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プロローグ

メインでやってた作品を投稿してないくせに新作を投稿するおバカがここに一人


他の作品読んだり、妄想したりしてる内に書きたくなっちゃったんです

 高校の夏休みを間近に控え、だんだんと気温も上昇してきた七月下旬。暑さに負けず、アタシ水城みずきあかりは長蛇の列に並んでいる。

 ゲームショップの周辺には、まるで囲いのようにぐるりと大行列ができ、ゲームショップの壁に沿って人垣ができている。そこに並ぶ誰も彼もが考えることは同じだった。もちろん、アタシだってその中の一人なわけだし。


 フルダイブ型VR技術搭載のBMI『Virtual Linker』。通称ViLi(ヴィリ)とも呼ばれるそのハードは、三年前から発売された。


 技術的・法的・社会的な問題とパスしなければいけない様々な課題があり、実現はほぼ不可能とまで言われてたもの。

 しかし、様々な専門機関によって研究が為され、遂に五年前その問題を全て解消して実現に至った。それはViLiの一つ前のハードなわけだけど。


 仮想現実世界へのフルダイブ機能を搭載した非侵襲的BMI。当時、爆発的な人気を博したそのハードは飛ぶように売れていき、一部所有者の協力によるデータ提供もあって脳機能の解明に一役買った。

 その提供されたデータを元に更なる改良を加え、新機能の搭載や発生していた問題点等を解決。そして、二年前に新型のViLiが発売され、今ではそれが一般家庭に普及している。

 それと同時にフルダイブ環境に関する法律も整備され、誰もが安心してViLiを使用できる社会が形成された。アタシだってViLi発売当時から今日この日まで楽しく遊ばせてもらっている。


 ViLiが普及してからは次々とフルダイブ環境に対応したゲームソフトが発売されたんだけど、そのほとんどは農業ゲームや釣りゲームとかでアクション要素なんて一つもない。口は悪いと思うけど、ハッキリ言ってしまえばクソゲーのオンパレードだった。


 当然だけど、そこに色々な課題があったのはわかる。データ容量とかサーバーにかかる負荷とかね。

 それでも、それでもよ! 多くのユーザーはフルダイブ技術を投入したRPGというのを求めてたわけよ!


 そして半年前。諸々の課題をクリアして遂にその夢が実現された。


 それがフルダイブ環境初のMMORPG《Genesis Online》。通称《GOゴー》。

 空前絶後のビッグニュースに日本中が震撼したのをしっかりと覚えてる。街中、学校、ネットと、至るところがその話題で持ち切りで、それを知った当時のアタシは鳥肌が立つのを抑えられなかった。それぐらいすごいことだったんだよ。


 そして今、アタシはGOを購入するためだけに早起きしてゲームショップに並んでいる。並び始めたのは朝三時。

 通常、人はそれを深夜という。当然だけど、よいこはマネしないように。アタシはわるいこなのでマネします。


 GOは自由度の高さと美麗な3Dグラフィックを売りにしているRPG。スキルの数も魔法の数も半端じゃないらしく、モンスターの種類も豊富でマップも広大。十年ゲームを続けてもマップは埋まらないだろうとまで言われてるみたいで、アタシ自身、未知なる冒険の予感に心を躍らせている。


 何より、このGOは思考加速システムが搭載されてる。思考加速度は四倍。リアルでの一日がバーチャルでは四日になるんだよ。

 時間が取れない社会人とかにも優しいシステムなんじゃないかな。どうやって作ったのか、どうやって倫理的問題を解決したかは知らないけどね。まあアタシは解決できてるならそれでいいと思うよ。

 要は楽しめればオールオッケー。


 正式サービス開始は発売日である今日から一週間後の八月一日十四時ジャスト。夏休み序盤も序盤。そのせいか、長蛇の列の中にはちらほらと学生っぽい人達もいる。考えることは皆同じってことでしょうね。夏休みをGOで埋めちゃおうという魂胆だ。


 けど甘いね。某国産のシロップ漬けスイーツより甘い。

 アタシはちゃんと調べてきた。このゲームショップでの販売数は五十本。アタシくらい最前列に近い場所にいなきゃ買えっこないんだよね。ぐるっと回ってきて、アタシの隣に並んでる奴とか絶対買えない。

 とまあこんな感じでほんのちょっと優越感を満たしてはみたものの。暇つぶしにすらなりはしない。現在午前九時五分。ゲームショップ開店まであと五十五分。

 いやあ、スポドリ持ってきてなかったら確実に干乾びてたね。


 βテストに当選してれば、こうやって買いにくる必要もなかったっていうのに。神はなぜアタシだけ落選させたのか。アタシが常日頃から一緒にいる人達は全員が当選したというのに。


 βテストは限定千人。誰よりも早くGOを楽しめるだけでも大変うらやまけしからんのに、本製品の優先購入権で発売前日に買えるとか。

 β優遇が過ぎるぞー! 訴えるよ! そして勝つよ!

 しかもβテストプレイヤーは装備品やアイテム、お金とかを制限付きではあるみたいだけど、テストデータから引き継げるみたいだし?

 これは全力でスタートダッシュ決めないと、あの三人に置いてかれるなあ。


 現在九時三十分。開店までまだ時間あるし、暇つぶしがてらにスマホを取り出して電源をオン。イヤホンを装着してウェブを開く。

 ウィンドウには常にGOのホームページを開いている。プロモーションビデオというタブをタップし、読み込みが完了してズラッと並んだ動画が五つ。全部GOの紹介PVなんだよね。


 GOの世界を紹介する二つの動画から始まり、登場するモンスターをいくつか紹介する動画や様々な風景を俯瞰する動画。

 最後には、βテスターの中でもトップクラスの実力を持つプレイヤーの戦闘を第三視点から見るプレイ動画。

 何回PVを見ても全く飽きない。アタシは今からこれを買って、そして一週間後にプレイするのだ。もう心臓がバクバクしてる。夏の暑さも相まって火照ること火照ること。


 PVも一通り見終わり、次はβの時の掲示板を見る。

 テスト期間中はゲーム内でしか使えないものだったらしいけど、βテストが終わると同時に一部の掲示板がホームページにリンクを貼られてた。

 URLをタップしてページに飛ぶと、βの時にプレイヤーによって集められた情報を見ることができる。


 やっぱり剣を使うっていうのは楽しそうだね。魔法も使ってみたいし、やりたいこともたくさんある。

 βテスターの中には武器系と魔法系、両方のスキルを取得して前線で活躍したプレイヤーもいたみたいだし、魔法剣士っていうのには本気で憧れる。

 アタシも魔法剣士を目指そうかなと思ってる。理由はカッコいいから、これ以外にはない。


 他にもアイテムや最初の街周辺で出現するMOBの情報がたくさん載ってる。それを一つ一つ眺めていき、どのフィールドに行こうかと吟味して暇を潰した。


 そして、遂に運命の時がやってきた。イヤホンで耳が塞がれているのをものともせずに通ってくる店員さんの声がアタシを歓喜で震わせる。


「これより! 《Genesis Online》の整理券をお配りします! 受け取った方はレジにて整理券を提示して購入してください!」




 GOの入ったレジ袋をこれでもかというくらいの力で抱き締めながら、家までの道を歩いている。鏡を見なくてもわかってしまう。今のアタシの顔は過去最高に緩んでると。もうだらしないくらいに緩んでる。


「へへ……」


 おっといけない。自他ともに認められる気持ちの悪い笑い声が漏れちゃった。

 ちょいとそこの名も知らぬお兄さん。アタシを見ながらボケッと歩くのは止めたらどうかな。そのままだと――ああほら、側溝に足突っ込んじゃった。


 さて、まあわかるとは思うけど。念願のGOを手に入れることに成功した。眠い目を擦って列に並んだ意味はしっかりあったんだよ。

 もうホント涙がちょちょぎれまくり。え? 死語? いいじゃん別に。それくらい嬉しかったってことなんだから。


「たっだいまーっ!」


 とても元気にホクホク顔で帰宅するアタシ。目の前に仁王立ちする美少女。


「おかえりお姉ちゃん。――それで?」

「深夜外出して申し訳ありません」


 強大な圧力に屈してアタシは正座。

 家の玄関ってさ、砂やら泥やらでザラザラしてるよね。校庭にあるような小さな石ころとかが脛に喰い込んですっごく痛い。でも我慢しないと余計怒られる。


 今目の前にいるのは我が妹様。水城(ひかり)

 艶やかな黒髪を左右で結ってツインテールにしてる。どんぐりのような丸っこい目にまるくて小さい鼻と桜色の薄い唇。

 十人に訊けば十人全員が美少女だと認めるくらいに整った顔立ちをしてる。その可愛い顔が今は怒りの色に染まってるわけですが。はい、アタシのせいですね。ごめんなさい。


「お姉ちゃん。学生の外出可能時間は何時だっけ?」

「午前四時から午後十一時までです」

「お姉ちゃんが外出したのは何時だっけ?」

「午前三時です」

「言い訳は?」

「ありません」


 いつもはアタシの後ろをついてくる可愛い妹なんだけど、こうやってルールとかを破っちゃうととても怖い。だからアタシ自身、決められたことは守ろうと努力はしてる。

 けど今回ばっかりは破らざるを得なかった。そうしないと確実にGOが手に入らなかったから。まあそんなんで怒られることはバカらしいことなんだろうけど。


 いやさ、注目されてるゲームじゃ仕方ないと思うの。今回みたいなMMORPGとかは特に。ゲーマーの悲しい性ってやつかな。


「全く。深夜外出は危険だから禁止されてるんだよ?」

「いや、その条例は厳密に言うと保護者の禁止努力義務を定めているもので……」

「ん?」

「何でもありません」


 妹様がムカ着火ファイアーである。妹様は怒りを滲ませながらアタシに説教している。これはもう妹様の機嫌を取るしかない。なぁに、慣れたものよ。


「だって、どうしても光とゲームしたかったんだもん……」


 この時、聞こえるかどうかの声量で言う。ポイントはしょんぼりしつつも幼児退行を故意に起こしながら言うこと。

 ただし、使えるのは自分自身に対する好感度が高い相手に限られる。その点、光なら問題ナッシング。


「っ……」


 狙い通り光が息を呑む。そしてここで畳みかけるのよ。


「光がβテストでゲームしてる間、全然構ってくれなかったから寂しくて……」

「ぅ……」

「同じゲームをしてれば、また一緒に遊んでくれるって思ったから……」

「…………」

「ホントにごめん……」


 一応言っておくけど、ホントに思ってることではあるからね?


 光はGOのβテスターだったし、夢中になって遊ぶあまりアタシとほとんど遊んでくれなかったのも事実。それに寂しさを覚えたのも本当。

 だから余計羨ましいって思ったし、アタシも欲しいって思ったんだよね。深夜に家を抜け出して無理矢理ソフトを買った件に関しては反省する。後悔は全くしないけど。


「わ、私の方こそごめんなさい。お姉ちゃんがそんな風に思ってたなんて知らなくて……」

「光が謝ることじゃないって。決まりを破ったのは事実だし」


 そして光の怒りは消えてGOで一緒に遊ぶことが決定した。まあ最初の方はβで知り合ったギルメンとパーティを組んでやるって言ってたから、アタシはその後ってことになるけど。


 さてと、じゃあ光と一緒にプレイするために、さっさとキャラクリを終わらせますかね。一応光に言ってから部屋に戻ろう。

見切り発車ゆえに、グダる可能性特大です


後、作者はにわか知識でテキトー書くことがあるので、都度指摘してもらえると助かります。


※2019/01/19 内容変更

 ・二話との連結

 ・PV動画の変更

 ・その他細部の言い回しなどを変更

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