ダンジョン捜索隊結成!なお隊員は一名。
おまたせしましたー
ぱっぱと進みます!
現場のアシュトでございます。
えーこちらに見えるは一面、土、土、土ですね。
あ、たまに見かけるのはゴブリンですね。粗末な棍棒で殴りかかってきます。
危ないので踏みつぶしちゃいましょう。えいっ。グチャッ。
失礼しました。今私がいるのはダンジョンです。どれくらいの深さなのかは私にもわかりません。
『……いつまでその変な口調で続けますか? あとどこへ向かって言っているのですか?』
おっと、普段から口を開くのも最低限な【解析】先生からツッコミが入った。
「あーまぁ、こうも閉じこもった空間にいると辟易するから気分転換にやってみた」
『そうですか。ちなみにここらは中層に位置していますのでそれなりの強さの魔物がいます。ご注意ください。』
んーあてもなくうろうろしているけど出会うのはゴブリンばかりしかいないんだけど。どれもおいしく経験値にさせていただきました。微々たるものだけど。
おっ、階段発見。俺の体でも入れるくらいには大きい。ということは大型の魔物もいるのかな?
『基本的にダンジョンの魔物は階層を移動しません。ですが稀に移動することがあります。階層に魔物が溢れすぎて収まりきらなくなったときダンジョンが拡張するか魔物を移動させるなどがあります』
ほうほう、それならこの大きさにも納得だな。
階段の途中で休憩することも考えたけど絶対に安全というわけじゃないのか気を付けないと。
そして、階段を降り切った……空気が違う。
ゴブリンしかいなかったあの階層とは違ってピリピリと肌に刺すような……。
ヒュルルルル キンッ!
あ痛っ!? なに? 攻撃された?
攻撃されたようだが毛皮に阻まれてはじいたようだ。それでも衝撃はそのまま伝わったのでかなり痛かったが。足元には折れた矢が落ちていた。
そしてまた飛んでくる矢。それも複数!
刺さらないだろうけど痛いもんは痛いんだよ!
その場で【剣山】を発動してぐるぐると高速で回転して矢をはじいてやった。勢いそのままに転がって矢が飛んできた方向へ向かう。
土がむき出しの通路を少し行けば襲撃者はすぐに見つかった。
ゴブリンだった。しかし、上にいたやつらとは何もかもが違う。
まず、目につくのが装備であり、かなり手入れされているのかどの得物も綺麗だ。前衛に出ている奴なんて簡素だが鎧を着ていて熟練の構えを見せている。その後ろで弩を構えているのが二体いる。またその後ろにはゴブリンとは思えないほどの筋骨隆々で頭二つほど出ているのと杖を手にしてローブを身に纏う矮小なものがいた。
上から順にゴブリンウォーリア、ゴブリンアーチャー×2、ハイゴブリン、ゴブリンマジシャンだろうな。自然で見かけるのはあまりないが迷宮だとこうも勢揃いするのね。
まぁいい! 上よりは骨がありそうだ。覚悟しろ! 【地砕】!
タシンッ …………シーン
転がるのをやめて勢いよく前足を地面に叩いて固まった俺と何かくるっと警戒していたゴブリンズ。
しかし、なにもおこらなかった!
……えっ? な、なんで地面が揺れたり割れたりしないの……?
『アシュト様の【地砕】は魔力を地面に浸透させて動かすという性質上、他に魔力などで覆われた地面では効果を発揮できません。迷宮は常に地面、壁、天井などの設置物に魔力が張り巡らされています』
解説ありがとうございます。
……なんか恥ずかしくなってきたんだけど。威勢よく叩いてみて何も起きませんでしたとか間抜けな絵面じゃないか……。ゴブリン達も首傾げてるし。
……コホンッ 覚悟しろぉ!
『なかったことにしようとしてますね』
わかっているなら慈悲をください! スルーするのも優しさですよ!?
八つ当たり気味にゴブリン達を蹂躙したあと。
それからも来るわ来るわ、ゴブリンの上位種、オークの上位種、なかにはオーガまでいた。
オーガはCランクの魔物であり知性もゴブリンやオークよりはあり、膂力も侮れないものがある。ゴブリンは子供くらいの大きさを基本にしており上位種になるほど大きくなる。これはオークも共通だろう。
だが、オーガは成長したら大きさは2mが当たり前だ。上位種は見たことないから何とも言えないがさらに大きいのがいてもおかしくないな。できれば出会いたくないやつである。
俺の魔物としての格とも言えるランクがB-に対してオーガは基本Cランクだ。格下ではあるがランク一つ下くらいなら負ける可能性があるので油断はできない。
なので、こうする。
「グラァァァァアアッ!?」
ドスンッ
よしよし、うまくいった。んじゃ、胸を裂いて心臓付近にある魔石を取り出して…ボリボリ。んまぁーい。
俺がしたのは単純なことだ。背後から忍び寄って奇襲してスキル【首切り舞】で首に致命的な一撃を与えることで戦わずして倒しているのだ。卑怯? 周りが敵だらけなのに正々堂々とやっていたらあっという間に飲み込まれて死ぬしかない。
それにこういう戦法は集団相手じゃ一体しか狩れないのでそのあとは普通に戦闘になる。まぁ相手からしてみれば突然仲間が倒れたと思ったら敵が現れていると混乱している状態になっているので正面で戦うよりは比較的楽になる。
こうして狩りをしつつダンジョンの奥へと向かって足を進めているのであった。
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ダンジョンに落ちて二日目。落ちた階層を仮に第一階とするとここらは第十階なのかな? あと二日目と言っているけど寝て起きたから区切りと言っているだけで正確に一日経っているかどうかはわからない。
うし、傷も癒えたな。続きといこうか。
あ、その前にステータス確認しよう。昨日はかなり戦ったからかなりレベルが上がっているはずだ。
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名前:アシュト
種族:アージェント・ヘルハウンド
状態:祝福・超健康
L V :48/70
H P :524/524
M P :491/491
攻撃力:335
防御力:419
魔力攻:230
魔力防:251
素早さ:488
ランク:B-
特性スキル:
【神託:LV3】【解析:LV5】【眷属化:LV4】
【地砕:LV4】【剛毛:LV‐‐】【首切り舞:LV4】
通常スキル:
【牙砕:LV3】【斬爪:LV4】【特攻頭:LV2】【逃げ足:LV3】
【咆哮:LV5】【五感強化:LV2】【剣山:LV2】【地魔法:LV3】
【鋼体:LV2】【HP自動回復:LV3】【MP自動回復:LV6】
【ステータス開示:LV5】【気配察知:LV2】【言語理解:LV2】
耐性スキル:
【痛覚無視:LV1】【毒耐性:LV3】【麻痺耐性:LV2】【幻惑耐性:LV4】
【落下耐性:LV2】【恐怖耐性:LV1】【土無効:LV‐‐】
称号スキル:
【狼王の息子:LV‐‐】【魔神の加護:LV3】【ドジっ子:LV4】
【超石頭:LV‐‐】【健康体:LV‐‐】【始祖:LV‐‐】【群れのリーダー:LV‐‐】
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うむ、いい具合だ。【頭突き】が【特攻頭】に変わってからは奇襲で使いまくるようになった。
効果は単純ながら強力だ。頭突きによる特攻時に貫通力強化と衝撃波を発生させる効果がある。このスキルを発動させながら突進すると狭い通路では逃げ場がないので敵は大体が吹っ飛び壁の染みになる。
オーガがいるときは【首切り舞】、いない集団のときは【特攻頭】と使い分けてダンジョン攻略を進めていた。
モンスターハウスに引っかかったりと通路で前後を敵で挟まれたりと結構ヒヤッとする場面もあったがなんとか切り抜けて階段で眠ったのが昨日だったはず。
「さぁ、今日も元気にダンジョンで暴れますかー」
『なにか目的が途中から変わっている気がしてなりませんが、頑張ってください』
【解析】先生がなにか言っているが何も聞こえないなー。
十五階―順調に魔物を屠って階層を降り立った先に豪奢な門があった。
うむ、いかにもボス部屋っぽい門があるぞ。




