ネチネチやり込み型、当たって砕けろ型
長文になってしまいました(^_^;)
「やってやるよ。ゲーム、クリアしてやる。」
なんてことを言ってしまった俺は、もちろん、オッサンから逃げられなくなったワケで。
「ほ……本当か?!本当にクリアしてくれるんだな?!言ったよな!今言ったよな!絶対だな?!絶対クリアしてくれよ?!」
「子供か。」
テンション上がりまくりなオッサンを少しでも抑えようとした俺だが、その努力も報われず。
「ああいいぞ!何て呼んでもいいぞ!“ダーキュレス”じゃなくて、“ダー君”でもいいぞ!!」
状態はもっと悪化した。でもこれに便乗すれば、もしかして…………。
「じゃあこれからは“オッサン”って呼ぶわ。」
「おう!別に…………………良くねーよ。」
あ、それはダメなのね。
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やけに口内が渇く。私は卓上に置いてあったコーヒーカップに手を伸ばし、湯気を出している液体を口に含んだ。
「ふぅ……。」
うむ。実に美味である。
思わずため息が零れた。
問題があるとすれば、湯気によって眼鏡が曇ってしまったことぐらいだろうか。
全く、厄介だ。
「社長!」
む…?私を呼ぶ声が……。
「ああ、なんだ。田賀崎君か。どうしたんだ。」
「“どうしたんだ”じゃないですよ!何呑気にコーヒー飲んでるんスか!!」
「駄目か?私の習慣なのだが……。」
「習慣も何もないですよ!今はそれどころじゃないんです!!」
慌てふためく部下の田賀崎君の様子をじっくり観察してもいいのだが、どうも今は、本当にそれどころじゃないらしい。
「………一体何があったんだ。言ってみよ、田賀崎君。」
「はい。それが………」
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「ダーキュレス!」
「ん?呼んだかな?」
「コレを見ろ!!」
俺は、ダーキュレスにゲーム機本体を突きつけた。
「むむっ!貴様……こ………これは…!!」
「ああ、そうさ。」
俺はしてやったり顔で、座っているオッサンを上から見下ろす。
「“クエスト100回ノーミスクリア達成”、“倒したモンスター5000匹達成”!!」
「クリアしてないじゃん。」
「お前はクリアしか頭にねえのか!!」
「無い。このゲームをクリアすることが、君に課せられたクエストであろう?」
「お前が勝手に課したんだろーが!!ってか、わかってねえな!この二つを達成するには、めちゃくちゃやり込んでねーとできねーんだぞ!」
「つまり、とりあえずやり込めば簡単に達成できるのだな?」
「それなりの技術も必要なんだよ!!」
本ッ当、いちいち腹立つなコイツ。
………っと、 そう言えば。さっきから“クエスト”“クエスト”言ってますが、クエストってなんぞや?という方。
《説明しよう!》
death the kingdomは、基本RPGだが、与えられたクエスト、つまりミッションをクリアしていく事によって、レベルや経験値を上げることができる!
クエストは、各村の掲示板に載っているものならなんでも挑戦できるぞ!
だそうだ。
解決して頂けただろうか。
まぁ、このゲームにはダンジョン系の要素も含まれているからな。こういう機能も少しは無いと。
「ダーキュレス。ゲームはクリアだけが全部じゃない。こうやって経験値を貯めていって、レベルを上げて、ボスを倒して始めてクリアなんだ。
その倒すまでの過程。そこでどれだけやったかによって、早くクリアできるかが決まる。」
「………。」
「だからな、ダーキュレス。」
「ああ、もう良い。わかったぞ。」
「ダーキュレス…………!」
「貴様のゲームに対する熱意、我の胸にも届いたぞ。つまり………」
このオッサン、意外とモノがわかる人かもしれない。
「つまり、貴様はネチネチやり込むタイプなのだな。我は当たって砕けろタイプだからなぁ。苦手なタイプだ。」
前言撤回。
このオッサンは存在価値の無いただのゴミだ。
久々にシリアス書きたくて、ちょっとシリアス入れてみました。
不可解な会話をする“私”と“田賀崎君”………。二人の正体はー……?
またいずれ(^^)