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第25話 脅迫

 

 放課後。俺は図書室を訪れていた。

 紗耶は、今日は図書委員業務のシフトに入っていないので、ここにはいない。


 なので、一人で席に座り、適当に目星をつけて選んだ文庫本を読んでいる。

 吹奏楽の部活風景を描いたライト文芸だ。

 たまにはこういうのもいいだろうと軽い気持ちで手にとってみたけれど、これが中々熱い物語で惹き込まれてしまっている。


 そんな風に読書に集中していると、ズボンのポケットに入れていたスマホが振動して着信を知らせた。


 なんだよ、せっかく没入できてたっていうのに⋯⋯。


  俺は心の中でそう愚痴りながら、仕方なく文庫本の頁を開いたまま机に伏せ、スマホを手に取り発信者名を見た。

 しかし画面には非通知と表示されていた。


 詐欺の疑いが強いので無視してもよかったけれど、なにか嫌な予感がして、その電話に出てみることにした。


 席を立って室外に出ると、応答のボタンを押す。


「⋯⋯はい」

「吾妻怜人だな?」


 スピーカーから届いてきたのは、若い男の声だった。

 聞き覚えのある声じゃない。


 これは、確実に厄介事だな⋯⋯。


「そうだけど、なんの用だ?」


 口調を崩して、詰問するように尋ねる。


「水無月葵を拉致して拘束してある」


 その言葉に戦慄し、緊張に身を引き締めた俺は、ゴクリと大きく唾を飲み込んだ。


「解放して欲しければ、今から町外れにある廃工場まで一人で来い。俺達はあの有名なグループ『アッシュ』だからな。誰かに助けを求めたりしたら、水無月を犯してやる」


 その卑劣な脅しを最後に、通話は切断された。


 俺は、スマホを握り締めながら、ギリギリと奥歯を強く噛み締めた。


 水無月が半グレグループに拉致されるのは、『オモクロ』でもあったイベントだ。

 ゲームでは、怜人が主犯となって、『アッシュ』を従えて拉致した水無月を集団で輪姦する。

 俺が怜人に転生したこの世界では起きない事件だろうと高をくくっていたけれど、強制力でも働いてるのか、主犯を変えて起きてしまったらしい

 。

 廃工場には、『アッシュ』のメンバーである荒くれ者達が待ち構えていることだろう。


 しかし、水無月は大切な友達の一人だ。

 助けに行かないという選択肢はない。


「水無月、無事でいてくれーー」


 俺は急いで学校を出ると、町外れにある廃工場へと全力で走った。




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