プロローグ
まず最初に言っておくと、これは本当に男子校生の日常なので、女子なんて出てこない、野郎だけだ。
身近な女性と言えば、母親とか妹とか姉といった家族、あるいは教師だけであって、可愛い幼馴染や近所の美人お姉さんなどいない。
最後に女子に会ったのはいつのことか、という話で『俺は一年前だ』『いや、俺は半年前だぞ!』という謎の自慢を始め出し、
『彼女が出来た』とでも言おうものなら、一瞬でそいつとその彼女の顔や名前が知れ渡り、半年程そのことで弄られる。
不安と期待を胸に入学を果たした過去は遠く、後には『なんで俺この学校を選んだんだろう…』という後悔めいたものに変わる時もある。
しかし、そこでは共学では決して得られることの出来ないものもあるだろう。
それが良いものなのか悪いものなのか判らない。
あるいは正体すら漠然として、曖昧なものなのかもしれない。
ただ一つだけ言えるのは、--恋愛が出来ずとも青春が出来る。
そんな当たり前のことに気付いたのは最後の最後だったが。
ともかく、これから先は他愛の無い話だ。
共感出来るものも、そうでないものも。
どこにでもあるが、その一つ一つが違う。
そんなありふれた日常の話。