。
INT……知力値。魔法系スキルに影響するパラメータ。高ければ高いほど魔法攻撃力が上がる。
MND……精神値。MPの上限値を引き上げるパラメータ。
AGI……敏捷値。素早さに影響するパラメータ。高ければ高いほど動きの速さが上がっていく。
DEX……器用値。器用さに影響するパラメータ。生産系スキルの成功率に補正がかかる。
それぞれのステータスの詳細はこんな感じかな。
パラメータはステータスポイントを割り振らない限り変動することがない。
1レベルアップごとに入ってくるステータスポイントは5。それを振り分けていって自分なりのプレイスタイルを確立していってください。以上、天の声さんの言葉でした。
「これでいいよ」
『ステータスの詳細を確認しなくてもいいのですか?』
「おっと、そうね。スキルの詳細くらいは確認すべきかな」
『確認したいスキルを長めにタッチすれば詳細を見ることができます」
「ありがとう」
というわけで、順番に確認していこう。
〈流星〉マスタリー0
星魔専用エクストラスキル。流星の如きスピードで空を翔ることができる。使用中はMPを消費し続ける。アクティブスキル。
発動ワード「流星」
〈星空〉マスタリー0
星魔専用エクストラスキル。自分を中心とした周囲一キロを星空にするスキル。範囲内にいるプレイヤーの位置情報を把握できる。使用中はMPを消費し続ける。アクティブスキル。
発動ワード「星空」
リキャストタイム38秒
〈星魔法〉マスタリー0
星魔専用エクストラスキル。星属性の魔法攻撃ができる特殊魔法スキル。星空がない場合、発動することはできない。アクティブスキル。
一位階
〈星落とし〉指定対象に星を一つ落とす単発魔法。
消費MP200 キャストタイム12秒 リキャストタイム21秒 自動追尾
〈神聖〉ノンマスタリー
神聖系統種族専用エクストラスキル。全ての状態異常を無効化する特殊スキル。パッシブスキル。
〈福音〉マスタリー0
神聖系統種族専用エクストラスキル。発動中に自身を含むパーティメンバー全員のHPを回復し続ける特殊スキル。使用中は継続的にMPを消費する。アクティブスキル。
発動ワード「福音」
リキャストタイム24秒
スキルが強力すぎる件。特に〈神聖〉。このレベルで持つようなスキルじゃないと思う。まあ神聖系統種族なら全員持ってるスキルみたいだけど。これパワーバランスとか大丈夫なのかな?
神聖系統種族っていうのは、わかりやすいので言えば天使系とか精霊系とかのことらしい。他にもいっぱい教えてもらったけど、覚える必要性がなかったのと覚えきれなかったのとで、右から左に抜けていった。
マスタリーは、このゲームにおけるスキル熟練値のことを指す。最大値は1000。もっとも、かなり使い続けないと上がっていかないから、カンストさせるには相当な時間がかかると思うけど。
やり込み要素の一つってことね。
キャストタイムは見た感じだと魔法発動にかかる時間だと思う。この辺りは実際にゲームを進めないとわからないから、検証は正式サービスが始まってからだね。
リキャストタイムはその魔法かそのスキルを使った後、次に使用可能になるまでの時間なのかな。これも始まってから調べようっと。
でも、気になるのはもう一つ。これは質問した方がいいと思う。
「星属性って何ですか?」
『《Genesis Online》で存在する火水風土聖闇の六属性とは全く異なる属性です。耐性が存在せず、属性ダメージをダイレクトに対象へ与えます。そして魔法同士をぶつけ合った場合、どれだけ威力が低くても必ず相殺します』
「ズルくない?」
『仕様です』
なんとまあ、星属性は〈神聖〉に負けず劣らずなチートだった。これって下方修正が入るレベルじゃない?
ああいや、消費MPとか発動速度とかの関係でそうでもないのかな? その辺りも要検証だね。
『それでは、最後に初心者装備の設定を行います』
「初心者装備の設定?」
『デザインが複数種類あり、それを自由に組み合わせて初心者装備として装備することができます。性能はどの組み合わせでも変わりません』
自己流の組み合わせで装備することが可能ってことね。確かに、同じ装備のプレイヤーが一つの街に溢れかえったらパッと見じゃ見分けつかない。
しかも全く同じ服装のプレイヤーが約三万人も同時に街中を歩き回る。想像しただけでなんかヤだ。
性能は変わらないし、最初のオシャレって感じかな。まあ好きなのを組み合わせるだけだし、気に入ったのをテキトーに着てればいいや。
というわけで、これが着たい、これにしよう、という感じにファッション感覚で選んだ。
頭装備は髪に隠れて見えないけどブルーのピアスにしてる。胴装備は丸首で白い長袖シャツの上にマリンブルーのベスト。手装備は右手の中指に銀の指輪。
腰装備は白いラインで縁取りされた青いスカート。脚装備は平底の黒を基調としたハーフブーツ。それから、水色のラインが真ん中に入った白のガーターリングが右太腿に付いてる。ちょっと色っぽいかも?
防具を装備したらDEF値が15になったから、各装備のDEFは3ってことになるのかな。
基本五装備以外にもアクセサリーを二つ付けられるみたいだけど、多分序盤はアクセサリー自体が売ってないんじゃないかと思う。あるんだったらこの初期設定の時点で装備できるだろうし。
後、初心者用の装備は全部耐久値が∞になってる。ビギナーに優しい仕様だね。
ただ、武器は正式サービスが開始してから自分で購入する必要がある。ここはとても優しくない。初心者の剣くらいはくれてもいいと思うんだけどなぁ。
安易に耐久値無限の武器を装備させるのを嫌ったのか。はたまた別の理由があるのか。どっちにしたって、ゲームの仕様である以上は受け入れなきゃだね。
『これでキャラクタークリエイトは終了です。正式サービス開始は八月一日の十四時からとなっています。楽しみにしていてくださいね』
「は~い」
『それでは』
視界が徐々に白く染まり、辺り一面が真っ白になる。
気付けばアタシの視界は真っ暗だった。ああ、ViLi着けっぱなしだからか。ハードを頭から外して時間を確認する。十五分くらいしか経ってなかった。
キャラクリに一時間くらい使ったから大体四分の一。見事に思考加速度は四倍らしい。
う~んっと思いっきり体を伸ばす。今回はそう時間が経ってないから大したことないけど、次からはずっとゲームしっぱなしだと思う。だから、ログアウトしてから起きる時は気を付けないとね。
「さて、光が昼食用意してくれてると思うし、リビングに行こっと」
いやあ、今から正式サービス開始が待ち遠しいですなぁ。てな感じで期待に胸を膨らませながら、昼食のために部屋を出ていく。
ありがとうございました。
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※2019/01/20 内容変更
・パラメータの説明を変更
(STRとMNDの効果を変えてます)
・細部の言い回しを変更
・〈星魔法〉の仕様も変更してます