第2話 主人公と幼馴染ヒロイン
どうやら俺は、NTRゲー『思い出は黒く染められて』の寝取り竿役である吾妻怜人に転生してしまったらしい。
最初は、なんで主人公じゃないんだ、あっちなら可愛いヒロインたちとの恋愛が楽しめたのに、なんて思いもした。
けれど、そうなると、必ず怜人に寝取られるバッドエンドが待っているわけで、そんな結末を迎えるくらいなら、怜人の方がましだったかもしれないと今では思い直している
だって、俺が怜人なら、俺がヒロインたちを主人公から寝取りさえしなければ、ゲーム内ではついぞ見ることが叶わなかったハッピーエンドが見れるかもしれないってことだろ?
というわけで、主人公とヒロインたちの恋愛を見守りながら、真面目に学校生活を送って、一回目の人生ではあまり楽しめなかった青春ってやつを存分に謳歌してやるぞ!
そんな決意を固めながら、俺は制服のブレザーに着替え、身だしなみをチェックしてから家を出た。
麻衣とは、朝食は一緒に摂ったけど、登校は別々にしているらしい。
同じ高校なわけだけど、まあこんなクズ兄と一緒に登校したがる妹はいないだろう。
普通に会話してくれるだけで、なにも不満はない。
それと、食事中に、母さんや麻衣の事を、生活サイクルを含めて色々と聞いておいた。
怜人として生きていく以上、それらは欠かせない情報だからな。
四月中旬の、花弁が散って葉桜となった桜の木が立ち並ぶ通りを歩いて、通っている私立聖章高校へと向かう。
聖章高校は、ここらへんの地域では、偏差値が平均より高めの進学校として知られている。
一学年約三百人程のマンモス校で、A〜J組まであり、怜人は現在二年生でC組になる。
同学年の主人公とヒロインの二人も、そこはゲームのご都合主義で同じC組だ。
そんな風に、当時プレイした『オモクロ』の内容を思い出しながら歩き、途中にあるコンビニに寄って、昼食にする菓子パンと珈琲牛乳を買った。
そして、コンビニを出て通りの角を曲がると、前方に、主人公と三人いるヒロインの内の一人が肩を並べて歩いているのが見えた。
おおー、やっぱり生で見ると感動するなー。
あの前髪がやや長めで目にかかっている中肉中背の少年が、主人公である天城一樹だ。
勉学も運動も軒並み平均値で、顔もイケメンというわけではなく、中の上と言ったところ。
まあよくあるテンプレ主人公の設定ってやつだ。
性格は面倒臭がりで、ゲーム好き。
そして、その隣を歩くのは、幼馴染ヒロインの星野陽菜だ。
ふわっと緩くウェーブのかかったボブヘアーで、やや小柄だが、その胸部は見事な膨らみを帯びている可愛い系の美少女である。
確か設定では、E寄りのDカップとされていたはずだ。
成績は毎回のテストで30位以内に入るくらい良いが、運動は大の苦手。
性格はのんびりとしていて少し天然が入っており、語尾を伸ばして話すのが特徴だ。
天城とは家が隣同士で、幼稚園の頃からの家族ぐるみでの付き合い。
二人の紹介は、大体こんなところかな。
「なあ陽菜、英語の課題ってやったか?」
「もちろんやったよ〜。かず君はやってこなかったの〜?」
「昨日はゲームのイベントの日でやる時間とれなくてさ。後で写させてくんね?」
「もう、しかたないなあ〜。でも次はちゃんとやってこないと駄目だからね」
「分かってるって」
そんな二人の会話を聞きながら、その後に続いて学校の校門を潜った。




