クリアした………いという名の願望
あの後すぐ、俺のツッコミに根負けしたオッサンが送り返してくれたから、なんとか万事はまぬがれた。
………が。
問題はまだ無くなった訳では無い。
「なぁ~、早くゲームやってくれよぉ~!」
「うっせーな!!朝飯ぐらいゆっくり食べさせろ!!」
「え~!!あ、じゃあ食べ終わったらすぐやれよ!それでボス戦までいったら呼んでくれ!すぐに駆けつけっから!」
そう言うとオッサンは、呑気に寝始めた。
「いや戻れよ!ゲームの世界に!!」
「Zzz………」
〈オッサンの唯一の特技〉
いつでもどこでも三秒以内に寝ることができる。
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俺は手早く朝飯を食べ、例のゲームの前に構えた。
「今日こそクリアしてやる……」
「うん!頑張って!早く我の所まで来て!!」
「うっせーよ!集中できねえだろうが!!」
「あ~、メンゴメンゴ~!」
「…………。」
「さ、始めた始めた!!」
「うん…………。」
今のは見なかったことにしよう。
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それから俺は、早期クリアを目指すべく、ひたすらプレイを続けた。
でもやっぱり、クリアはできなくて。
「あー!ちきしょおぉぉぉぉぉぉ!!」
頭を抱える俺をオッサンがなだめる。
「まあまあ、そう焦るでないぞ。ゆっくりと一歩ずつ、進めていけばいいさ。」
急かしたのは何処のどいつだ。
「しっかし、ラスボスさんも暇なんだな~。こんな所まで出てきてよ。………てか、なんで出てきたんだ?」
オッサンの目を見据える。
「貴様に……話す理由など無いであろう………。」
「は?」
なんだ?この小説にあらぬシリアスモード……。
「………あ、いや、話したくねえなら話さなくてもいいんだ!………な?」
「そうか……。貴様は…優しいのだな………。」
「え…………あ、いや、当たり前だろ!アッハッハッハッ!!」
「………決めたぞ。」
「アッハッハ……え?」
「貴様になら話しても良いだろう。我がここに出てきた、本当の理由。」
そうして俺は、オッサンの“出てきた理由”を知ることになる。
更新が遅くてすみませんm(_ _)m