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許さぬぞ人間どもが

お待たせしました! 戦闘です!

うまく描写できているか不安ですが頑張ります。


まだまだ戦闘が続きますよー。規模でかいやつ!

 冬が来てからもう月の満ち欠けが1周を過ぎたころに事態は動き出した。


「おまえたち怪我しているじゃないか! どうしたんだ」

 眷属が怪我を負い這う這うの体で帰ってきたのだ。血を流しており痛々しい。


「はっ申し訳ありません。人間どもに襲われました。幸いなことに我らに脱落者はおりません」

「今まで我らを見ても逃げるばかりしかなかったのに急に襲い掛かってきたのです」

「申し訳ありません、この怪我では動くのがやっとで狩りに行くことはできません……」

 人間が攻撃してきた……。いやまぁ確かにあっちから見れば俺たちは害獣であり脅威だから十分あり得ることだった。うぅ、外出禁止なんて跳ね除けてついて回れば守れたのに!


 怪我したのは不幸だ。だが生きている。人間には怒りを覚えるがひとまず彼らを休ませて安静させなければ。



 次の日もまた怪我をした眷属が帰ってきた。

「長殿また人間が襲ってきました」

「なに?」

 帰ってきたものたちはみんなボロボロになっていた。特に1体はざっくりとした裂傷が出来ていて重症だ。そんな状態でも帰ってこれる魔物の生命力に感心すべきなのか?

「大丈夫です。これくらいなら食べて寝ていれば治りますよ。ただその間は何もできません……すいません」

「いやいい。無事帰ってくれてよかった。まだ備蓄はあるはずだからなんとかなる」

 俺の言葉に眷属は礼を言って休むために奥へと消えていった。


「……どう思う?」

「偶然と片づけるのも無理がありますな。人間どもは我らが恐ろしいのかと」

「だよな……。これからは人間を見つけたら逃げるように言っておくか。これ以上被害は出したくない」

「はい、そのように言いつけておきます」

 俺たちにできることは身を守るくらいしかない。拠点へ近づいたやつらは今まで通りに兄弟か俺が仕留めている。まだここはばれていないはずだ。

 いっそのこと眷属全員で冬が明けるまで洞窟でぬくぬくごろりしていたいんだが、さすがにそれをすると食べるものがなくなって飢え死に直線ルートになるので却下だ。野生つらい。



 また次の日、眷属は怪我もなく帰ってきた。狩りの成果も上々だ。


 その次の日、怪我をした眷属がいたが少し寝ていれば治る程度のだった。狩りはいまいちだった。




 月の巡りがまた一周したころに俺たちにとって忘れられない事件が起きる。

 その時からだろう。俺の中で決定的に変わったのは。









 ある日の夕暮れ、森の中から眷属の悲鳴が響く。


 聞こえた俺たちはすぐさま洞窟から出て人間が近づくようだったら狩るために警戒を始める。俺はこのときにすぐに動けばああはならなかったという後悔が残っている。


 森の奥からこちらへと近づいてくる剣戟が起こす音が近づいてくる。

「みんなもう少しだ、気張れ!」

「応ともよ!」

「は、はいっ! っきゃ!」


 狩りに出ていたグループが近くの藪から飛び出てきたがそのうちの1体が転んでしまった。よく見れば後ろ足に金属の返しのついた縄が絡まっていた。

「捕まえたぞ! おい、やれ!」

「命令すんな!!」


 出てきた人間は剣を振りかぶった。おいまて、やめろ。



 ザシュッ ブシュッ …ゴトン



 俺は今の音を認識できなかった。いやしたくなかった。だって、そうだろう?

 眷属かぞくの首を斬られ血が飛び汚い地面に転がったんだぞ?


 呆然としていた俺だったが事態はまだ動いている。


「よ、よくも……よくもよくもよくも! シュアをぉぉぉぉぉ!! 許さぬ許さぬ人間がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 追われていた眷属の1体が我を忘れて激昂して人間へと襲い掛かった。止める声が出るがもう遅かった。



 迎え撃つ人間のその笑みがどうしても醜悪に見えて仕方なかった。その手が早く動き、連動して剣が眷属の足を断ち切った。

 たまらず悲鳴を上げながら転ぶ狼の首を踏み、剣を振り上げるまた別の人間。


 ザシュッ プシュゥゥー


 ああ、また眷属かぞくの首から血が噴水のように噴き出している。ああ、可哀そうにあれではすぐに死ねない。体をぴくぴくと痙攣させている……。



 と、ここで人間たちが藪から全員出てきた。みんな剣を刷き一部は弓や縄を手にしている。あれらが俺の眷属かぞくを殺したのか……。



 …………


 ………………………


 …………………………………………プチッ




 俺の頭の中で切れてはいけない音がした。









 魔力を全力で込めて足で地面を叩く。生きて帰れると思うなよ人間どもが。



 出てきた人間は全員で6名だが、それぞれ違う位置にいてまとまりがない。だが構わない。


 すぅっと息を吸い、吠える。

「アオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!」


 怒りをこめて咆哮をする。



「うわっ!」

「ぐぅっ」

「っ! ちぃっ!」

「うるせぇ!」

「落ち着け!」

「頭がぁぁぁ!!」

 咆哮を浴びて動きをとめる人間たち。動きを止めてしまった。それが命取りとも知らずに。


 地面がボコッと盛り上がる。ボコッボコボコッボボボボボボボッ!!!



 その揺れは地鳴りとなり人間たちはたまらず立っていられず地面に手をつき四つん這いになりひたすら耐える。まぁそれも無意味に終わるがな。



 隆起した地面は鋭い槍となり人間たちを包囲して中心に目がけて次々と打ち出される。


 倒れていた人間たちに避けるすべはあるはずもなく、次々と打ち抜かれる。

「ぐはっ」

「ぐげぇっ」

「ちくしょう!」

「なんだってんだよ! 楽な依頼じゃなかったのかよ! どうしてくれぇへぶっ」

「だから落ち着け! 中心はまだ安全だ集まれ!」

「ぐぅっ…命令するなっ!」


 それでもさすが冒険者というべきか? 喧嘩する元気も残っているらしい。お互いに悪態をつきながらも槍の中心地へと集まる。彼らの誰かが言っていたとおりに槍の中心地の地面は平らなままだ。まだな。


 荒れ狂う土の槍に囲まれた安全地帯(と彼らは思っている)で冒険者たちは喧喧囂囂に言い合う。

「あの銀色の毛皮。あの巨体」

「あぁ、間違いない。狼のボスだっ」

「あれを仕留めれば莫大な報酬がっ!!」

「馬鹿野郎! 今の状況が見えねぇのか!! 俺は死にたくねえ。抜けさせてもらうぞ!」

「待て! この囲まれた状況で逃げれば死ぬぞ! まずは落ち着いて対処すべきだ!」

「だからお前が仕切るなよ! だが、やばいな。俺たちがかかって敵うかどうか……」


 元気な奴らだ。ならもっと踊ってもらおうじゃないか。



「イグニ、フブキ、エクト。やれ」


 炎が氷が雷撃が冒険者を襲う。悲鳴があがる。それでも倒れるものがまだいない。



 まだまだだ。楽に死ねると思うなよ……。



 俺はまた魔力を込めた足で地面を叩く。それと同時にあまり使ってこなかった地魔法も使う。効果は単純に石礫を飛ばすというものだ。レベルが低いから仕方ないがこの際妨害として使う。


「がっぎぃっ…手が付けられねぇぞ!」

「だから逃げるべきだって言ってんだろ!」

「懸賞金懸賞金んんんっ!」

「おいまてやめろ!」


 囲まれた槍衾のうち密集が薄い場所を通ってきた冒険者のうち一人が俺に目がけて剣を振りかぶる。それを俺は避けない。


 ガキンッ


 剣は空中にくるくると飛んで行った。冒険者はしびれる手を震わせながら俺を畏怖の目で見ている。ようやく彼は誰に喧嘩を売ったのか悟ったようだ。

「お、お前はなんなんだよっ。ば、化け物ぉ!」


 俺が化け物か……。お前ら人間は化け物じゃないというのか。ふざけんなよ。



 侮蔑の目を向けたまま、爪を振りぬく。それだけで血肉が爆裂して飛び散った。

『経験値を得ました。レベルが上がりました』


 当然の結果だ。まだやつらは残っている。許さぬぞ許さない許さない許さない。







 それからしばらく森に地鳴りが響いていたが悲鳴を境に止んだ。




 これが後に人間たちの歴史に残る大惨事の始まりとなるとはこの時誰もが思わなかった。


 

ちなみにですが今回登場した冒険者は臨時で集まったメンバーなのでまとまりがありません。彼らの強みは連携ができることなので固定PTはもっと強くなります。

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