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VS.イァンクック!

風邪が長引いているのでちょこっと遅れるかもしれません。

みなさまも季節の変わり目には体をご自愛ください!

 よし、あいつは俺に気付いていないな。体格は俺と同じくらいでステータス的には格上。


 だとすれば俺がやるべきことは飛んで逃げられないように羽にダメージを与えることか。



 距離は……俺が全力で走って10秒くらいか。途中で岩やら障害物でそのまま行けるわけじゃないから時間通りにはいかないだろう。


「ググゲェ? ググゲェェェッ!!」

 キリング・イァンクックが突然鳴いた。でかい足の俊足をいかして一気にトップスピードへのってどこかへと走り去っていく。

 って、悠長に見ている場合じゃねぇ! 追いかけないと!



  ギュピビィィィィィィイィィィィィ!



 断末魔? あのイァンクックが走り去った方向だな。もしかして獲物を見つけてそれを仕留めにいっただけだったのか?


 隆起した丘で足を止めて下をのぞき込めばあのでかい鳥がいる。イァンクックはまるまる太った豚のようななにかのおなかをついばんで食べていた。食事中で俺は上にいるから地形的に有利だ。これはチャンス!



 イァンクックがまた食べようと嘴を突き出した瞬間に全力で丘を蹴る! 砂が舞い、影がイァンクックへ包むようにして覆われていく。


「グゲッ!?」

 奇襲に対応できなかったイァンクックはそのまま俺にののしかかられて豚のようなものの死体をつぶしつつ盛大に地面へと激突した。


 うっし、うまくいったな! このまま押さえつけて首をもいでやれば勝ちだ!



 その太い首へと噛みつき、おもちゃを振り回す子供のように横へと思いっきり振る! 噛みついた牙からこぼれた血潮が豆粒になるほどの勢いだった。


「ゲゲェゲゲェ! グ…ゲェッ!」


 だが、やられるままのイァンクックではなかった。巨大な羽を羽ばたかせて自身と俺を乗せたままふわりと浮かび上がる。


 げっ、飛びやがった。落とされる!


 落ちぬように首に噛みついたまましがみつく。噛みついた状態のまま激しく体が泳がされるから傷口はさらに広がっていく。それでも気合で飛び、空中で体を捻り俺を落としにかかっている。


 ぐ、ぐぉぉぉぉ! か、体が振り回されるぅぅぅぅぅぅぅ。き、気持ちわりぃぃぃぃぃぃぃ。ま、負けるなぁ俺ぇぇ! 気合だぁぁぁぁぁ! あにまるはまぐちぃ! 誰だよ!!


 脳内であほなセルフボケツッコミをしつつ耐えていたがついに牙が傷口から引っこ抜けてしまった。同時に振り落とされる俺の体。高度はどれくらいかわからないがかなり地面が遠く見える。というのもぐるぐる回っていてパニックになっている。



 そんな隙を見逃さないイァンクック。怒りに目を燃やして急降下してくる! そして太い足の先にのびる鉤爪でしっかりと俺をつかむ! ピンチィィィィィィイイイイイ!!



 ぐるんと空中前転を決めたイァンクックはそのまま地面へと俺を投げ出す。勢いのついたまま荒野の茶色っぽい大地が急速で近づいてくる! と、思ったら後頭部にがしっと握られる感触が。


 ドォォォォスゥゥゥゥンブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥン!!!



 遠くで魔物の悲痛な鳴き声が響いた。





 俺はまだ生きてるのか? ぐわんぐわんとしているぜ。足は…折れてない。まだ動く。体は…すごく痛い。特に頭が…。考えるのも億劫だ。首がとれるかと思った………。



 震える足でなんとか起き上がるとイァンクックは離れているところで倒れていた。あっちもそれなりにダメージを喰らったんだろうか。自爆覚悟でやったんだ。そりゃああなるわな。


 今のうちにステータスを見てみるか……。

_____________________

名前:アシュト

種族:グレイ・キラーウルフ(変異体)

状態:祝福・酩酊・混乱(小)

L V :32/35

H P :81/216

M P :150/170

    ・

    ・

_____________________


 うげぇ……結構やられてるな。ただ、あの高さから落下しておまけにキック一発もらったにしてはまだましなほうかな。

『解析より告知。耐性スキル【落下耐性】を得ました』


 あぁうん、ある意味ラッキーなのかね? 勉強代が高いけど……。そうだ、あの横たわっているやつはどれくらいダメージくらったんだ? ステータスオープン!


_____________________

名前:なし

種族:キリング・イァンクック

状態:気絶・出血(大)

L V :28/53

H P :39/189

M P :20/85

    ・

    ・

_____________________


 おおぅ、あっちも必死だったのね。何にしても気絶してくれているのは助かった! 今のうちに倒すぜ!



 フラフラな足をこらえて進めて出血が特にひどい場所へ爪を刺して一気に引き裂く。


 ブシュッとさらに出血がひどくなった。それと同時に

『経験値を獲得しました。レベルがMAXになりました。進化が可能です』

『通常スキル【噛みつく】【引っかく】のレベルがあがりました』



 俺は……勝ったぜ。



 フラフラな足で歪んだ視界をなんだか面白く思いながらどこかへ向かう。




 そして俺はいつの間にか意識を失っていた。



『不自然エネルギーの流入を確認』

『介入により、進化を促されます』

『進化先が変更されました』

『対象の保護に入ります』



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