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第50話 クラスの出し物

 

 ヒロイン達と海やデートで関係を深める事が出来た夏休みが終わり、二学期が始まった。


「おはよ! 久しぶりだな、怜人! 少し焼けたか?」


 登校したら、真っ先に陽太が話しかけてきた。


「海に行ったりしたからな。陽太は夏休みどうだった?」

「俺は部活漬けだったよ」

「インターハイでは勝てたのか?」

「おう! 県ベスト8まで勝ち進んだぜ!そこで去年の優勝校に当たって負けちまったけどな」

「それは凄いな。それで陽太は試合には出れたのか?」

「ああ! 十分間だけだったけど出してもらえたよ。シュートも二本決めたんだぜ!」

「おお、それはよかったな」

「これも怜人達が勉強会を開いて俺の赤点を防いでくれたおかげだぜ! ホントありがとな」

「気にするなよ。親友が青春をかけて取り組んでるバスケを応援するなんて当たり前の事だからな」

「怜人、お前ってやつはー」


 陽太が抱きつこうとするのを両手で押し返す。


「やめろ、暑苦しい」

「えー、ここはハグして友情を確かめ合うところだろー」


 などと男二人でじゃれ合っていると、葵と陽菜が登校してきた。


「おはよう、怜人、橘君。橘君とは終業式以来ね」

「おはよ〜、二人とも〜」

「おはよう」

「おはよ、水無月さん、星野さん」


 それから四人で会話していると、教室に担任の山本先生が入ってきて、始業式に出るために皆で体育館に移動した。


 始業式では、夏休み中の各部活動の活躍が表彰され、お決まりの校長先生による長話があって、皆退屈する事になるまでがテンプレだ。


 式後は教室に戻ってホームルームが開かれ、十月の初旬に開催される文化祭でのクラスの出し物をどんなものにするかの話し合いが行われる事になった。


「それでは今から、来月の頭に開催される文化祭──通称『聖章祭』でうちのクラスがどんな出し物にするかを決めるための話し合いを始めます。何かこれがやりたいっていう意見がある人は、どんどん手を挙げて発言してください」


 教壇に立った三つ編み眼鏡委員長の高梨さんが、クラス中に視線を巡らせながら言った。


 すると、転校生の若手人気俳優、藍原がすっと手を挙げた。


「はい、藍原君どうぞ」

「メイド喫茶なんかどうかな。このクラスの女子達は可愛い子ばかりだから、メイドに扮した彼女達に接客してもらおうとする人達で、かなりの集客が見込めるはずだよ」


 自信ありげに藍原が提案した。

 こいつの態度は相変わらず鼻につくな。

 女子の事を褒めて好感度をアップさせようって魂胆なのが見え見えだ。


「メイド喫茶か〜。定番だけど、確かに女子のレベルは他のクラスよりも高いよな」

「俺は水無月さんのメイド姿が見てみたい。出来ればその姿で罵って欲しい」

「俺は断然星野さんだな。メイド服があの巨乳でパツンパツンになったところを拝みたい」


 男子達がこそこそとやましい事を言い交わしている中、ギャル風のサイドテール女子篠原さんが挙手した。


「はい、篠原さん、どうぞ」

「メイド喫茶もいいけど、執事喫茶ってのもよくない? このクラス、男子だってここ最近でグッとレベル上がったじゃん。イケメン化した吾妻君と若手No.1俳優の藍原君の二大巨頭がいるんだよ。そんなのもう勝ち確に決まってると思うんだけどー」


 髪の先っぽを手でいじいじと弄びながら篠原さんが提案する。


「確かに、二人の執事服姿は見てみたいかも」

「推しにエスコートしてもらえる⋯⋯いい! ナイス提案! あなたが神か!」


 そんな二つの意見でざわつく教室内で、もう一つの新たな意見が挙がった。


「ねぇ、じゃあさ、どっちもやっちゃったら?」


 その提案に、さらにクラスが活気づく。


「メイド&執事喫茶か。一粒で二度美味しいな!」

「いいよ、それ! 男女どっちの需要も満たせるし」

「こりゃあ売り上げ一位になって最優秀賞もらえちゃうかもな!」


 そうしてその後も幾つかの候補が上がり、クラス投票で決められる事になったが、結局大方の予想通り、メイド&執事喫茶が他を大きく引き離して一位になった。





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