言ってしまったらもう引けない
「あれは、我が……このゲームが作られた時だ。」
そう言うとオッサンは、自分の“現実世界に来た理由”を語り始めた。
「death the kingdomは、発売前から少し話題になっていてな。クオリティの高いゲーム設定と描写、やり込むにはもってこいの代物だった。」
オッサンは、そこら辺にあったペットボトルのお茶を飲んだ。
…………って、オイそれ俺の。
「しかし、どうやらゲーム会社も懲りすぎたようでな。ゲームが売れたのはいいんだが、一流ゲーマーでさえもクリア困難な内容になってしまった。」
うん、確かに。
ラストステージの一歩手前まではいくんだが、そこから先へ行けない。迷って敵と戦っているうちに、HPが無くなってしまうのだ。
「だから……」
オッサンは深呼吸をした。
「ゲーム会社を潰す為に、我はここへ来た!」
「いや、ちょっと待て!話が飛びすぎだ!!一体何があってそういう結果になった?!」
「だって!!いつまでも、ラスボスのこの我と戦えないのだぞ!?だったら我の存在はなんなのだ!普通に脇役だろ!万年脇役だろ!ゴミだろどうせ!!」
なんだこのマシンガン攻撃……………。
「だから、我をこんな存在にしたゲーム会社を潰しに行くのだ。」
「いや、それはさ、誰かがゲームをクリアすればいいだけじゃね……?」
「誰がクリアできるというのだ。貴様がクリアしてくれるとでも言うのか?」
「う…………」
このゲームはずっとやってきているが、まだクリアできていない。
だからYESとは言い難い……………が。
「やってやるよ。
ゲーム、クリアしてやる。」
俺にもそれなりの“プライド”というものがある。