let's go!RPGワールド
「オッサ…ダーキュレス。次、『記憶喪失だ~』とか、そういうこと言うなよ。」
「言うわけがなかろうに。」
今にも言いそうだったから念を押しただけだよ。
さて、本題にいくとするか。
「ごほんっ。えー…ダーキュレス。あなたは俺の部屋にどうやって入ったんですか。」
「普通に。気づいたら。」
「………理由になってねえよ。」
ダメだ。このオッサンに、“普通”は通用しない。
「えーと……。あなたはどこにお住まいの方ですか。」
いくら普通がダメでも一般人に代わりはないはず。よくある質問ならぽろっと答えてくれるかもしれない。
「暗黒塔最上階の魔王の部屋だ。」
「それゲームの最終ステージじゃねえかああああああ!!!」
そうか。このオッサン、さては極度のゲーマーだな。それでは仕方ない。
………………………………いや、仕方なくねえよ!!
俺だってそうだけどさすがに答えられるもの!!
「だが主、さっき『お住まいの』と言っただろう?なんの文句がある。」
「ダーキュレス。つーかオッサン。さすがにそれはまずい。現実、見ようよ。」
「いや、だからさっきから何を言っているのだ。現実をよく見た方がいいのは貴様の方ではないか?」
「は。いや、アンタに言われたくないけど。」
「我はあのゲーム、《death the kingdom》から来た、正真正銘のボスだ。」
大丈夫かな、この人。
………いや、考えてないよ?!もし仮に本当だったとしたら全部辻褄合うなとか、そんなん考えてないよ?!俺はそこまで侵食されてないよ?!むしろオッサン助けなきゃって考えてるよマジで!!
「はっ。なな何を言っているんだ。そそそんなこと、あるわけが無い。」
「あるぞ。」
「じっ………じゃあ、証明してみろよ!!」
一か八か言ってみた。
するとオッサンは、少し唸って「わかった」と言うと、例のゲームの方へと行った。
「主、我の手を握るが良い。」
「うげっ。なぜに。」
「今からゲームの世界へ行くからだ。」
「は…え………ちょ、マジで言ってんの。」
「当然だろう。証明しろと言ったのは貴様だ。」
「う………………。」
俺は渋々オッサンの手をつかんだ。にしてもごっつい手だな。
「では行くぞ。」
その声が聞こえたと同時に、俺の意識が薄れていった。