ありふれた風景
タイトルを少し変えさせてもらえました。
いま、自分はまた空を舞っている。
幸い、踏み抜かれたのは、体?の一部だったようで、欠けただけで原型は留めている。
まあ、自分が枯葉だと分かった瞬間は唖然としたものだが、慣れればそうでもない。
なんというか、あまり危機感や、慌てるということが一切ないのだ。
感情の起伏が少ない。枯葉の存在でこんなに思考ができる事自体がおかしいのだからそれぐらいどうってことないのだが。
空から見る地上の景色は、……あまり感動するものでも何でもない。家が集まっており、そこらにある村そのままって感じだ。
上空にやってきた所為か、風は止むことなく、常に自分を運び続けている。どこに行くかは風の赴くままだ。
そういえば、風が強すぎる気がする。雲も最初と比べて、かなりの速度で流れているし。
村外れまで来てしまった。まだ風は吹いており、自分の体を舞い上がらせ続けている。どこまで行くのだろうか。
進行方向に小さな森が見える。もう家はほとんど存在してなく、緑が増えてきた。
____森に行ってみたいな
枯葉は雨にあたり、腐り、土の中に戻っていく。どうせ自分もこのサイクルの中に取り込まれていくんだろう。そうすると、寿命はそう長くないだろう。どうせ土の中に戻るのなら森の養分になりたい。
枯葉というものは認識されるものではない。無意識のうちに目に入るかもしれないが、記憶に残ることなど滅多にない。
人に認識されよう、などと大層なことは考えず、謙虚に生きていこうと思う。
まあ、生きられるところまで生き抜いてみせるが。
風がやんだ。自分の体が落ちていく。
ひらひらと落ちた先は、森の中の木々の間だった。
____森の中には入れたな。これでいつ死んでも問題ない
森の中をゆっくり堪能するかと、
そう思っていた時期が自分にもあった。
ただ今移動の真っ最中である。まわりの景色がすごいスピードで流れていく。
どうやら鳥に捕まったらしい。巣の一部にでもするのだろうか。まあ鳥の役に立つのも悪くない。
速度が落ち、一つの木に向かっていく。どうやら巣に着いたようだ。まだひなはないが、巣の形が出来ている。
鳥は自分を巣の端にくっつけると、どこかへ飛び去っていった。
貼り付けられたところからは、ゆっくりと外の世界を見ることが出来る。いままで見えるものと言ったら空か、地面、風にあおられている時のぐるぐるしながら見る景色だけだ。これだけじっくり見るのは貴重ってものだ。
視界の隅には小川がちょろちょろと流れている。木々は我が我がと生い茂り、多くつけている葉のせいで土まで日光が届いていない。まるでジャングルだ。いや、森なんだからジャングルなんだろうけど、こう、なんか、森ではなくジャングルだ。説明が難しい。
ここまで来るのに、結構時間がかかったので、人がいる村までは程遠い。おそらくこの森に人の手は入ってないだろう。
そんなことを考えていると、鳥が帰ってくる。しかも2羽だ。きっと番なんだろう。
2羽のうち1羽は巣に居座り、もう1羽はまたどこかに行ってしまった。