アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 42話 待ち合わせ
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
「はぁ……。」
いつもなら部活をしている時間、きはだは重い足取りでいつもの通学路をちょっと外れ、とある公園へと歩いていた。
「厄介なのに絡まれちゃったなぁ……。」
昨日、きはだは通りがかったとある公園で同い年くらいの少女に絡まれ、『また明日』と会う約束をしてしまっていた。
「…………いるなぁ。」
遠目に公園の中を見渡すと、ベンチに座り腰まである藤色の髪をフワフワと揺らす少女が、明らかにこっちに向かってブンブンと手を振っていた。
「……、」
きはだは肘から先だけで、ヒラヒラと手のひらを振り返した。
「……なんてね。」
見つかってしまったので致し方なしに公園へ入ると、やっぱり少女が快晴の笑顔を向けて手を振っていた。
「やっぱりいるかぁ……。」
「フフ♪こんにちは♪」
きはだが観念したようにベンチに腰を下ろすと、少女は座ったまま快晴の笑顔を向けて挨拶を交わした。
「子どもたちはいませんよ?」
「見ればわかる。」
昨日はボール遊びをしている小さな子どもが2人いたが、今日は少女ときはだの他に誰もいなかった。
「じゃあ誰が『いる』のでしょう……?」
「……もしかして、名乗る流れにしたいの?」
「なな、なぜバレた……ッ!?」
「会うのは2回目だけどさぁ……なんとなぁ〜くきみのことはわかっちゃった……はぁ。」
「もしかしてアナタ、名探偵……!?」
「うんうん、それでいいんじゃない?」
「フフン♪それで、名探偵さんは誰に会いに来たんでしょう?」
「こりゃあ随分と清々しい誘導尋問だぁ……。」
「ささ♪」
「……目の前の不審者さんに。」
「わたくし、不審者じゃありませんっ!?」
「どうだかねぇ……。」
きはだは膝に頬杖をついた。
「わたくし、ウィ…………、
少女は慌てて名乗りかけ、踏みとどまった。
「……?」
「おっと、いけません!?これではわたくしがただ名乗りたいだけみたいに……!」
「そうだよね?」
「これでは名前を尋ねさせてカッコよく名乗る算段が……!?」
「めんどくさ……。」
「と言うわけで、…………はい!」
少女はいつでも聞いて来い、と言わんばかりに両手を広げ、ハグ待ちのポーズをした。
「すしざ
「ちーがーいーまーす!!」
少女はほっぺをパンパンに膨らませて抗議した。
「はいはい。……で、なんて呼べばいいの?」
「……ッ!///」
少女は銀河のような瞳をいっそう煌めかせた。
「こほん。……音にこそ聞け、近くば寄って目にも見よ!」
「……。」
「我こそはバイオレット家……何代目だったっけ?」
「覚えとらんのかいっ!」
きはだはつっこまずにはいられなかった。
「えへへ///わたくし、ウィスタリア・バイオレット!……です♪」
少女改めウィストリアはちょっと照れくさそうに笑って見せた。
「……。」
きはだがふと視線を落とすと、ウィストリアがベンチに敷いているハンカチの端っこに『W.S』という刺繍が入っているのを見つけた。
「……本当は?」
「な……ッ!?」
「本名は?」
「なんですか、まるでわたくしが偽名でも使っているかのような……!?」
「……『W.S 』。」
きはだはベンチに敷かれたハンカチを指差した。
「『バイオレット』じゃないよね?」
「……………………紫藤、ウィスタリア。」
「お〜、エセ外国人ってのは本当だったんだねぇ?」
きはだは昨日、ウィスタリアがうっかりエセ外国人を自称していたのを忘れていなかった。
「で、でも!バイオレットは向こうの家族の名前だか…………、
またまたウィスタリアはセリフの途中で固まった。
「?」
「……今の!すっっごく外国人っぽくなかったですか!?」
「『向こうの』ってヤツ?」
「やっぱりアナタもそう思いましたよね!?」
「その発言は外国人っぽくないけどねぇ。」
「はうっ!?」
「…………きはだ。」
「へ?」
「黄山きはだ。……『アナタ』じゃ呼びずらいでしょ?」
「…………ッ!!//////」
ウィスタリアの瞳が今日1番の輝きを見せた。
「キハダさんっ!」
「う、うん……。」
「キハダさんキハダさんっ!!」
「おお……。」
「キハダさんキハダさんキハダさんキハダさ
「一回でいいよぉぉお!?」
「はぅ……。」
ウィスタリアは叱られた子犬のように肩を窄めてシュンとした。
「……一回呼ぶのにつき、だからねぇ?」
「…………ッ!!//////」
「落ち着くんだ、きはだちゃんは逃げないからねぇ?どうどうどう。」
「〜、」
ウィスタリアはコクコクと、何度もうなづいた。
「……よしっ。」
「キハダさんッ♪♪」
ウィスタリアはきはだの両手を包み込むように、力強く握った。
「近
目の前で流星群のように瞳を輝かせる少女のお腹から、痛快なお腹の音が静かな公園に轟いた。
「ぁ…………//////」
「……とりあえずこれ。」
きはだはカバンから『鉄』と書かれたゼリー飲料をウィスタリアに差し出した。
「アリガト……ゴザイマス///」
ウィスタリアはおそるおそるきはだからゼリー飲料を受け取ると、恥ずかしそうに頬を染めてゼリー飲料を口にした。
「いつからここにいたのぉ?」
「ッ!?///」
ウィスタリアはきはだの視線に気づき、慌ててきはだに背を向けた。
「エト……、ナナジクライ///」
「7時ぃッ!!??」
公園の時計は現在午後の4時ちょっと前。きはだは耳を疑った。
「お昼はッ!?」
「ゼリー飲料を……。」
「ちょっと待ってて!」
「ぁ……、
「すぐ戻ってくるから!」
きはだはベンチから立ちあがると、視界に入ったコンビニへとダッシュし、すぐにパンパンのレジ袋を持って戻って来た。
「キハダさん……ごめ
「いいから食べるっ!」
きはだは空になったゼリー飲料を取り上げ、アツアツのピザまんを強引にウィスタリアに手渡した。
「……、」
ウィスタリアは申し訳なさそうに戸惑っていたが、やがて観念してピザまんを口にした。
「……美味しい///」
「そ♪」
きはだはウィスタリアの頬が緩むのを見届けると、膝の上に乗せたレジ袋からもう一個のピザまんを取り出し頬張った。
「……うま♪」
「あの……、
「ん?」
「お金
「なーに?きはだちゃんお耳が遠いからお礼以外聞こえなーい♪……うま♪」
「……///」
ピザまんを頬張るきはだの横顔を見つめるウィスタリアの瞳は銀河のような輝きの中に、仄かな熱を帯びていた。
「ありがとうございます……♪///」
「よし♪まだまだあるからたーんとお食べ?」
「……はい♪」
快晴の笑顔をで応えたウィスタリアの目からは一筋の涙が溢れた。
「ご、ごめん!?もしかしてピザまん嫌い
「いーえ。」
ウィスタリアは指で涙を拭うと、ゆっくりと首を横に振った。
「…………たった今、1番の好物になりました♪」
「?……そ、そう。もしかしてピザまん初めて?」
「ピザまんくらい食べたことありますっ!」
「お、おぉ……。」
「キハダさんって、いー人なのにほんっっとに鈍感なんですね……!///」
ウィスタリアはまたきはだに背を向けた。
「えぇぇ……。」
「……キハダさんのオトモダチは、幸せものですね。」
「おセンチな話ぃ?」
「あ!?いや、そうではなくてその……///」
「ほいこれ。」
きはだはトークアプリPINEのQRコードが画面に表示されたスマホを差し出した。
「いーんですか……?」
「『オトモダチ』の連絡先知らないのは変でしょ〜?」
「……!」
ウィスタリアの銀河のような瞳が潤い輝いた。
「……また駄弁ろぉ?」
「はいっ♪♪///」
ウィスタリアはきはだの提案に快諾するとすぐにPINEのトークを開き、なにやらもの凄い勢いで画面を操作し始めた。
「?」
……と思うと、きはだのスマホが通知のバイブレーションで踊り狂った。
ウィスタリア、きはだ(2)
ウィスタリア:連絡先もーらいっ♪
ウィスタリア:じこしょーかいっ☆
ウィスタリア:紫藤ウィスタリア
ウィスタリア:好きな食べ物はピザまん
ウィスタリア:好きな言葉はまた明日♪
ウィスタリア:バースデーは5月25日
ウィスタリア:AB型
ウィスタリア:157cm
ウィスタリア:スリーサイズは……ヒ、ミ、ツ☆
ウィスタリア:ドキドキしちゃいました?
ウィスタリア:期待しました?
ウィスタリア:ざーんねん
「うるせえッッ!?」
きはだに1人、オトモダチが増えた。




