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第一灯 水子と母親

「ルシオンは死んだ」のレオンによる怪談話


 はーい、初見の方は初めまして。知っている方はお久しぶりです。「ルシオンは死んだ」のレオンです。



 いやあ、この度は「怪談百物語PERT1」にお呼びいただいて幸せの限りです。そして、なんと今回、僕が第一走者。上手く話さないといけませんね。上手く話せるように頑張ります。



 実はホラーな体験は自分的にはそこまでしたイメージがないんですね。まあ、いくつかはあります。あるっちゃありますから、今回はその一つを話そうかなって考えてます。



 ではうーん、僕からは水子に関するお話を一つ。短い話ですけど、ご容赦ください。水子は簡単に言えば胎児のこと、ですね。詳しいことはお調べください。



 じゃあ、始めていきます。



 それは十年近く前のお話です。



 僕はその日、高熱を出して病院に行ったんですね。親に連れて行ってもらって。まあ、普通の風邪だったんでそれはそれで良かったんですよ。薬貰って終わりですから。



 特に何事もなく、病院は終わって、さあ、帰ろうとなって帰り道です。親がおかゆの材料とか買いたいからってスーパーに寄ったんですよ。


 僕はまあ、熱出しているから車の中で待機ですね。熱に魘されながら早く帰って来いやと親に対して思いながら寝返り打って待ってたわけです。



 ふっと外を見るじゃないですか、飽きて。



 そしたら、そこに女の人がいたんです。よくいる女の人で三十代くらいの人。赤ちゃんが胸に抱きついた女の人。



 その瞬間、何かおかしいなって思ったら、その人の背中にも赤ちゃんがくっついてて、さらにその人の右腕、左腕、腰にも赤ちゃんがくっついてたんです。



 流石におかしいじゃないですか。おかしいって気付いたんですよ、その時の僕も。


 だって明らかにその人、ひっついてる赤ちゃん達のこと気にしてなかったんです。ひっついてる場所も腕とか腰とかまでついてるとおかしい。



 それを理解した瞬間に背筋が冷えました。熱で熱かった身体が一気に冷えて、寒くなった。もう、心の中で早く母親帰ってきてってめっちゃ思ってました。



 まあ、それ以降は特に何もなく、家に帰れました。それ以降は本当に何もなくて。



 きっとあれは熱に魘された幻覚で勘違いだったんだって考えるようにしました。






 数年後のある日のことです。



 その日はテレビを見ていて、そしたらニュースで何か、逮捕されたみたいなニュースだったんですよ。ふっとその逮捕された人みたらその人、赤ちゃんが何人も抱きついてた、そう、例の女の人だったんです。



 それも捕まった理由が赤ちゃんの遺体遺棄と殺人。殺人も幼い自分の子を殺したっていうものでした。自分が苛ついたから、赤ちゃん達がいると面倒だからって理由で。



 このニュースに思い当たる人もいると思います。詳しくいつのニュースとは流石に言いませんが。



 正直、肝が冷えた。本当にマジで。あの女の人じゃんってなってビビった。



 そこで気付きました。


 赤ちゃんの遺体遺棄ってことはつまり、胎児も堕胎してた可能性が高い。つまり、僕があの時に見た赤ちゃん達は生まれることができなかった水子達で、母親に憑いてたってことになる。



 水子はただ、母親に憑くだけっていうのを噂には聞いてたけど流石に怖いし、その母親が捕まったのも何か、何とも言えない気持ちになりました。



 皆さんはできるだけ、堕胎とかしないでください。子どもは命を授かったその時から、生きているんです。殺して良いわけじゃないんです。



 望まない妊娠や辛いことがあったらまずは誰かに相談してください。僕でもいいです。個別メッセージとかで送ってきてもらってもいいです。



 ただ、ただ、あの時の赤ちゃん達の顔を僕は忘れられない。あの子達みたいな子ども達を出したくない。



 ……怖い話じゃなくてお願いになってましたね。すみません。でも、これは僕が思ったことで、本当にあったことなので。



 あ、あと堕胎した人を責めないでください。その人にはその人なりの理由があるんです。



 でも、理由が自分勝手で子ども達を命のない存在だと思っている人ならその人に対してはブチ切れてください。



 苦しんで苦しんで苦しんだ末に選択した人は責めないでください。




 ご清聴ありがとうございました。







 















 すみません、何か、重い話になってしまって。



 いやいやいや、怖い話であったことには間違いないよ。水子が母親に憑いてる話。



 生まれきれなかった命。それを実際に目にすると結構、精神的にきます。でも、実際の母親達はそれを自ら選択して……。僕、何も知らなかったんだなって。



 ……本当にあったんだね、それ。



 ええ、まあ。出だしに重い話でしたかね。



 まあ、重かったけど必要な忘れちゃいけない話だった。それが怖い話だろうと水子の、堕胎の話は皆が知っておくべきこと、だからね。



 ありがとうございます、──―さん。

きっと僕は忘れないよ







──―ありがとう

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