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いざ捜索へ

書き忘れに気付いたため9話を修正。武器の項目に条件の欄を追加しました。

 目の前には雲を突き抜けて天辺がまるで見えないくらい樹が聳え立っている。ここがクララの案内で連れてこられたダンジョン。【イーストウッズ】のど真ん中にあった。この樹は街からもしっかり見える程大きな樹で、自然と世界樹っていう言葉が思い浮かぶような立派な樹だった。


 っていうかおかしいなぁ。【プルミエ】の周辺にダンジョンがあるなんて話はなかったんだけど。アタシ自身、移動とかで二~三日は掛かる場所にあるだろうなって思ってたから、これはさすがに予想外だった。というか、初期フィールドに高難度ダンジョンとか怖過ぎなんだけど……。


「ここにクラリスさんがいるの?」

「はい。【ツヴァイト】でお姉様と仲が良かった商人が、この【ラウム迷宮】に行くと言って街を出たことを教えてくれました」

「誰も引き止めなかったの? 危険だってことは承知してるんでしょ?」

「言って聞く人なら私も心配なんてしないです」


 まあそうだね。聞き分けがいい人ならまず危険地帯に単独で行くとかしないか。ちょっと考えるだけでわかることだったか。


「じゃあ誰かしら戦闘できる人を雇うとか……」

「お金がもったいないと言ってましたね。基本的に、お姉様は鍛冶関係以外に費用を掛けるのを嫌っているので」

「守銭奴……」


 せめて護衛くらい付ければよかったのに。そうすればクララとかも心配はあまりしなかったと思うんだけどなぁ。というか、今の会話で知らない単語が出てきたね。


「ねぇ。【ツヴァイト】って?」

「【イーストウッズ】を抜けた先にある街ですね。お姉様はそこで鍛冶屋を営んでいます」

「なんでクララだけ【プルミエ】に?」

「【ツヴァイト】から程近い位置にある街の中では最も栄えているからですね。商人や鍛冶師としてまず名を上げるには【プルミエ】が一番ですから。人も多いですし」


 そういうことか。まあ最近は〈加護者〉がきたおかげで人口も天元突破の勢いで増していってるからね。と納得したはいいものの、さすがにその言葉に矛盾を覚えたから質問する。


「名を上げたいのに店での買い物に〈紹介状〉が必要っておかしくない?」

「あぁそれですか」


 苦笑しつつもなぜそんなシステムにしてあるのかっていうのをクララは語ってくれた。むやみやたらに顧客を増やしたくないっていうのはフィーから聞いてたけど、一番の理由はクラリスさんの意思らしい。


 クララが信頼できる人にしか武器を売らないでという風に言われたみたい。妹にいちゃもんつけられるのが嫌なんだってさ。後は、武器の性能が軒並み高いのに安いからか、注文が引っ切り無しになってしまってしまうのが嫌とか。アタシ達の世界じゃ忙しいのが店の幸せとか言ってるけどね。あれ? 芸能関係だっけ?


 ちなみに、今は樹がすぐそこだったりする。さっきまでは森の中を歩きながら(クララがアタシの速さに付いてこれなかったから)移動していてその道中で話してた。兎? 出てくる度に切り伏せていきましたが何か?


 レベルも高くなって攻略法もわかっている以上、兎なんてアタシの敵じゃないのだよ。それこそモンスターハウスでもなければアタシを苦戦させるには至らない。何より、クララからの借り物もあるからね。



名称:知恵のネックレス

レア度:★★★★

品質:極上

耐久:400

特殊効果:知力値UP【大】

条件:LV5以上



名称:怪力のブレスレット

レア度:★★★★

品質:極上

耐久:400

特殊効果:筋力値UP【大】

条件:LV5以上



名称:俊足のアンクレット

レア度:★★★★

品質:極上

耐久:400

特殊効果:敏捷力値UP【大】

条件:LV5以上



名称:フレイムグリッター

レア度:★★★★★

品質:極上

ATK:150

耐久:600

特殊効果:火炎刃 ATK値UP【特大】

条件:LV5以上 STR100以上 INT50以上



名称:スプリットファイア

レア度:★★★★★

品質:極上

ATK:150

耐久:600

特殊効果:火炎刃 ATK値UP【特大】

条件:LV5以上 STR100以上 INT50以上



 アホみたいに超高性能だけど、完全に借り物だからこのイベントが終わったらクララに返すことになる。耐久が0になって壊れるのも困るから、イベント中はクララに装備を渡せば即座に耐久値を全回復してくれることになってる。おまけで初心者防具もしてくれるらしい。


 ちなみに二つの武器にある火炎刃だけど、魔力の継続消費によって刀身に炎を纏わせることができる特殊効果。この二本の剣は所謂魔法剣と呼ばれるものらしい。魔法属性が付与されるから、普通の属性剣よりも使い勝手はいい。魔力がなくなっても普通の剣として使えるしね。


 【ラウム迷宮】(大樹の迷宮のこと)が間近に迫り、否が応でも緊張感が高まっていく。ここまででレベルが10に上がったけど、油断はできない。というか、冗談抜きにこの迷宮の推奨レベルはかなり高いと思う。それこそ、レベル10如きで挑む場所じゃないはず。


 迷宮の入り口は太い根っこの一つにあった。その根っこの中程にぽっかりと口を開けた入口がある。そこから入って樹の幹まで行き、上に進んでいくっていう仕組みになっているらしい。


 威圧感を放つ入り口を前にして、アタシとクララは静かに佇む。


「最後の確認よ。クララも入るのね?」

「はい。お姉様を助けるために」

「わかったわ」


 迷宮内に入ったらクララにはアタシの後ろを付いて来てもらうことにした。一応短剣は扱えて〈短剣術〉も持ってるみたいだけど、接近戦は得意じゃないみたいだし、何より魔法主体の後衛型だからね。アタシが時間を稼いでる間に詠唱キャストタイムを済ませて魔法を撃ってほしい。


「行きましょう」

「はい」


 そうして二人で迷宮内へと踏み込んでいく。入ったら右側は壁で左の方に道が延びている。その方向にあるのは大樹の幹。迷うことなく左へ、そして奥へと進んでいく。


 中は思ったよりも明るい。軽く五十メートル先くらいまでは見えるかな。一応ランタンは用意してたんだけど、この分だとあまり必要はなさそうね。


 幹に辿り着くまでは特にMOBとかは出ないみたいだからズンズン先に進んでいく。まあ軽い警戒くらいはしてるけど。


 しばらく歩くと途端に開けた場所に出る。広さ的にはアタシが昨日入ったモンスターハウスよりも遥かに広い。多分二十メートルくらいの直径かな? 大分広いけど、視界の確保はしっかりとできる。どうやら幹部分に到着したみたいだね。クララ曰く、これでも幹の太さの三分の一程の広さもないとか。


「ここは幹の最下部。迷宮内部にある唯一の安全地帯です。奥にある通路へと踏み込めば、そこから先は魔物が湧き出る危険域になります」

「準備は万端よ。行くなら早めがいいでしょ?」

「はい。お姉様が心配ですから」


 二人して水分補給と軽い食事を済ませて奥へと進む心の準備をする。なお、携帯食料はマズい模様。水とかと一緒じゃないと食べられたものじゃない。これゲームでしょ? なんでマズいのを食べさせるのよ。


「じゃあ行きましょうか」

「はい」


 そしてクララのお姉さん。クラリスさんを探すためにアタシ達は迷宮の奥へと歩を進める。ここからアタシ達の長い冒険の始まりである。なんちゃって。

ありがとうございました!


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