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プルミエ散策……からの?

誤字報告してくださった方、ありがとうございました。

これかなり便利な機能ですよね。

 クララとクラリスに装備の作製を依頼した後、そのまま街の散策を始めた。

 ゆっくりと石畳の上を歩いて辺りを見渡せば、相当活気のある街だっていうのがすぐにわかる。街行く人達は露店を冷やかしたり、近くの人と親しげに談笑したりして楽しそう。


 マップを表示して暗い部分を埋めるように街を歩き回り、地理と自分に関係する主だった店を覚えていく。まあプルミエにいるのも後少しだけだと思うけど。

 装備さえ完成すれば、次の街に向けてここを発つつもりだし。


「プレイヤーもまだ結構いるのね」


 初心者用であろう装備に身を包んだプレイヤーがあちこちを歩いてる。アタシもその内の一人なわけだけどね。


「うぇぇぇぇぇぇんっ!」

「ん?」


 適当に歩いてたら、どこからか子供の泣き声が聞こえてきた。


「いた」


 泣き声の聞こえる方へ歩くと、七歳くらいの女の子がすごい勢いで泣いてた。というか、なんで周りの人は無視してるのさ。可哀想に。

 カーソルは青だから、住人だね。迷子かな?


「お嬢ちゃん」

「ひっく……ぐす……おねえさん、だれ?」

「ただの通りがかりだよ」


 子供って可愛いよね。こう泣いてるところが保護欲を掻き立てられるというか。とにかく可愛いと思う。

 とりあえず、恐怖心が出てこないようにしゃがんで目線を合わせる。


「ひく……とーりがかり?」

「うん。貴女、名前は?」

「っく……エーファ……」

「エーファちゃんか。いい名前だね」

「ぐす……ありがと」

「エーファちゃんはなんで泣いてたの?」


 何か困ってるなら助けてあげたいところだ。迷子クエストみたいな?


「おなかすいたの……」

「そっか」


 迷子じゃなかったんだね。まあいいや。

 えっと、食べられるものは……あ、ちょうどよく果実があるじゃん。これをあげようかな。


「これ、食べる?」

「くだもの……?」

「うん」

「たべりゅ……」

「どうぞ」


 アタシが渡したソリッドトレントの果実に小さな口でがぶりと噛みつくエーファちゃん。やっぱり可愛いな。

 一口齧ったらその後は怒涛の勢いで果実を食べ始めた。時間にして一分足らず、結構な勢いで完食だ。


「ごちそうさま!」

「お粗末様」

「おねえさんありがとー!」

「どういたしまして」

「おねえさんのおなまえ、なんていうの?」

「ステラよ」

「ステラおねえちゃん! おぼえた!」


 空腹が満たされた瞬間、これまでの泣き顔から一転して無邪気な笑顔を浮かべるエーファちゃん。子供はこれくらい元気じゃないとね。


「わたし、おうちにかえるね!」

「そう。それじゃあさよならだね」

「うん! ステラおねえちゃん、ばいばい!」

「ばいばーい」


 そのまま手を振りながら走り出して去っていくエーファちゃん。それに手を振り返すアタシ。なんか周囲の視線が微笑ましいものを見る目に変わった。




 エーファちゃんお腹空いた事件の後、気紛れに歩いてたらいつの間にか噴水のある大きな広場に出ていた。

 ぐるりと見回してみれば露店を開いてる人が結構いる。道中でも見かけたけど、ここは特に数が多いから中心地って感じかな?


 色々と遠目に見て回ってると、噴水のすぐ傍で光のエフェクトが発生した。それが収まった後にはプレイヤーと思しきアバターが数人立っている。

 カーソルが緑だからプレイヤーだね。苦笑しててログインしてきたって感じでもないし、リスポーンしてきたのかな? 確かあそこがそうだったはずだから。


 あそこをああすれば、ここをこうすれば良かったんじゃ、みたいな反省会をしながら、大きな道へと歩いていくプレイヤー達。パーティ組んでるっぽいね。

 まあ頑張りたまえよ。アタシは死に戻ったことないからあの人達の感覚はわからない。いつか死んじゃう日が来るだろうか。


 それにしても、色々と露店があるなぁ。武具にアクセサリー、ポーション系アイテムも売ってれば、素材そのものを競売みたいな感じで売りに出してる人もいる。


「ポーションの作り方がちょっと気になるなぁ」


 生産系にシフトするってことはないけど、物が出来る過程って気になるよね。気にならない?

 そんな感じで、適当なポーション屋さんに寄って行く。シートの上に凝った意匠の瓶がいくつか並んでいて、中にはライトグリーンやイエローの液体が入ってる。


 ポーション露店の店主と思しき人は緑色のカーソル。長過ぎてシートに広がってる金髪とアホ毛、そしてぐるぐる眼鏡が特徴的な女の子プレイヤーだった。

 丈の長い白衣を着ていて、これぞ研究者と言わんばかりの様相。ロールプレイなんだとしたら、ここまで徹底してるのも中々すごい。


「……いらっしゃいませ」


 研究者がアタシに気付いて静かな声で来店の挨拶をしてきた。


「どうもこんにちは。ここってポーション系アイテムを売ってるんだよね?」

「……はい。買いますか?」

「今のところは困ってないからやめとくわ」

「……ですか。助かります」

「なんでよ……」


 彼女が言うには、最近ポーションの需要が高いせいで数が不足してるみたい。特に品質の高いものは作っても即日完売。

 在庫確保なんてできるわけもなく、常に素材を欲していると。


 街にも住人が経営してる薬屋があるけど、同じような状態だからポーションの需要は上がりに上がってるらしい。


「昨日――っていうか、サービス開始からしばらくは問題なかったんでしょ?」

「……その通りです。品薄状態になるほどの消化ではなかったはずなんですけど」

「何かあったの?」

「……掲示板です。東側のフィールドで新しいダンジョンが見つかったっていう情報が上がったんです」


 え……。


「……攻略組がいない今を狙って、たくさんのプレイヤーが攻略に乗り出したんです」

「ダンジョンアタックのためにポーションを根こそぎ買っていったと?」

「……まあそんな感じですね。元々数は少なかったですけど、在庫含めて一気に吐き出してしまいました」


 ごめんなさい。アタシのせいですね。


 で、現状どの錬金術スキル持ちのポーション売りも品切れ状態。彼女のところもシートに乗ってるもので最後だそうで。

 何より、目下の悩みとして――


「薬草と魔力草が足りなくなった?」

「……スライムゼリーは有り余るほどなんですけど、元となるその二つが無くなってしまって」

「採取して来ればいいんじゃない? とか聞いていい?」

「……構いません。当然のことながら、私達自身もフィールドに行って採取はしてるんです。してるんですけど」

「けど?」

「……ソロだと採取範囲が限定されてて思うように集まらないんです」

「そういうこと」


 ポーションは〈錬金術〉スキルで生産できるようになってて、取得には5ポイントかかる。基本的な生産系ビルドに必要なスキルテンプレとして〈鑑定〉〈採取〉〈道具修復〉の三つがある。


 鑑定スキルは採集前のアイテムの名称や効果、使い方を見ることができるようになるスキル。薬草とかを雑草群の中から見つけ出すのに苦労する。見た目の違いが結構わかりにくいんだとか。


 採取スキルは採取可能上限を増やすスキル。一か所で取れるのは二~三回がせいぜいで、生産者としては集めるのが大変になる。だから、基本的にこれで上限数を増やしてより多く採取物を入手するために取るスキル。

 同系統のスキルで〈採掘〉〈釣魚〉〈伐採〉というのもある。


 道具修復スキルは生産に使う道具の耐久値を回復させるスキル。装備品と同じように生産道具にも耐久値が設定されてて、これがなくなると道具が使えなくなる。


 こんな感じで生産系ビルドには重要なスキルだから、こっちでやっていきたい人はこの三つが必須スキルになってる。

 この三つに加えて自分のやりたい生産スキル、計四つの枠が即埋まってしまう。何より、この四つの総使用ポイントは17。武器スキルが取れないんだよね。


 まあ武器スキルなくても戦えないことはないんだけど、それができるのはよほどバトルセンスがあるか、アタシみたいに特殊な種族ゆえの高パラメータであるか。

 後者に関しては下手したらエクストラスキルで枠潰れちゃうから、やる人はいないと思うけど。


 それで、生産系ビルドで何が厄介かって言うと、まずは戦闘方面が手付かずになること。特に序盤はほとんど戦闘が出来ないと思っていい。


 理由としては、最初の資金が生産セットで消えてしまうから。武器スキルどうこうの前に武器が買えないという問題が発生する。

 じゃあ最初は武器を買えば? と思うけど。そうした場合、狩りでお金が溜まるまで一切生産ができなくなる。

 生産は練習しないと質が上げられない。つまり、他の生産プレイヤーに後れを取ることになっちゃう。自分ができるようになったころには、他のプレイヤーは生産者として一歩先を行くことになるという。


 結果、「どうすればいいのおぉ!」というすさまじいジレンマが生まれちゃうんだよ。そして、解決方法を模索して生まれたのがエスケープスタイル。文字通り逃げるが勝ち戦法。

 ただ、これをやるにあたって注意しないといけないのは、トレインしないように逃げる必要があること。


 トレインっていうのは、プレイヤーが1匹のMOBから逃げようとしている時に、他のMOBが次々とリンクしてプレイヤーを追いかけること。

 死に戻る可能性が高いし、万が一近くに他プレイヤーがいたらその人達にタゲが移ることもある。RPGをやる上では万死に値する迷惑行為の一つ。これやったら普通に晒されるから気を付けて。


 このスタイルで行く場合は、敏捷値を上げる必要がある。相手の感知範囲外へと即座に離脱できれば、トレインが発生する可能性も減るから。

 後、感知系スキルが必要になる。先天的に感知系スキルを持ってる種族で始めるか、人種を選んで五つ目のスキルとして選ぶかだね。


 それ以外の解決法はプレイヤーに依頼する、もしくはパーティに同行させてもらって攻略ついでに採取するって感じになるかな。一般的にはこっちだと思う。


 んで、目の前にいる研究者さんだけど。言葉から察するにエスケープスタイルでやってるっぽい。茨の道を選ぶ子がアタシ以外にもいるとはね。


「大変でしょ?」

「……です。採取するポイントに気を使う必要がありますし、逃走経路を予め準備しないとですし」


 いやホント大変そうだ。ソロプレイ決め込むとこういうところで面倒なことになるんだよね。やりたいことが決まってる時は特に。


 けど、これは良い暇つぶしになりそうだなぁ。街の散策はちょっとした気紛れでやってただけだし、中断するのは問題ないしね。後はこの子が了承すれば。


「ねえ。良ければ、今から薬草採取に行かない?」

「……え?」

「アタシとパーティを組んで採取ツアー」

「……いいんですか?」

「モーマンタイ」

「……何故に広東語」


 そこは気にしちゃダメよ。


「(それに、アタシのせいみたいなものだし……)」

「……何か言いました?」

「ううん! 別に!」

「?」


 小首を傾げるそのしぐさがちょっと可愛い。


「で、どうする?」

「……ですが、何か用事とか」

「特にないわ。暇だから適当に街を見て回ってただけだし」

「……そ、それじゃあ。お願いしていいですか?」

「オッケー」


 よし。これで今日一日の暇が完全に潰せる。


「それじゃあ、フレンド登録しない? 逸れちゃった時に連絡とかできた方がいいでしょ?」

「……そうですね。しましょう」

「よろしく。アタシはステラよ。貴女の名前は?」

「……ベルナデッタです。長いのでベルと呼んでください。ステラさん」

「わかったわ、ベル」

「……はい」


 アタシからフレンド申請してベルがそれを承諾してくれて、フレンドリストの登録者数が増えた。こういうのって何気に嬉しいよね。


「じゃあ、早速行きましょう」

「……はい。少し待っててください。お店片します」

「うん」


 ベルがシートをいくつか操作して上に乗ってるアイテムを格納した後、シートごとストレージの中に仕舞った。便利だなぁ。


「ストレージ内のアイテム枠圧縮に使えるかな?」

「……使えないこともないですけど。これは住人からのレンタルなので返す必要がありますね」

「へえ。そんなことしてくれる人がいるんだ?」

「……商会とかで、そういうサービスをしてくれる住人がいるみたいですね」

「買うことはできるの?」

「……できなくはないんですけど。すごく高いです」

「まあそうだよね」

「……はい」


 そこからメニュー操作でベルが戦闘装備に切り替える。得物はダガー。できるだけ身軽にして逃げ易いようにしたのかな。


「それで、どこに行く?」

「……東って大丈夫ですか?」

「ベルの普段の採取場所ってイーストウッズなんだ」

「……違いますけど」

「ええ……」


 普段はウェストグローヴという西側のフィールドで採取してるらしくて、今回はパーティを組んで行くからちょっとくらいは無理してみたいと。


「まあ東側はダンジョン目的のプレイヤーだけで、取り放題だろうしね」

「……はい」

「いいよ。行ってみようか」


 武器は違うけどダッシュラビットの弱点はわかってるし、相手の動きにも慣れてるから大丈夫だと思う。今は片手剣術もあるしね。

 というわけで、アタシとベルの二人で臨時のパーティを組んでイーストウッズへと向かうことになった。




「ちょ! ウサギ強過ぎ! きゃあっ!?」

「はえぇ!? 待ておま――ぐふぅ!?」

「これはさすがに無理だって!? くぁっ!?」


 阿鼻叫喚とはこのことだろうか。あっちこっちからダッシュラビットの餌食となったプレイヤー達の声が響いてくる。碌に対策練らないから……。

 あ、そういえばアタシ、ダンジョンのMOB情報は載せたけど、ダッシュラビットの対策は載せ忘れてたっけ。ごめんよ皆、後で載せとくよ。

 そんな反省をしつつ、ハイトで白兎を斬り付けて討伐する。


「……すごいですね。周りは皆やられちゃってるのに」

「まあね。というか、ここアタシの狩場だったから」

「……えっ? そうなんですか?」

「そうだったんだよ」

「……それじゃあ、ダンジョンの情報も」

「うん。アタシだね」

「…………」


 いやホントごめんって。無言の圧力やめて……。


「正直言って、レベル高いダンジョンだからこんな早く攻略に乗り出す人がいるとは思わなかったんだよ……」

「……普通いますよ。一番に攻略したいって人はいっぱいいるんですから」

「いや、一番はアタシだけど……」

「……もしかして、攻略済みなんですか?」

「うん。それについても書いたんだけどね」

「……じゃあ、なぜ」

「多分、素材だと思う」

「……素材?」


 目的は多分ラウムアンバーじゃないかな。レア素材だから売るだけでもかなり稼げるだろうし、装飾品にするのもいいし。


「……だからあんなにプレイヤーが食い付いたんですね」

「多分ね」

「……なんというか」

「ん?」

「……ステラさんって色々おかしいと思います」

「あれ? そういう評価?」


 何がおかしいのかわからないんだけど。ダンジョンに行けたのだって、たまたまクララが依頼で連れて行ってくれただけだし、素材だって偶然取れただけなんだけど。


「それでどう? 薬草は上手いこと採取できてる?」

「……はい。予想通り、誰も採取してる人がいないので捗ります」

「取り尽くしたらダメだからね?」

「……一般常識です」


 その割には見つけた先から採取しまくってる気がするんだけど。まあ単純に採取ポイントが多いだけで半分くらい残しつつ採っていってるだけかもしれないし。


 それから日が落ちるまで薬草や魔力草を採取して回り、多くの素材が集まってから街へと戻った。




「……では、私はこれからポーション作製をしますので」

「りょーかい」


 今は採取ツアーも終わらせて、最初に出会った噴水広場でベルと話してる。って言っても、後はお別れするだけなんだけどね。


「……それで、一ついいですか?」

「何?」

「……道中で入手したスライム素材を売っていただけませんか?」


 躊躇いがちにお願いしてきたから何かと思えば、そのくらいならお安い御用。

 というか、アタシが持っててもストレージの肥やしになるだけだし、使ってもらえるならベルが持ってた方が絶対に良い。


「オッケー。いくらで買う?」

「……いくつありますか?」

「ゼリーが59個と核が21個」

「……助かります。ゼリーはともかく核が不足していたので」

「ああ。レアドロップっぽいもんね」


 お試しみたいなMOBなせいか、スライムって素材を落とさないこともあるんだよね。五回中一回くらいは経験値だけで素材なしってのがあったし、その中でもレアドロップってなると必然的に不足してくるんだね。


「……買取価格はゼリーが50リキッド。核が150リキッドです」

「三倍の価値があるんだ」

「……核は慢性的に不足してる上にレアドロップですから」

「買値を上げないと売る側がうるさいってことね」


 いくつも買い取ってると自分のお金が無くなるけど、その辺はポーションの売値で帳尻を合わせてるとか。商売って大変だなぁ。

 そういいつつトレード画面でスライム素材と買取代金を交換する。


「うん。4330リキッド確認っと」

「……素材提供ありがとうございました」

「こっちも使わない素材を処分できて良かったよ」

「……ウィンウィン、ですか?」


 双方にとって利があるし、その表現も間違いではない。


「そういえば、ポーションに核って必要なの?」

「……えっと。必須というわけじゃないですけど、あったら助かりますね」

「というと?」

「……ちょっと長めの説明になるんですけど、いいですか?」


 材料としては水と薬草類、そしてスライム素材。初心者がいけるフィールドで普通に入手できるものだから、序盤のお小遣い稼ぎとしても使えると言えば使える。


 基本的には水と薬草、スライムゼリーの三つがあればいいんだけど、そこに核を砕いて混ぜ込むと上品質のポーションがほぼ百パーセントの確率で出来るらしい。

 逆に混ぜずに作った場合は上品質のものは逆立ちしても作れないとか。だから、通常売りに出されてるのは普通品質。たまに上品質があると。


「……序盤だと回復系の魔法も一人にしかかけられないですし、HPやMPを回復させられるスキルもないんです」

「言われてみれば、初期選択スキル内には自動回復スキルとかなかったね」

「……強いて言うなら神聖系統種族が持つ〈福音〉くらいでしょうか」


 完全に忘れてた。だって全然使わなくなっちゃったし。レベル上がって武器も強かったから、あの森のMOBが雑魚になっちゃったからね。

 あの二人が強かったから、全然HPも減らなくて、使う必要がなかったし。さっきの採取ツアーもベルは後ろに隠れてただけだったからね。


「うーん。掲示板見た限りでも自動回復スキルが取れるのって、もっと先に行ってからって話だし」

「……そうなんです。だから、それまではポーションの需要がすごく高くて」


 そこに追い打ちをかけるような形でダンジョン情報が入ったから、天手古舞になっちゃったと。本当にごめんね。


「……では、ポーション作りに行きますね」

「うん。パーティはこっちで解除しとくから」

「……はい。今日はありがとうございました」

「どういたしまして」

「……またの機会にお会いしましょう」

「じゃーね」


 ベルは一礼してその場を去っていく。アタシは彼女の姿が見えなくなるまで見送って、パーティを解除した。いやあ、今日は楽しかったなぁ。


 いつか、ベルと一緒に冒険できるといいな。そう思いながら適当な宿を探してログアウトした。

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