君に花束を。─向日葵─
これは私が見た、日常に潜むとても可愛らしいお話。
それは、子供達が夏休みに入ってから数日経ったある日のことだったわ。
その朝は、開け放たれた窓から入る風を受けながら数日前に買ったばかりの本をワクワクしながら読んでいて、少し暖かい風や蝉の声やどこからか聞こえる風鈴の音が心地よく、氷で冷やされた緑茶がとてもおいしかったの。
そんな時、ふと窓の外を見ると、子どもたちが遊びだすにはまだ早い時間だと言うのに、家の前の公園の中央に2人の子供が立っていたわ。
身長から察するに、まだ3年生ぐらいでしょう。
白いワンピースに、紺色のデニムのショートパンツを着てスカイブルーのリボンがついた麦わら帽子をかぶった女の子と、白い半袖に涼しい素材のハーフパンツを着た男の子が向かい合って立っていて、男の子は後ろに何かを隠していたわ。
「あ、葵ちゃん!僕と、付き合ってくれませんか!?」
男の子が意を決した様に口を開くと、緊張のせいか、周りの家に聞こえるぐらいの大きな声で女の子、いいえ、葵ちゃんに告白をしたの。
告白とともに差し出した手には、葵ちゃんの麦わら帽子と同じスカイブルーのリボンが結ばれた9本の向日葵の花束が握られていたわ。
とても素敵だと思った。でもね、男の子のプレゼントと同じぐらい、葵ちゃんも素敵なプレゼントをしたのよ。
「んもう、遅いよ!」
そう言って男の子に駆け寄った葵ちゃんは花束を受け取り、男の子の頬にキスをしたの。
驚いて顔を上げた男の子がみるみるうちに赤くなっていくのがとても初々しくて可愛らしかったわ。
「私も優のこと大好きだよ!これからよろしくね!」
男の子こと、優君が花束に向日葵を選んだ理由が分かる気がする。
だって、葵ちゃんはその腕に抱かれた向日葵のように、周りを笑顔にさせるような満面の笑顔を顔に浮かべて返事をしたんだもの。
本当に、可愛らしくて、美しい笑顔だったわ。
きっと、優君は葵ちゃんに1番似ていて、似合う花を選んだのね。
「ぼ、僕も葵ちゃんのこと大好きだよ!」
顔を真っ赤にして愛を告げる優君が本当に可愛らしかったわ。
そして、面と向かって大好きだと言われた葵ちゃんの顔が赤くなるところを、私は見逃さなかったわよ。
「…それじゃ、帰ろっか。」
「…うん。」
そうして2人は顔を赤くしながら、しっかりと手を繋いで公園を去っていったの。
─そうそう。
何故この話をしたのかと言うとね、今日、いつも通り登校する学生さん達を窓辺から見ていたら、素敵なカップルを見つけたのよ。
制服からして、近くの高校の子ね。
女の子はリュックにスカイブルーのリボンと、樹脂で固めた向日葵のドライフラワーのキーホルダーを着けていて、男の子は女の子と同じ、スカイブルーのリボンをリュックに着けていたわ。
ふふっ。
それでね、その2人はあの公園から帰るときのように、しっかりと手をつないで歩いていたわ。
優君も葵ちゃんも、ちゃんと約束を守ったのね。
仲良さげに話す葵ちゃんの顔には、昔と変わらない、向日葵のような笑顔が浮かんでいたわ。
本当に素敵で、思わず鼻歌を歌ってしまったくらいよ。
あら、もうこんな時間ね。
今日は長い話に付き合ってくれてありがとう。
よければまた、私のお話を聞いてくださいね。
あら、私が誰なのかって?
ふふ。
それはまた、機会があればお話するとしましょう。
それでは、ご機嫌よう。
[向日葵の花言葉]
・あなたを幸せにします
・あなただけを見つめる
・情熱
・憧れ
・光輝
9本の向日葵の花言葉は、「何時までも一緒にいて。」
どうも、古瑠璃です。
「君に花束を。」、略して「君花」を読んでくださりありがとうございます。
本作では、物語の中で花とその花の花言葉を使うようにしてお話を書いています。
シリーズ化を考えておりますが、今回は向日葵と、そのの花言葉である、「あなただけを見つめる」と、9本の向日葵の花言葉である、「何時までも一緒にいて。」が当てはまるような物語にしました。
恋愛なぞしたことのない自分ですが、少しでも皆様にも「これいいな」、「可愛いな」、と思ってもらえたら幸いです。
次回、君に花束を。─金木犀─
次回も、よろしくお願い致します。




