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悪魔と子供  作者: 戌尾 昴
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悪魔と子供~幕魅と悪診~ 第一章

前回の事件で崩壊しかけた東京を徳魔(徳魔一族)が元に戻した。そして日常が戻ったやさきに心究と復実が動き出す! そして、徳魔と天雲は……

            悪魔と子供~幕魅と悪診~


第一章…潜入と患話

前回の事件から数日が経過して10月の上旬に変わった。

東京は何事も無かった様に元通りに戻っていた。同級生も元の生活に戻った。

徳魔と天雲は病院で入院していた。

(徳魔)「雪、大丈夫か?」

(天雲)「徳ちゃんこそ」

徳魔と天雲は包帯でぐるぐる巻きになっていた。

遡ること五時間前――

徳魔と天雲は殺人事件の時効犯を追い掛けて神社まで追い詰めた。

(天雲)「逃がさない!」

(時効犯)「もう時効じゃねえか?」

(徳魔)「時効だろうと犯罪を行った者には制裁を受ける義務がある!」

徳魔が判決を言い渡そうとすると時効犯は懐から拳銃を取り出して天雲に発砲した。

(徳魔)「雪!」

天雲は能力を使って防ごうとすると背後に女性二人が神社の階段を上ろうとしていた。天雲は気にせずに能力を使おうとした。そこに徳魔が天雲の前に立って銃弾を受け止めた。

(天雲)「徳ちゃん!」

(徳魔)「雪、もう少し周りの事を考えて動け」

(時効犯)「そのまま――」

時効犯が拳銃を徳魔に向けた瞬間に時効犯は悲鳴を上げた。

(天雲)「絶対に――」

天雲は時効犯に罰を与えた。

(天雲)「許さない!」

天雲の表情が完璧に怒って鬼の形相だった。時効犯は罰に耐えて逃走を図るが天雲は追い掛けようとするが徳魔が右手を掴んで止めた。

(天雲)「徳ちゃん」

(徳魔)「もう、良いから」

徳魔は痛みに耐えながら立ち上がるが徳魔はよろめいた。その時、神社の階段に落ちそうになるが天雲が徳魔の手を掴んで押さえるが五秒も持たずに二人一緒に転落した。それが下に居る女子高生二人の所まで転落した。女子高生は救急車を呼んで徳魔と天雲は救急車で殻魔からま病院に搬送されて入院する事になった。

現在に戻る――

(徳魔)「まあ、時効犯に罰を執行した事に変わりは無いからゆっくり休養でもしようぜ」

(天雲)「そうね」

その時、復実が徳魔と天雲の病室に入って来た。

(復実)「雪ちゃん?」

(天雲)「復実ちゃん!?」

(復実)「如何して此処に?」

(天雲)「ちょっと、しくじって」

(徳魔)「雪が人目で能力を使おうとしたから俺が止めてこうなった」

(復実)「そう」

(天雲)「…それで復実ちゃんは如何して此処に?」

(復実)「私は仕事よ」

(天雲)「仕事?」

(復実)「あれから、私は不正が無いか調査する組織に移動したのよ」

(徳魔)「ああ、心究一族が立ち上げた組織か」

(復実)「そう、私はそこに転属になったから」

(天雲)「…それで心究君は?」

(復実)「タクちゃんなら今、調査中よ」

(天雲)「何を?」

(復実)「この病院の不正に付いてよ」

(徳魔)「そう言えば、心究が言っていたっけ――」

昨日の早朝――

天雲は洋式のソファーで徳魔の膝を膝枕にして頭を撫でられながら心地良い表情で寝ていた(これは天雲が徳魔にお仕置きの一つである)。心究は中央のTVで医療関連の情報番組を視聴していた。

(ニュース)【今回は特集からです。今回は今までに数十人以上の人間が医療ミスで亡くなられている殻魔病院に潜入取材を行いました。この病院では数回に亘って裁判が行われましたが全て勝訴しております。その殻魔病院の入院患者達からは笑いが絶えませんでした。ネガティブな患者さんは一人も居ません。手術に関しても記者が確認したのですが問題点は一個も在りませんでした。……言い忘れていましたが取材許可を快く承諾していました。……本題に戻りますが殻魔病院の手術ミスは今の取材では一つも浮上しておりません。今後の情報にご期待下さい。 ……では次のニュースです】

心究はTVを消した。

(徳魔)「TV良いのか?」

(心究)「…一つ、頼みがある」

(徳魔)「何だ?」

(心究)「少し調べたい事が在る。少しの間、職務から離れるが良いか?」

(徳魔)「構わないぞ」

(心究)「良いのか?」

(徳魔)「俺達は一つの組織に居るが皆は自由にするのがそもそもの組織だろうが」

(心究)「そう言えば……」

(徳魔)「頑張れよ」

(心究)(…最近、組織のルールが分からなくなっているような…)

(心究)「…ああ」

その時、天雲が眠りながら徳魔に右ストレートを放ち、壁まで吹き飛ばした。

(心究)「徳魔!?」

(心究)(…何で!?)

(徳魔)「…またか、久しぶりに見たかも」

(天雲)「徳ちゃんの……浮気者!」

(心究)(何で~~!)

(徳魔)(いや、流石に心究とは――)

(天雲)「何、網中の胸を見て鼻の下伸ばしているのよ!」

(徳魔)(絶対にあり得ないから!)

(心究)「……」

(徳魔)「悪い寝言と悪い寝相だ」

(心究)「徳魔! まさか」

(徳魔)「……」

徳魔は天雲の懐に突っ込むと顎をコチョコチョした。すると、天雲は落ち着いて徳魔に抱かれながら眠った。

現在に戻る――

(徳魔)「――天雲が膝の上で寝ている時にそんな事在ったな」

(天雲)「そうなんだ」

(徳魔)「……」

(復実)「その後にタクちゃんは――」

その時、隣の部屋から複数の人間の泣き声が聴こえた。

(徳魔)「誰かが亡くなったのか?」

(復実)「…隣のご老人が病気で」

(徳魔)「…危篤レベルか?」

(復実)「いえ、私が見たけど他の病院なら危篤レベルよりも初期の段階レベルよ」

(徳魔)「…つまり、この病院には裏があるか」

(復実)「そう言う事よ」

(天雲)「…そう言えば心究君は?」

(復実)「他の病室の患者を検診しているわ」

(徳魔)「…この病院は危険だと判断するが」

(復実)「…徳魔君の勘は当たっているかもしれないわ」

(天雲)「…裏に大物政治家が居る」

(復実)「ええ ……それはそうとして二人ともお大事に」

復実は微笑みながら扉を閉めた。

(天雲)「…復実ちゃんは《勘》って言っていたけど絶対にこの病院の全体を見たでしょ?」

(徳魔)「まあな」

(天雲)「だったら、ヒント位は教えれば良いのに」

(徳魔)「それだったら、あいつ等の立場が無くなるだろ」

(天雲)「そうね」

徳魔と天雲は笑みを浮かべていた。

その頃、心究は一人の子供の検診を普通に行っていた。

(心究)「…特に以上は在りませんね」

(子供の母親)「ですけど、最近、胸が痛いと」

(心究)「そうですね ……一応、入院をしときましょうか」

(子供の母親)「入院ですか?」

(心究)「ええ、若しかしたら見逃した可能性だってありますし」

(子供の母親)「だったら、今直ぐに検診をやり直して――」

(心究)「他にも苦しんでいる子供だっていますし、一人を集中して見るのは不可能に近いですし、息子さんが病院に入院すれば友達が増える可能性だってありますし、これ以上此処に居れば将来のお嫁さんが死ぬかもしれませんよ」

(子供の母親)「…如何言う事ですか?」

(心究)「お母さん、息子さんが入院すれば息子さんが女子と仲良く出来るかもしれませんよ それに息子さんが入院すれば…クラスメイト…いえ、学校の反応が分かると思いますよ」

(子供の母親)「…でも、入院費が――」

(心究)「大丈夫ですよ。こちらで負担しますので」

(子供の母親)「…分かりました」

子供の母親は渋々、承諾した。

(心究)「…それでは、今日の夕食後に入院と言う事でお願いします」

(子供の母親)「は、早過ぎます!?」

(心究)「早くした方が発見も早く息子さんへの負担が減ります」

子供の母親は心究の言葉に渋々、納得した。

(心究)「では、入院手続きをお願いしますので受付で待っていて下さい」

(子供の母親)「はい」

母子は診察室を出た。

(看護婦)「良いのですか」

(心究)「今、知らせたらあの子の母親が危険だから」

(看護婦)「如何言う事です」

(心究)「前に母親の方を検診した事が在って、その時に気付いたよ、あの人の病気は『パニック障害』だって、更にそこから喘息まで発症させる」

(看護婦)「ある意味、凄いコンボですね」

(心究)「だから、率直に言って治せる訳じゃない」

(看護婦)「そうですね」

(心究)「早く、次の患者を呼んでくれ」

(看護婦)「は、はい! 魅紅みあか先生」

心究と復実は名前を偽って潜入していた。※心究=魅紅みあか 沃夏いるか・復実=幕傍まくはた 香要かいる

その頃、復実は霊安室を調べていた。

(復実)「一見すると何もないけど……」

復実が探そうとすると背後に気配を感じて振り向くとそこには居たのは看護婦長だった。

(復実)「婦長…」

(婦長)「何をしているの?」

(復実)「いえ、最近転属したばかりですから病院内の構図を覚えておきたくて」

(婦長)「そう、だったら後で教えてあげるから」

(復実)「有難う御座います」

(婦長)「分かったら、直ぐに霊安室から出てちょうだい!」

(復実)「はい」

復実が霊安室から出て行くと婦長の後ろに先程に亡くなったご老人と二人の看護婦がいた。

それから数時間後、復実は屋上で心究と合流して情報整理を行った。

(復実)「――こっちは収穫無しよ」

(心究)「こっちも無しだ」

(復実)「本当に怪しいと思っているの?」

(心究)「まあな」

(復実)「此処の人達は結構優しいけど?」

(心究)「…一番に怪しいのは二種類の人間のみだよ」

(復実)「それもそうね」

(心究)(…それにしても徳魔と天雲が入院しているのは吃驚した)

(心究)「…取り敢えず、調査を続けるぞ」

(復実)「はい」

その頃、院長室では婦長と院長が話をしていた。

(院長)「彼等の素性は割れた」

院長は婦長に心究と復実の調査書類を見せた。

(婦長)「直ぐ、クビにすべきです!」

(院長)「それは危険過ぎる」

(婦長)「何故です!?」

(院長)「先程、あいつ等の白衣に忍ばせた盗聴器から聴いたらこちらの情報は未だに見つけ出していないと言うことだ」

(婦長)「ですが、これ以上、滞在させれば時間の問題です!」

(院長)「…クビにすれば仲間を呼ばれて即刻アウトだ!」

(婦長)「じゃあ、どうすれば」

(院長)「一つだけ、案がある」

院長は婦長に一つの書類を渡した。

(婦長)「これは?」

(院長)「それは魅紅君が今日、入院の手続きを推薦した子供だよ。この子を利用すれば良い」

(婦長)「…分かりました」

院長と婦長は不敵な笑みを浮かべていた。

数十分後、子供が入院しに来た。

(心究)「じゃあ、確かに」

(子供の母親)「志略しらくをお願いします」

(心究)「ええ」

子供は看護婦に手を握られて連れて行かれた。

その頃、復実の方は婦長と話していた。

(復実)「別の患者ですか?」

(婦長)「そうよ、君が担当するのは男の子よ」

(復実)「ちょっと待って下さい! 子供には子供専門の看護婦がいるでしょ?」

(婦長)「その子は子供用の病室じゃなくて一般病棟の病室を使用するから」

(復実)「……分かりました」

志略は徳魔と天雲の病室に入って来た。

(天雲)(子供?)

(徳魔)「……」

(看護婦)「今日から此処が君の病室よ」

(志略)「はい」

志略は天雲の横のベッドに入った。

(看護婦)「じゃあ、後で看護婦さんが来るから宜しくね」

看護婦は微笑んで病室を出て行った。

(徳魔)「君、名前は?」

(志略)「知らない人とは話さない」

(天雲)「…ねえ、お名前は?」

天雲は志略に胸の谷間を見せつけた。

(志略)「…囀麻さえずま 志略しらく

(徳魔)(…態度が違い過ぎないか?)

(天雲)「志略君か…私は天雲 雪よ 宜しくね」

(志略)「よ、宜しく」

徳魔は左手をベッドに着けて苦笑いしていた。

その頃、心究は院長に呼び出されて院長室にいた。

(心究)「…何の用ですか?」

(院長)「君は明日から手術を行って貰いますよ」

(心究)「…構いませんけど幾つですか?」

(院長)「幾つじゃないよ」

(心究)(…まさか!)

(院長)「…24時間ずっとだよ」

(心究)「そんなに居るのですか?」

(院長)「この病院には数十人の患者さんしかいませんよ……ですが、世の中にはごまんと何かしらの病気や症状を罹っている人間はいるでしょ」

(心究)「…つまり、手術に成功した患者は別の病院もしくは家から強制的に連れて来て入れ替えると?」

(院長)「その通りだよ」

(心究)(此方の調査を行わせないつもりか…まあ、こちらの手札は一枚、使っている。それに二枚の札がこちらに加わっている)

(心究)「分かりました」

(院長)(随分、素直じゃないか)

(院長)「では頼んだぞ」

(心究)「はい!」

心究は扉を閉めた。

(院長)(…何かが引っ掛る)

院長は心究の行動に疑問点を感じていた。

その日の夜中、徳魔は病院の電話で鏡魔に連絡を取っていた。

(徳魔)「……まだ、動きは無いか」

(鏡魔)「…何で病院に居るの?」

(徳魔)「へましただけだよ」

(鏡魔)「…そう」

(徳魔)「…一つ、依頼がある」

(鏡魔)「流石にこれ以上は――」

(徳魔)「全員に【闇を斬り、光さえも斬れ】と伝えてくれ」

(鏡魔)「ちょっと、その言葉は!」

(徳魔)「頼んだぞ」

徳魔は電話を切った。

(徳魔)「…さてと、こっちも行動に移るか」

徳魔は暗い病院の通路を歩いていた。

その頃、婦長は霊安室の扉の前に立っていた

(婦長)「これで新しい扉が……」

婦長は高笑いしながら扉を開けた。


殻魔病院の素顔が今、明かされようとしていた! 徳魔が仲間に送った言葉の意味は!? そして、心究は殻魔病院の真実を知ることが出来るのか!?


悪魔と子供~幕魅と悪診~ 第一章 完


悪魔と子供~幕魅と悪診~ 第二章 続く――

心究一族が睨みをつけた殻魔病院に眠る真相とは? 徳魔の言葉の意味とは?

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