ゲームをはじめよう
ゲームとは。
全国のちびっこおよび大人、更には世界をも魅了する近代的な機械。いわゆるオモチャの事である。
そのゲーム本体に差し込んで遊ぶ物が“ゲームソフト”。種類は数多にもあるが、その中でも俺はRPGが好きだ。
だから部屋には
ゲーム
ゲーム
ゲーム
である。
ゲームしかない。
あらゆるRPGを攻略してきた俺は、もはや亡者である(自称)。
クリアしなかったゲームは無かった……のだが。
「~………。」
このゲーム、
「death the kingdom」
は、名前すらアレだが、死の国を救うべくパーティーを組んで戦っていくという、立派なRPGである。難しいが面白いと評判だったから買ってはみたものの、ラスボス直前でいつも殺られる。
こんなの初めてだ。
「ちくしょー………」
現在11回目のチャレンジ。
やっぱり結果は残念なことになったが、俺は諦めない。諦めんぞ。
「よし。もっかいだ!」
そうしてまた、一夜が明ける……………。
- - - - - - -
「!!」
俺は気づいて起き上がった。
現在時刻は午前7時半。目の前には例のソフトを入れた本体が転がっていた。
「そっか、俺ー………。」
またクリアできなかったんだな、なんて。
言う気も起きない。てか言う気もない。
このゲームの亡者のプライドにかけて!
そんなことは死んでも言わないぜ!!
「………いいもん別に俺なんて……」
…………。
「……所詮俺はただのヘタレボスだよ…ヘタボだよ…………」
……………。
山積みになった数々のゲームソフトに紛れて、妙な声が聞こえる。
決して妖精とか、そういったのではない。
芯の通った、オッサンの声だ。
「いや~遂に幻聴まで聞こえるようになってきたか~!だいぶ中毒症状が出てきたなァ!ハッハッハ!!」
「………そうか……そんなにやり込んだ人でも攻略できないのか…………なら仕方ないか………」
そんなんが聞こえると。
ソフト山脈の中から、どこからともなく現れたオッサンが、ただ一つの窓に向かって一直線。
オッサンは華麗に窓を開け、足をかー…
「けさせるかァァァァァァァァァァ!!」
足をかけようとしたところを俺が全力阻止した。
「離せぇ!離してくれぇぇぇぇ!!」
「離すかァァァァァ!!」
オッサンと若き青年の組手。恐らく見ただけで吐き気がするだろう。通行人さんごめんなさい。