第五灯 神様
「非日常」のくーぴーによる怪談
おはようございますこんにちはこんばんは。初見さんは初めまして、常連さんはお久しぶりです、「非日常」の「くーぴー」でございます。
今回は──―さんご企画の「怪談百物語PERT1」にお呼ばれしました。慣れないライブ配信ですけどよろしくお願いしますね。
って、こう見てもゲーム実況者だから話し慣れてはいますよ、はい。うん。
まあね、ええ、本日は怪談ということでね。うーん、四人目までの人、中々怖い話持ってきててちょっとビビってる今現在で御座います。
自分はですね、近所にある神社のお話をさせてもらおうと思うんですが、今までの人よりは怖くないはずです。
マッパさんとかUきりさんの話、怖い話じゃないふうに本人達は言ってたけど間違いなく、怖い話だったからね。俺の話は怖いって言うか、ちょっと心温まる話ですかね。
ではお聞きください。
えー、それは大体、二〇年くらい前の話ですね。
俺の話というよりは俺とリア友の話って感じかな。
俺の家の近くには神社があります。正しくは実家の近くというべきか。大きいものではなくて、テレビとかで出るようにうわあって人がいる感じでもなくて本当に田舎の神社って感じの神社。
まあ、その日はいつも通り、学校帰りにその神社に集合してかくれんぼする予定でした。
俺は一番、学校にも神社にも家が近かったから先に家に帰って、すぐに神社に向かって、神社で皆のこと待ってました。
でも、集合時間になっても皆が来ないんですね。十分、二十分、三十分経過しても誰も来ない。
今まで十分くらい遅れることがある人もいたけど、俺以外の全員がそこまで揃いも揃って遅れるってことはなかったんですよ。
だから「おかしいなあ、何かあったのかなぁ」って思って、できるだけ、待ってみてたと。当時はスマホもなかったし、携帯持ってなかったんで電話もできず。
一時間待ったところで流石に俺、帰ることにしました。でも、その頃にはもう真っ暗なわけですよ、外は。
ビビリではないですが流石に当時小学生が怖がるくらいには暗かったし、怖かったです。
「あ、いたいた!」
ちょうどそのとき、俺を呼ぶ声が聞こえました。その声の主は俺のリア友でした。だから、そちらを見たんです。声のした方を。
そしたら、なんとまあ、ビックリなことに普通にリア友がいました。そして、俺はリア友と一緒に無事にお家に帰りました。パンパン。
……ってなったなら良かったんですけどね。
俺はリア友の方を見た途端、目を覚ましました。
目を覚ましたのは病院の病室。周囲にはリア友とそれ以外の友達数人。家族全員。全員、俺が目を覚ました瞬間、安心したように息を吐きました。
これだけだと良く分からないですよね。分かります。
俺がその後聞いた話では俺はその日、かくれんぼをする予定だった日、どうやら神社で待っているときにトラックが突っ込んできて、轢かれたらしんですよ。
んで、トラックをどかして大人が俺のことを救出しようとしたら俺がトラックの下にいなかった。どこを探してもいなかった。轢かれたはずなのに。
友達もトラックの運転手も、事故のことを聞いて駆け付けた大人達も俺のことを探した。何十分も探した。
でも、見つからなかった。
一時間ほど経った頃、リア友が意を決して、神頼みにも近い思いで「あ、いたいた!」って言ったらしいんです。そしたら、その瞬間、俺が神社の一角に姿を現した。何十分も探したって見つからなかったのに。
そして、姿を現した俺の応急処置をした救急隊員が言うことには俺、即死で死んでいてもおかしくない状態だったらしいんですね。
なのに事故発生から一時間後、俺は生きたまま、見つかった。
「まるで神様がくーぴーさんを助けるために神隠しを行ったみたいですね」
事故当時のことを聞いた救急隊員は後にそう言ってたそうです。
ってわけで俺のお話はこれでお終いです。心温まったかな。いや、でも怖くはなかったでしょう、多分。神様が助けてくれたお話。
あ、でも、まあ、リア友が「あ、いたいた!」って言ってくれなかったら神隠しされたままって可能性はあったのか。うーん、難しい問題。
ま、今、生きて、ここにいるのだから良しとしましょう。はい、そうしましょう。はい、この話お終い!
ではご静聴有難う御座いました。
この後も是非、配信者、実況者たちの珠玉の怪談話をお楽しみください。それではさようなら~。
怖いけど、いい話だったね。
そうでしょうそうでしょう。この企画のお誘いをいただいたときにこの話なら趣旨にあっているだろうと思って、関係各所に話を聞きに行きました。
君はマメだね。
そう見えますかね。まあ、皆さんのと比べるとあまり、怖くなかったとは思いますが、悪くはでしょう。
そうだね。だが、リア友が見つけた言葉を言わなければ見つからなかったことを主軸とした話と考えると大分、怖い話になるような。
そこは考えないようにしています。
やはりそうか。
そりゃ、そうでしょう、──さん。
あーあ、あと少しだったのに。
まあ、また今度ね、クーちゃん。




