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第38話 恋の自覚

 

 Side:紗耶



 紗耶:今日はお二人に、打ち明けたい事があります。


 Aoi:どうやら真面目な話みたいね。


 ひな:何かな〜。なんだかドキドキするね〜。


 紗耶:お二人にもずっと秘密にしてきましたが、実は私は小学生の頃から小説を書いていて、中学生になってからは、Web上の小説投稿サイト『カキヨミ』で、麻夜マギのペンネームで投稿を続けて来ました。


 Aoi:へぇ、そうだったの。


 ひな:そんなに長い間小説を書いてたんだね〜。


 紗耶:お二人ともあまり驚かないんですね。


 Aoi:紗耶が読書家だって事は以前から知っていたからね。だから小説を自分で書いていたとしても、自然な流れだと思うわよ。


 ひな:私も、紗耶ちゃんが作家さんって言うのはしっくりくるよ〜。


 紗耶:そうですか。でも次に打ち明ける事は、さすがに驚くと思いますよ。


 Aoi:そう言われると、ちょっと身構えちゃうわね。


 ひな:何だろう〜? 予想がつかないよ〜。


 紗耶:では発表させてもらいます。なんと私がWeb上で連載していた恋愛小説が、高評価を得て出版社からの書籍化の打診がきたんです!


 Aoi:えっ!? それホントの事なの?


 紗耶:はい。お二人にそんな嘘はつきませんよ。


 ひな:紗耶ちゃんすご〜い! プロの作家さんになるんだね〜。


 紗耶:まだまだ未熟ですけどね。でも凄く嬉しいです。自分の書いた本を出版するのは、私の小さい頃からの夢でしたから。


 Aoi:よかったわね、紗耶。私も自分の事みたいに嬉しいわ。


 ひな:今度お祝いのパーティ開かないとね〜。


 紗耶:ありがとうございます。ただ怜人先輩には、今日の放課後に書籍化の打診が来た後すぐにカラオケボックスでお祝いをしてもらったんですけどね。


 Aoi:何だそうだったの。気が利く男ね。


 ひな:紗耶ちゃん怜人君と仲いいもんね〜。


 紗耶:怜人先輩には、その作品を書くにあたって、色々と意見を出してもらっていたんです。だから私は、今回の書籍化の打診は、怜人先輩と二人で勝ち得たものだと思っています。


 Aoi:怜人の協力があったのね。面倒見もいいんだから。


 ひな:怜人君も読書が好きって言ってたし、いい意見がもらえたんだね〜。


 紗耶:そして、もう一つお二人に打ち明けたいと思います。そんな怜人先輩に、私は恋心を抱いているかもしれません


 Aoi:ええっ!?


 ひな:きゃーっ!


 紗耶:まだそうだって確信があるわけじゃないんですけどね。以前はちょっといいなと感じるくらいだったのが、いつしか彼のことばかりを考えるようになっていって──。この気持ちが、ただの親愛の情何かじゃあなく本当に恋心なのかは、これからゆっくりと時間をかけて確かめてみる事にします。


 Aoi:そうなのね⋯⋯紗耶の怜人への接し方は、妹が兄に甘えるようなものだとばかり思っていたから、少し意外だわ。


 ひな:うんうん。そういう感じ、いいと思う〜。私応援するよ〜。


 紗耶:お二人とも他人事みたいに言ってますけど、自分達だって、怜人先輩の事は憎からず思ってるんじゃないですか?


 Aoi:そ、それはまぁ、そうだけど⋯⋯。


 ひな:そうはっきり言われると照れちゃうよ〜。


 紗耶:お二人も、もっと自分の気持ちに素直になった方いいですよ。この国は一夫多妻制なんですから、もし私が怜人先輩に告白して付き合う事になったとしても、お二人も同じ気持ちなら、それを拒もうとは思いません。むしろ三人一緒の方がいいです。将来大人になってからもお二人の傍にいられるという事ですから。


 Aoi:そうね⋯⋯もしそうなったとしたら、素敵かもね⋯⋯。


 ひな:私も皆ずっと一緒っていうのは惹かれるな〜。


 紗耶:そこで、一つ提案があるんですが、今度の夏休みに怜人先輩を誘って、皆で海に遊びにいきませんか? そうすれば私は、自分の気持ちが本物かどうかを確認するためのきっかけになるかもしれませんし、お二人も怜人先輩との距離をぐっと縮める事が出来るはずです。


 Aoi:海か⋯⋯そう言えば長らく行ってないわね。


 ひな:でもそうなると、水着を着なきゃいけなくなるよね〜。私、太ってるから、怜人君に見られるのはちょっと恥ずかしいな〜。


 紗耶:陽菜さんの場合は太ってるというか、身長に対して胸が大きすぎるだけだと思いますけど⋯⋯なんなんですか、その男を魅了するわがままボディは。ちっぱいな私への当てつけですか。もぎますよ。


 ひな:ひえっ!


 Aoi:落ち着きなさい、紗耶。あなたにもまだ成長する余地は残されているわ。


 紗耶:当然です。来年の今頃には、魅惑のCカップになって、怜人先輩をメロメロにしてみせます──と冗談はこれくらいにしておいて、お二人とも、海にいく事は了承するって事でいいですよね?


 Aoi:分かったわ。夏休みには予備校の夏期講習があったりもするけど、フリーな日もあるからね。たまには息抜きしてリフレッシュする事も必要だわ。


 ひな:私もうちの美容院の手伝いがあったりするけど、空いてる日だったらオッケーだよ〜。


 紗耶:では、明日にでも怜人先輩に予定を聞いてみましょう。ちなみにお二人とも水着は持っていますか? 学校指定のスクール水着なんかじゃなくて、ちゃんと可愛いのをですよ?


 Aoi:一応二年前に買ったのがあるけど、もうだいぶサイズがきつくなってるでしょうね。


 ひな:私もどうせなら新しい水着が着てみたいな〜。


 紗耶:それじゃあ、三人で一緒に今度ショッピングモールに水着を新調しにいきましょう。


 Aoi:そうね。そうしましょうか。


 ひな:うん。あ〜、何だか今から海にいくのが待ち遠しくなってきたな〜。


 その海で怜人先輩への気持ちがさらに高まったら──

 私は、期待に胸が大きく震えるのを感じていた。




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