第45話 個別デート
Side:葵
私が夕食とお風呂を済ませて自室で勉強をしていると、紗耶からレインのグループチャットのメッセージが送られてきた。
紗耶:お二人とも、今大丈夫ですか?
Aoi:ええ。丁度勉強の手を休めようとしていたところだったから。
ひな:葵ちゃんはホント真面目だよね〜。私はテレビドラマを見てたよ〜。丁度ついさっき終わったところ〜。次回もどんな展開になるか気になるな〜。
紗耶:お二人とも時間はあるという事ですね。それじゃあ大事なお話があるんですけど。
Aoi:紗耶は最近そういうのが多いわね。
ひな:どんな話かな〜?
紗耶:他でもない怜人先輩との関係についてです。前回の海では、途中下ゲス男による干渉がありはしたものの、それ以外では凄く楽しめたと言えると思います。
Aoi:そうね。私も久しぶりに羽目を外してはしゃいでしまったわ。
ひな:うんうん、凄く楽しかったよね〜。今でもあの時の事を思い出しちゃうくらい〜。
紗耶:ですが! 問題がなかったわけではありません。お二人とも、当初の目的を忘れてしまってはいませんか?
Aoi:当初の目的? えっと、何だったかしら⋯⋯。
ひな:海の家でSNSで話題になってた料理を食べる事とか〜?
紗耶:違います! 怜人先輩との関係を進展させるっていう目的ですよ! お二人ともそんな意識の低さでどうするんですか! お説教タイムです! そこに正座しなさい!
Aoi:悪かったわよ。海が楽し過ぎて忘れちゃってたわ。
ひな:ひえっ! 最近紗耶ちゃんがスパルタなってきてるよ〜。
紗耶:とおふざけはこれくらいにしておきましょうか。私も自分の気持ちを確かめたいとか言いながら、大した成果は上げていませんからね。
Aoi:紗耶は陽菜の胸に敵意を燃やしてばかりいたものね。
ひな:おかげで散々な目に遭ったよ〜。
紗耶:陽菜さんは何も悪くありません。ただその大きなお胸が罪深いだけなんです。
Aoi:何があなたをそこまで駆り立てるのよ⋯⋯。
ひな:結局お許しはもらえないんだね⋯⋯ぐすん⋯⋯
紗耶:そんな事より本題に入らせてもらいます。私の手元には今、二種類のチケットがあります。一つは、今度私達の地元で開かれる、フィナーレに盛大な花火が打ち上げられる夏祭りの縁日チケット。これは屋台で色々な商品と交換出来るものになります。そしてもう一つは、これはちょっと地元から離れたところにある、大きな観覧車で有名な遊園地の一日フリーパスペア券です。これは入場料だけでなく、園内にある全てのアトラクションがお一日中乗り放題になるというものです。
Aoi:そんないいものどうやって手に入れたのよ。
紗耶:私のお母さんが、この前商店街の福引きで当ててきました。降って沸いたような幸運とはこの事ですね。私も驚かされましたけど、これを使わない手はないなと思いまして。
ひな:それは凄いくじ運だね〜。
Aoi:それで紗耶はそのチケットで何をするつもりなの?
紗耶:そんなの決まってるじゃないですか。お二人がこのチケットを手に、それぞれ怜人先輩を夏祭りデートと遊園地デートに誘うんですよ。
Aoi:まぁ、そうくると予想していたわ。
ひな:怜人君とデートか〜。それって二人切りって事だよね〜?
紗耶:もちろんです。海みたいに皆で一緒に、というのはそれはそれで楽しいですけど、それではあまり進展が見込めないと気づかされましたからね。今度は個別デートで一気に大接近作戦です!
Aoi:それは理解出来たけど、チケットはその二種類だけなんでしょう? 紗耶はどうするのよ。
紗耶:私は今は書籍化作業に集中する事にしました。恋愛に関しては、無事処女作を本にする事が出来てから考えようと思います。
ひな:それは何だか悪い気がするね〜。私達だけいい思いしてるみたいで〜。
紗耶:気にしないでください。お二人の恋が成就するのも私の願いなんですから。
Aoi:紗耶⋯⋯ありがとうね。
ひな:紗耶ちゃん⋯⋯そう言ってくれて凄く嬉しいよ。
紗耶:ごほん。何かしんみりしちゃいましたけど、話を戻しますね。それでどうしますか? 遊園地のフリーパスについては当日券ですからいつでもいいんですけど、夏祭りについてはお盆の八月十三日と期日が決まっていますからね。お二人の都合に合わせて決めてください。
Aoi:だったら私は夏祭りの方を選びたいわ。その日は予備校が丁度お盆休みに入っている時だし、私、浴衣を着て夏祭りデートするのに憧れてたの。
紗耶:では夏祭りの縁日チケットは葵さんにお渡しするという事で。ひなさんは遊園地のフリーパスになりますね。それでいいですか?
ひな:私は全然いいよ〜。遊園地デートって色んなアトラクションで遊べて楽しそうだし〜。
紗耶:決まりですね。チケットについては、後日郵送で送らせてもらいます。まずは葵さん、夏祭りデート頑張ってください。
ひな:ファイトだよ〜、葵ちゃん〜。
Aoi:ええ。二人にいい報告が出来るように、頑張ってくるわ。
私は、今度の夏祭りデートに怜人を誘えたら、ちょっと恥ずかしいけど、それを我慢して少し積極的になってみようと心に決めた。




